ぶっ本主の監督に注意される新人時代
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「黒沢君だね?」

「はい」



ここ最近、良い声を持ってる新人声優が入った。態度も悪くない。礼儀正しくきちんと頭を下げたり、スタッフにも笑顔で話しかける。
何一つ気になる所はない。




と、言い切れるわけではなかった。
唯一、彼のいけない所は、演技への意識の違い。

なんとなくやっているという雰囲気がだだ漏れ。



「単刀直入に言うよ。君、声優向いてないよね」


そう。僕は賭けにでてみた。

良い声を持ち、演技もそこそこに良い彼の未来を良い物にするために。
もしもここでふてくされて消えるのであれば、それだけの人間だったということ。
僕は、この黒沢晃という人間を、見限りたくはない。


「声優になりたくてなったわけじゃないでしょう。

確かに君は声も良い。演技もそんなに悪いわけじゃない。礼儀も正しい。でもね。



そんな人間、五万と居るよ。


そんな中ご飯を食べて生きて行く為には、覚悟を決める必要がある。

これで生きて行くんだ。これで、成功していくんだ。

そういう思い、君にはあるの?ないでしょ?


はっきり言うよ、もしも君がこれから先も声優としてやっていきていきたいのであれば、覚悟を決めなさい。

その態度、改めてから現場に来なさい」



さぁ、僕の声はどれだけ彼に届いたのだろうか。




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