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「おはようございまーす」
いつもの様にリュックを肩に背負いながら楽屋のドアをあけた杏里。
「おーおはよう」
と声をかけた優しい人は、俺、神谷浩史。
「あれ、悠一さんいないんすか?」
「一緒にこなかったの?」
「いや、なんかあれかなって」
「なんだよあれって」
こいつはあのふてぶてしさでは声優界一の中村悠一と付き合っている女。
女なのかよくわかんない女。
一言で言うなら変人。変態。ヲタク。てか、女?みたいな。
「じゃあいいや、せんぱーい台本あわせ致しましょうや」
「お前なにキャラなんだよ」
「変人で統一致しましょうや」
「よくわかんねーな、お前」
いつもながら笑いが絶えない俺達の会話だけれども、しょうがねーから台本合わせすっか、と俺も台本を出した。
「あ、台本合わせっすか?」
と、俺達の会話に入ってきたのは杉田君。
「あ、杉田さんおはようございます」
「おはよう、杏里」
「最近どうっすか?」
「そうだなー中村とこの前番組の収録したぞ」
「うあ、最近会ってないんすよー私たち。それを言いますか?」
「お、そうなのか。そりゃすまんな」
「うわ、絶対思ってないっすよねー」
また始まったこいつらの漫才。
それに突っ込みをいれないままでいるとどこまでもいってしまうこの二人。
突っ込むかなー突っ込まないままでいるかなーと思っていると、後ろのドアから男が一人入って来た。
「またお前らか。何やってんだよ」
「あ、悠一さんだ」
「おお」
「よー中村」
「またお前か杉田」
「中村君も大変だねー」
「あ、神谷さん、おはようございます」
「おはよう」
「こいつらがまたすみません」
と、中村君は杏里を引き連れて楽屋の奥の方へと向かって行った。
「あーあ、取られちゃったね、杉田君」
「まあ、あいつら付き合ってますからね。台本合わせしましょうよ、兄さん」
「うん、そーだねー」
杏里が座っていた場所に杉田君が座るのを見届けて、もう一度台本に目をやる。
「あの二人本当に仲良いですよね」
「んー..?あぁ、まぁあの二人はお似合いって言われてるからねー」
「最初中村に、付き合う事になったって言われた時あーだろうなって思いましたからね」
「俺も思ったーそれ」
付き合う前から仲が良かった二人。
先輩後輩だけの関係ではないだろうとも噂されていたし、シグマは仲がいいからその延長線上じゃね?とも言われていた。
まぁ決定打となったのは中村君が杏里の頭をなでながらその手を腰に回そうとしたのを俺と小野君が見た事から、あ、こいつ杏里の事好きだってなったわけだけども。
あ、噂を流したのは俺じゃなくてあの空気が読めない小野君がその場で叫んだからなんだけど。
..でも、杏里もその小野君の叫びを聞いても顔も真っ赤にしないし慌てもしなかったからあの時すでに二人は両思いだったのかもしんないけどね。
中村君も全然うろたえなかったし。
うろたえる所見たかったなーなんて、ここだけの話しだけど。
なんだかんだでお似合いの二人。
「今日このあと仕事は?」
「んーと..夜の8時からラジオあるんでそれまでなら暇です」
「んじゃあ一緒に飯食いにいくか」
「やった。久しぶりの、ですね」
「ん、そーだな」
いつもの中村君だったらありえないデレデレの顔も、杏里が相手だとよく見る事が出来るわけで。
まぁ、そういう意味では珍しいものを見る事ができるようになった、って思う訳だけども。
でももうそろそろ飽きたかなー...なんて思う今日この頃。