「サイタマ先生の順位が、
最下位の288位から342位に上がっています。」
「え、まじ?」
一昨日の事件から一夜明けて、ジェノスがとってる新聞を眺めていた俺はジェノスの言葉に驚いた。あんなんで一気に46人抜きか...ってことはみんな強盗とか相手にしてんのか。やっぱりC級は残留するのに難しいんだな...。
新聞の下方にある『変態忍者男逮捕』の文字にちょっとほくそ笑むと、ジェノスはパソコンをカタカタやって自分の順位を調べている。
「俺は今のところヒーロー活動をしていませんので、変わらずS級最下位のままです。」
「ふーん。」
「ですが一般人の人気投票では6位になってます。」
「なんで?!?!」
「俺については
メディアへの露出を一切拒否するクールさがいい
顔がかっこいい
サイボーグ王子
19歳の若さでS級デビューした天才
鉄の無表情の中に儚さを感じる
イケメンヒーロー五本指に入る。
などと書かれています。」
「…お前それ自分で言ってて恥ずかしくないの?」
「これらは俺の外見だけを見た感想です。俺自身の評価ではありませんから。」
「ああ、そう...。」
ジェノスのこういう所は嫌いじゃねーけど、なんつーか、すげぇな...。
別に俺も持て囃されたいわけじゃねえから嫉妬したりはしねーけど、そっか人気投票なんつーのもあるんだな。パソコンを覗き込んで上位の人間を見ると、もはやなんつーかジョニーズ事務所所属って感じだな。
興味を失った俺はジェノスがいれてくれたコーヒーを飲み干して、また新聞に目を落とした。アマイマスク最新主演作は猫の惑星、番犬マン今回もお手柄……
かき消された女神の行方……?
なんだそりゃ。
「...俺のことをよく知り、理解して、褒めて下さるのは○○さんだけですから。」
「○○なー...。もう1週間以上経つけど、連絡無いな。」
「そうですね...。少し、ひっかかることもありますし。」
「引っかかること?」
ジェノスはまたパソコンをいじって、とある巨大掲示板サイトを開き俺に画面を見せた。
#mtr1#
#mtr2#
掲示板には○○の(隠し撮りされたであろう目線の無い)画像と、憶測が飛び交っていた。確かにそうだ、○○はいくらなんでも帰ってくるのが遅すぎる。携帯に連絡をしても帰ってこないし、今しがたジェノスが確認したところ電気メーターが回っていないことから冷蔵庫とかも電源を落としてコードを抜いてある可能性がある。
ってことは、○○は自分から姿を消したのか...?
...妙な胸騒ぎがする。
俺は、気付かないうちに○○のSOSを見逃していたのか?
PPPPPPPPP
「と、すみません。ヒーロー協会からです。」
「おぉ、出てこいよ。」
ジェノスの携帯が鳴り、ジェノスは電話に出るために少し離れた。俺はマウスを触ると、さっきの画面をスクロールする。
女神、か。
確かに、○○は誰にでも優しいし、料理もうまいし、まぁ、その、女神ってあだ名がつくのも納得するくらいには綺麗な見た目をしてる。
思い出せば、初めて対面したのは○○が襲われてる時だったな。Z市の危険区域にまだ住民が居たなんて知らなかったけど、すげー綺麗な人間が居るもんだなぁって思ったよ。
破れたドレスからおっぱいが丸見えだったからパーカーを羽織らせてやったら、わんわん泣き出してとりあえず俺の家に連れてったんだよ。そしたら次の日には俺の家の隣に越してきてて驚いた。
そっからはもう、
『サイタマさんっ!お夕飯を一緒に如何ですか?』
『映画を借りてきましたの、でもホラーなんです。一緒に見てくださいませんか?』
『サイタマさん、お時間があるようでしたら一緒にスーパーに行きませんか?』
『サイタマさん!明日は卵が100円ですわよ!』
『サイタマさんがいつでもヒーロー活動ができるように予備を持っていましたの!』
『サイタマさーんっ!』
『サイタマさん?』
『サイタマさん...!』
「...せい、先生!」
「うおっ!」
「大丈夫ですか…?今しがたヒーロー協会から電話がありまして、S級ヒーローに収集がかかったようなので行ってきます。」
「お、おお、行ってこいよ。」
「○○さんのことも調べてきます。もし万が一何かあれば...」
「まぁ聞くだけ聞いてこいよ。もしかしたら危険を感じて自分で身を隠してるだけかもしれねーしな。」
「...だったら、いいんですが。」
ジェノスはトランクケースを持って家を出ていった。
俺はまたパソコンに目線を戻して、パソコンをスクロールする。すると、気になる一文が出てきた。
1048 : 名無しのヒーロー@\(^o^)/
女神の目撃情報キタ!
朝にヒーロー協会本部近くの喫茶店で見かけられたらしいぞ!今は捕まってるけど脱獄犯のパニックと一緒にいたらしい。
パニック二回目の脱獄して女神助けてくれねーかな
「は、パニックと?」
なんでアイツと?つーか...
『本当に大切なものの危機にさえ気づけない。』
...なんだよ、それ。アイツは何か知ってんのか?アイツに聞けばわかるかな…っつーか俺がアイツ捕まえちまったんだっけ...ああああくそ!!!!こんなん見てじっとなんてしてらんねーだろボケ!!
俺はヒーロースーツに着替えて、家を飛び出した。最後に見た一文が、なぜか俺の心をざわつかせたからだ。
1056 : 名無しのヒーロー@\(^o^)/
>>1048
俺も見た。
パニックと手を握りあってたよ。
泣いてたみたいだった。
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