【海底】
コポッ、ゴポポ……
「あれは地上にあるわ。
わたしはどぉーーしてもあれが欲しいの……。」
「はっ!現在、数日前の隕石の被害によってシェルターが損傷しているので、今であれば手に入れるのは容易いかと。」
「あらそう!じゃあすぐに行きましょう。ついでに地上の人間達も皆殺しにしていらっしゃい。みぃーんなお腹をすかせているわ。」
「畏まりました!深海王様!」
「ンフッ。さぁわたしの手下達、わたしを更に強くする、
かわいいかわいいお花ちゃんを
手に入れてらっしゃい……。」
「海人族???」
「はい、現在A級ヒーローが1人で戦いを挑むも、苦戦中とのことです。災害レベルは虎。以前サイタマ先生が倒した海人族の仲間らしく、たった今 応援要請が来ました。」
俺のヒーローランキングが2位に上がったことをジェノスから聞いてすぐ、ジェノスの携帯が鳴った。なんかランキングが上がる度に電話かかってくるな。
どうやらJ市で俺がこの前倒したイカだかタコだかの仲間が数匹暴れているらしい。どーすっかな……。あ、さっき見たチラシは海産物安売りだったな。よし、行くか!!
俺は思い立ったや否やヒーロースーツに着替えてジェノスと家を飛び出した。
(視点change)
くそっ……思ったよりもやりやがる。
海が荒れて、大きな雄叫びが聞こえた時にちょうど近くにいた俺はすぐに悲鳴の聞こえた方へと走った。これでもA級ヒーローの端くれ、最近は俺のタケノコもいい相手が居なくて退屈してたところだ!ソッコーでぶちのめしてやるぜ!!!
……と思っていたが、結構 強い怪人だ。何度も叩きつけられて顔は腫れ上がり鼻血も吐血もある。しかしここで俺が逃げればこいつらはもっと中心街へと向かうだろう。俺が背中を見せるわけにはいかねえ!!
「やってくれるじゃねーかヌルヌルが!!」
「愚かな人間めが。早く降参して、我々に神の血族を引き渡せ。」
「それが意味わかんねーっつーんだよ!なんだァそりゃあ!」
「ククク、愚かな人間共が神の血族に手を出すとは、やはり淘汰されるべき種族!!」
「意味わかんねえことばっか言いやがって!まぁいい!ひっさびさに骨のあるやつとの戦いだ、俺の愛槍(あいそう)タケノコも喜んでるぜ!」
「いきがりおって。お前は死ぬ。お前を応援する者も皆 逃げ出した。だが、楽には殺さん。同胞達の為、見せしめにじわじわなぶり殺してくれよう。」
ケッ、言ってくれるぜ……。
正直、体力もそろそろ限界だが、まだ、いける。俺の必殺技をこいつらは見ていない。
4体同時にこちらへと襲い掛かってくる。俺は地面を強く蹴って、タケノコをそいつら4体が重なる瞬間に強く突き出す。
これでトドメだ!!!
「ギガンティックドリルスティンガー!!!
4連突き!!!!」
(ドドドドッ!)
「グゥオオオオオオオオ!!!!!!!!」
はぁ、はぁ……やった、やったぞ!!!俺ひとりでこの町を守った!こりゃ災害レベル神クラスだ!!!これで俺もS級ヒーローの仲間入りだ!!!
俺は達成感に打ちひしがれて、背後に迫っている存在に気が付かなかった。というよりも、早すぎて気がつけなかったんだ。
ボギュッ!!!
「あなた、不愉快だから死んでもいいわよ。」
「ッ…………!!!!!!」
骨が何本も、あと、内蔵もやられたようだ。クソッ……なん、だ、こいつ、は…………!!!!!!せっかく、せっかく、ランキングが上がる筈だったの、に……。
「弱っちいわ。さすが人間。……さて、あっちの方から匂うわね。」
……?な、ぜ、〇市へ向かうん、だ……?神の、血族、って、なん、……
ダメ、だ、もう、意識が……。
【〇市 ヒーロー協会設立美術館(現在閉鎖中)】
べきッ、ばりばり、バキャッ!
「……んフッ!みぃ〜〜つけたぁ〜〜。」
「(コポ……コポコポ……。)」
「美しいわぁ〜...まるで真珠のような肌、珊瑚のような髪...。さすが神の血族ね……。」
瓦礫と壊れたシェルターをぶち壊して中に入れば、そこには片手で掴めそうな大きさの水槽と、口にマスクをはめられて幾つものチューブで繋がれている神の血族が眠っていた。その美しさに思わずうっとりするけど、わたしはお腹がすいてるの。海底にいる者達も今か今かと食事の時を待っているんだから、早く人間達を皆殺しにしなくっちゃ。
がしっ
ギギギギ……!!
『緊急警報発令!緊急警報発令!外部カラノ攻撃!本体破損70パーセント!』
「うるっさいわねえ。」
『ヒーロー協会ヘ通達!緊急警報発令!外部カラノ攻撃!本体破損90パーセント!』
「あら、以外としっかり作られてるわね...。で、も。前の隕石のせいかしら、水槽にヒビが入ってるわ……可哀想に怖かったでしょう?わたしがすぐに海底に連れていってあげるわ。」
水槽を破壊してそのまま中身だけで持ち運ぼうかと思ったけど、案外頑丈に作られていたのと、どうやら酸素チューブやらが繋がってるみたいで面倒だから水槽ごと運ぶことになっちゃうわね。まぁ目を覚まされても困るし。
水槽を片手で持ち上げて、繋がってくるチューブを引きちぎる。酸素チューブを引き抜いたのか中に大きな気泡がゴボゴボと溢れた。……ま、イェルクヴェインだし液体の中でも平気でしょ。苦しいのは最初だけ、環境に適応する種族だもの。
『ヒーロー協会ヘ通達!緊急警報発令!外部カラノ攻撃!本体破損95パーセント!』
「五月蝿いのよ。」
ブチッ!!!!
『緊急警報発レ、イ……ヒーロー、キョウ、カ…………ザザッ』
「やぁーっと静かになった。さて、人間臭い方向はあっちね……行くかしら。」
片手に掴んだそれを眺めながら、人間の気配が沢山する方向へと歩く。
わたしが地上にやってきたのは、地上の支配と、この神の血族を手に入れ、心臓を食べて不老不死になること。あなたの心臓はどんな味がするのかしら……ウフフ、海底に行ったら、ゆっくり堪能させて貰うわ。
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