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(研磨だ)
退屈な世界史の授業中、ふと校庭に目を落とすと、とても気だるげな、体育着姿の彼がいた。
(ふ、いつにも増してひどい猫背)
集合して先生の話を聞いてるみたいで、研磨は時々ぼーっと空を見上げてる。
上向きすぎ。私に気付くかな。
ちょっと興味本位で、研磨に気付いてほしい欲が出てきたから
研磨がまた顔を上げた瞬間、控えめに、だけどはっきり手を振ってみた。
(先生にはバレないで、研磨にだけ届け)
小さな願いを込めながら、手を振り続ける。
うーん、微妙に、見てる位置が違う。
結構の間手を振ってたけど、だめ、気付かなそう。さすがに気付かないか〜と思って止めようと思った瞬間。
ぱちっと目があった。
あれ、気付いた!
嬉しくて、思わずパッと笑顔になっちゃって、再び手を振ってしまう。
そうすると研磨は少し耳を赤くして、下を向く。
ありゃ、振り返してはくれないのか。
結局それから顔を上げてくれなかったから、私も手を振るのをやめた。
まだ観察はするけど。
いやしかし、授業中にこんなことがあるのって、ちょっと幸せかも。
思わずほっぺたが緩んでにやけてしまう。
毎日がこうだったら、ちょっとは授業受ける気になるんだけどなあ。
まあ今も授業の内容は、別に全然頭に入ってきてないんだけど。
(あ、移動しそう)
研磨のクラスの列が崩れ初めて、みんな別々の場所へ向かっていってる。
研磨も行っちゃう。
最後に、目、合わないかなあ
ダメ元で、またガン見してみる。
気付け、気付け〜
そしたらそれまでずっと下を向いてた研磨がふいにこっちに顔を上げた。
あ、目、あった!あった?
やった!嬉しい!けども、
まあさっきみたいに逸らされて終わるかな、と思ってたら。ら。
さっきよりも耳とほっぺを真っ赤にしながら、小さく、ほんとうに小さく手をひらひらしてくれた。
(…け、研磨くーん!)
今すぐ、今すぐ校庭に行って、だ、抱きしめたい…!
可愛いが過ぎるお手振りの破壊力に耐えきれなくて、いつもみたいに余裕ぶって手を振り返すことができなかった。へなへなとその場で顔を伏せてしまった。正直にいうと人生で一番照れた。
(うわあ〜…きゅんきゅんする〜……!)
そんな感じのある日の世界史の授業。
明日はきっとまじめに受けます。
だから今は、今はこのときめきに浸らせていてください。
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前のサイトに載せていたものです。
こんな青春を送ってみたかった…!
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