たまには素直に伝えよう(SS)

「荼毘に抱きしめられると、ホッとするのよね」

「·····あ?」


荼毘は「何言ってんだコイツ」とでも言いたそうな顔をしながら、自分の恋人であるあおぎの顔を見た。
その表情が面白かったのか、あおぎはクスッと笑った後に荼毘の目元の火傷あとに顔を寄せてキスをする。


「信じられない、って顔ね?あなたがどう思ってるか知らないけど、私は本気よ?」

「·····チッ」

「なぁに、その反応·····もしかして照れてるの?荼毘にも可愛いところあるのね」

「うるせぇよ。お前こそ、俺の事好きすぎだろ」

「あら、今更気づいたの?遅すぎるんじゃない?」


あおぎの言葉を聞いた荼毘は「うるせェよ」と言いながら、彼女の体をグイッと引き寄せて強く抱き締めると、今度は唇へと口づけをした。


「んふふ、やっぱり·····荼毘に抱きしめられるの、好き」

「そりゃどーも。じゃあもっとギュッとしてやるから喜べ」


そう言うと、荼毘は力任せにあおぎを抱き寄せる。
その勢いでバランスを崩したあおぎは、そのまま荼毘の胸元に倒れ込んだ。


「きゃっ!もう、乱暴ねぇ·····まぁ、あなたのそんな所も好きなんだけど·····」


そう言うと、あおぎは再び荼毘の首元に腕を伸ばして抱きしめ返した。
荼毘のざらりとした継ぎ接ぎの火傷あとに、あおぎの柔らかい肌が触れる。


「(·····こんな奴に抱きしめられて嬉しいなんざ、変わったヤツだよ全く)」

「荼毘」


その感触に浸っていた荼毘はふとあおぎに名前を呼ばれ、彼女を見ると、あおぎは目を細めて微笑みを浮かべていた。そしてゆっくりと口を開く。


「·····大好きよ、愛してるわ」

「!」


その言葉を聞いて目を見開いた荼毘は、少しだけ顔を赤らめながら小さく舌打ちをすると、再び彼女に口付けを落とした。


「·····俺もだ」

「あら、意外ね·····荼毘が素直になるなんて」

「たまにはいいだろうが」

「えぇ、悪くはないわ」


クツクツと笑うあおぎを見て、荼毘はフンっと鼻で笑い返すと、彼女を離さないよう更に強く抱きしめた。
そして、2人はただただ相手の温もりを感じようと、静かに身を寄せ合っていた。


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だびあおが好きです。

20220208

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