ファン目線でのお話
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今日は私の大好きな推しのイベント。写真集を初回特典で買った人についてくる某都内で行われるサイン会イベントだ。世の中はお盆休み。夏休みも入ってて、たくさんの人がそこにはいた。
私はお盆休みもなく仕事だったため、午後休とって会いにきた。関東県外の人は可哀想だけどこういう時はごめんね先にあいにいってくるわって思う。
チケットを握りしめて、イベントが開かれるのを今か今かと待つ。会社からまっすぐきても、やっぱり休みの人には勝てるわけもなく、私は結構後ろの方に並んでいた。
すると、14時ちょうどになったとき前の方が騒がしくなった。黄色い声も聞こえる。多分あっきーが登場したのだろう。晃君!やらあっきー!!やらたくさんの声が聞こえた。
彼は優しい人で、こういうイベントの時はいつもゆっくりとサインを書いてくれる。ファン一人一人と話してくれるからだ。だから、たとえ後ろの方だとしても気長に待つことができる。あっきー自身はきっと疲れてるだろうに、それを感じさせる事のないプロ意識の高さに毎回毎回感銘打たれる。
「いつも応援ありがとう、またきてね」
「またくるねー!」
自分の番が来るまで前の人達を眺めていく。ニコニコと笑ってるあの顔が本当に仏様か?ってぐらいキラキラ輝いて見えて、タメ口で話してるあの子は、彼女なのか?と思うぐらいの彼氏感。それが一人だけじゃなくて皆に対して同等にやるから恐れ多い。
なんだこの人、ホストか?
いやあながちホストも間違ってなくて。私のフォロワーにホストに通ってた友達がいたけど、あっきーのサイン会や握手会に参加してからというもの、ホストにハマるのをやめてあっきー一筋になった子がいる。
その気持ちもわかってしまうから否定できない。あっきーと話してる時は、自分がお姫様のような彼女になったような感じさえするのだ。
「それでは次の人どうぞ」
スタッフさんに声をかけられ、私は手の中にあったチケットをその人に渡す。
前に並んでた人に手を振っていたあっきーは、そのまま笑顔を私に見せて、こっちにおいでと手を招いた。
なにそれ!?
「今日は来てくれてありがとう、写真集持ってきた?」
「は、はい!こ、ここにお願いしてもいいですか…!」
あんなに頭の中ではこんなことを話そう、あれ話そうとか考えてたのにいざ目の前にすると、なにも言えない。ニコニコと笑ってるあっきーの、そのえくぼや目尻の下がるところを眺めてはただただ、綺麗すぎるとしか思えない。
私は震える手で自分が一番好きな写真のページを開いた。
「お、これ?」
「は、はい….今回の写真集で、一番好きですここ…!」
そういうと、あっきーはページを見てた顔を上げて、にこりと笑った。
あまりの顔の近さに思わず後ずさりをした。
「今回のイベントでこのページ開いたの君が初めてだよ。俺もね、好き」
なにこの人本当に!!!!!
ページに指をさして顔を傾げながらいうあっきーに、私は顔を真っ赤にした。暑い、ここ暑くない?大丈夫?暖房つけてない?
私が一番好きなページは、確かにあまり共通に思ってくれる人はいない。いや皆どのページも好きだろうけどね?それでもやっぱり自分の好きなページというものはあるだろう。
そのページは、花火をしてるあっきーでも、裸になってるあっきーでも、シャワーを浴びてるあっきーでも、ましてや寝ているあっきーの姿でもない。
最後にあるオフショット集の中の一つ。撮影の合間で台本の読み合わせを一人行なっているあっきーの姿だ。
彼が、オフの時やアフレコをする時にいつも掛けている黒縁メガネを片手に、台本に指を添えて座っているあっきーの、後ろ姿。
本気の姿というのは、どうしてこうもグッと来るのだろう。私はこのページを見たとき、あぁこの人のファンをしていてよかったな、と心から思った。
「これね、気づかない間に撮られてた写真なんだ」
あっきーはサインを書きながら、話しかけてくる。そうなんですか?そう言った私に、うんと言ったあと、あっきーの、トレードマークでもある星を最後に書いて、顔を上げた。
「台本読んでる姿なんてあまり撮られたくないし見られたくないからね。頑張ってる所見られるのって恥ずかしいでしょ?」
「そ、そんなことないです…!私はあっきーが大好きだから、どんなあっきーもカッコよく見えます…!」
思わずそう答えた。
いつも飄々としてたり、スマートにこなすあっきーが、実は相当な努力家だと言うことを私は知ってる。いや全部を知ってるわけじゃない。それでも、昔から追ってるんだ分かる。だってそう言うところが好きだから。
前のめりになってそう言えば、あっきーは目を少し見開いたあと、その目をくしゃくしゃにしながら、笑った。
「ありがとう」
その一言に、ファン人生が全て報われた気がしたのだ。
「名前はなんて書けばいい?」
そして、ペンを握りなおしたあっきーが名前を聞いてくれる。私はツイッターの名前ではなくて自分の本名を口にして、ここにお願いしますと言った。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます!」
「こちらこそありがとう」
「絶対一位取らせます!」
「はは、ありがとうね、また来てね」
「また来ますー!!」
手をいっぱい振って、私はスタッフさんに導かれるままにそのブースを出た。
サインが書かれてる写真集をぎゅっと抱きしめて、私は一歩足を進めた。
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