バタースコッチの香り(SS)
校庭で琉音ちゃんとボーっとしていたら
「さくさく」とやけに耳に心地いい音が聞こえた。
その音に振り向くと、琉音ちゃんがいつものカロリーバーを齧っている。
そういえば、琉音ちゃんの個性には大量のカロリーが欠かせないから、
いつもこうして休む間にカロリー摂取をしてるんだっけ。
「……ん?いずくん、どうかした?」
「いや、別になんでも。」
「そっか……あ、一本あげるね。」
どうやら、僕が琉音ちゃんを見ていたのはカロリーバーが欲しいからと誤解されたらしい。
そうじゃないんだけどな、と思いながらも僕は受け取る。
「あ……ありがとう。何味?」
「私お気に入りのバタースコッチ味!」
そう言うと、琉音ちゃんはまたカロリーバーを齧り始めた。
僕の持っているカロリーバーも……バタースコッチ味。
薄い茶色の封を開けて、さくっと齧れば甘さとバターの香りが鼻を抜けた。
……うん、おいしい。
「いずくん、頬が緩んでるよ」
「おいしい物食べたからね」
―――――
同じものを食べると幸せになれるよって話。
20170406
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