悪夢の消し方

·····たまに纒は、酷い悪夢を見てしまう。


「·····っ、は!」


悪夢に魘されていた纒がガバッと勢いよく体を起こせば、隣で寝ていた弔が「·····んだよ·····」と少し不機嫌そうな声で呟いた。


「あぁ弔、起こしてごめんなさい·····私ったら·····少し、うなされてしまって·····」


そう言うと、纒は弔に掛かっていた崩れた毛布を綺麗にかけ直し、ふぅとため息を吐いた。
それを見た弔は纒の方に手を伸ばし、腕を4本指で掴んで自分の方へ引き寄せ、そしてそのまま抱き締める。


「え?!ちょっ·····弔?」


突然の事に戸惑っていると、弔は更に強く抱きしめて、耳元で囁くように言った。


「お前には俺がいるだろ·····心配すんなよ」


その言葉を聞いた瞬間、先程まで感じていた恐怖心や不安感が全て消え去り、代わりに温かな感情に包まれていく。


「うん、そうね·····」

纒は微笑みながら、弔の背中に手を回してギュッと抱きつくと、弔も応えるように優しく包み込む。
そして、お互い何も言わずとも、2人は自然とキスを交わしていた。

しばらく唇を重ねていると、弔が舌を入れてきたので、それに答えようと纒も舌を入れる。
お互いに絡め合うように唾液を交換しあって、しばらくしてから口を離すと、銀色の糸が名残惜しそうに引いていた。


「·····お前のせいで起きたから、責任取れよな·····」


そう言いながら、弔は熱を持ってしまった自身を纒の太腿に擦り付けてくる。


「そうね·····私のせい、だものね·····」


クスリと笑みを浮かべると、今度は纒から口づけをする。それを合図にして、再び深い交わりが始まった。

·····いつからか、纒が悪夢にうなされて起きた時は弔が纒を誘うのが当たり前になっていた。
勿論·····その時の状況次第だが。


彼なりの纒へのケアなのかは定かではないが、こんな風に慰めてくれる優しいところがあるのだ。


弔がちゅう、と唇を優しく吸ってやれば、纒はゾクっとした感覚に襲われる。
先程の悪夢などどうでも良くなるほどに気持ち良くなって、思わず声が出てしまった。


「ふあっ·····」

「おいおい、もう興奮してきたのか?」


揶揄い気味に笑う弔を見て、纒は頬を少し赤く染める。


「まだ、さっきの悪夢を忘れられそうにないから·····お願い、弔·····もっと激しく抱いて·····」


上目遣いをしながら甘えた声で懇願する姿はとても妖艶で、普段との大人っぽい彼女もよギャップも相まってとても可愛らしいものだった。
そんな彼女に対して、弔はニヤリと笑いながら答える。


「良いぜ、お望み通りに犯してやるよ」


その後、2人が朝を迎えるまで愛し合っていた事は言うまでもないだろう。



―――――――――――
たまには纒ちゃんを甘やかす弔が書きたかった·····

20220531

next
index
top

ALICE+