4



「おはよ、悠一さん」

「あぁ、おはよ..」


只今朝の8時。私杏里榊原は悠一さんを起こしに彼の部屋へと行きました。
朝食もつくり(スクランブルエッグとコーヒーとトーストとヨーグルトを用意しただけ)、自分も服に着替え(まぁ昨日と同じ服だけれども)、化粧をし(あんまり好きじゃないからうすーく)、後はまだベッドで寝ている彼を起こすだけ。

「私もうそろそろ出ますね」

「んー..」

自分の腕に顔を隠して眠そうに言う悠一さん。
今日は朝10時から収録があって、私はその一時間早く9時から収録があるから、出るときに起こせと昨日言われた。
早く起きてくれないと私が遅刻するんだぞ、と溜め息をして無理矢理彼の身体を起こす。


「悠一さーん早く起きてくださーい」

「んー..」



仕事だらけで忙しい彼だもの、疲れているのは仕方がないが、私はまじで遅刻するから!!


「私遅刻しちゃいますー」

「んー..」




さっきからんー..しか言ってないけど、大丈夫か?

顔を隠してる腕を上に引っぱり、意味もなく揺らす。



「悠一さん、早く起きて」


仕事でも滅多に使わない女声を耳元で囁く。
この前初めてギャルゲーの声を担当したんだ!!なんか新鮮だった!!その時の声を使ったんだけど、あんまり起きる気配がしない。



「やっぱり男の声の方が良かったですか?」



私は一般的な女性より地声が低いからか、男の子とか少年青年、はたまた乙女ゲームのキャラクターを担当する事が多くて。
だからよく使う声は、高い声で人気の男性声優より全然私の方が低い。むしろ私の声は全く高くない。
この目の前の悠一さん基中村さんとか杉田さんとかは私の声より全然低いからなんか安心する。
え、何がって?


あ、私もとりあえず女子だ。って。


だって私の方がこの二人より低かったらなんか終わってるでしょ!?絶対に!!



「男の声の方が良かったってなんだよ..」

「あ、起きた」



頭をかきながら欠伸をしてそう言った悠一さんに顔洗って、早く朝食を食べろと言う。


「おーわざわざさんきゅー..」

「ねむそうだなーもう..」




のそのそとベッドから立ち上がり、部屋を出る悠一さんの背中を見送り、私は鞄の中を確かめる。


ちゃんと台本も入ってる、眼鏡も持った。携帯もあるし、ipodも入ってる。


異常なし、と。鞄のチャックを閉めて時計を確認。もうそろそろ出ないとヤバい状況。


「悠一さん私もういきますね!!」

「おー気をつけろよ」

「はい!!」



鞄を肩に背負い、収録のときに音が鳴らないようにヒールのない靴をはく。



「じゃ行ってきますねー」

「おーいってらっしゃい」



後ろを振り向きそう言うと、眠そうに私の後ろに立っている悠一さん。
私の頭をなでて、ふれるぐらいのキスをしてきた。


「..行ってきます」


少し恥ずかしくなって、小さい声になった私を彼が鼻で笑ったのを聞きながら私は玄関のドアを閉めた。











朝からすみません。




「あれ、昨日と同じ服じゃない?」

「え?」

「あ、ほんとだー」

「惚気かこのやろー」

「しかもあいつと同じ匂いするんだけど」

「仲良いねー二人とも」




収録現場でに先輩達からいじられてしまう始まり方って..。