朝の一件の後気づいたら出掛ける時間だったためとりあえずばたばたと学校に行き、今日は講義が午前だけだったため一回家に戻り色々調べたらいくつか分かったことがある。まず私が今居るところは杯戸町らしい。まわりの建造物とか景色は何も変わっていなかったが、住所だけが綺麗に全部杯戸町に変わっていた。
杯戸町⋯。割と聞き覚えがあるし、確か結構話の中で出てきてたところだよね⋯。あんまり覚えてないけど結構大きな事件とかも起こってた気がする。でもまだここが今まで物語で見た町だと確定したわけではない。だって、周りを見てもいつもの景色で、さっきまでいた学校だってまるでいつも通りだったのだ。自分がそんな場所にいる実感がまるで湧かない。
そしてさらに調べると、毛利小五郎をはじめ工藤新一や鈴木財閥、怪盗キッドなど作品の中の登場人物や物がどれも実在するものとして出てきた。逆に名探偵コナンに関する情報や家にあったマンガ、グッズなどは綺麗に消えていた。でもそれ以外の物とかはあまり変わってないように思える。
「どういうことなんだろう⋯。状況的に今までいた世界にコナンの世界が混ざってるって感じだけど⋯」
とりあえずここでいくら考えても仕方ないよね。百聞は一見に如かずって言うし見に行ってみようかな。
そう決心して、にわかには信じられない状況に少し疑心暗鬼になりながらひとまず行動しようと最小限の荷物だけ持って家を出て最寄り駅に向かって歩き出した。
−−数十分後
「と、いうわけでひとまず米花駅に着いたわけだけど」
どうしたものか。とりあえず勢いで最寄りだった杯戸駅から米花駅まで来たものの。さっきまではありえない状況に混乱しているばかりだったが、元々私は名探偵コナンのファンなのだ。話を全部追っているほどではないけど、アニメを見たりちょっとグッズを買ったり、あとは映画は毎年複数回みるくらいには好きな作品だった。ちなみにゼロの執行人を見てから安室さん推しである。少し落ち着いて考えてみると好きな作品に入れるなんてめちゃめちゃすごいのでは?もしかしたら少しくらい話したりできるかもしれないし。なんて思ったら、さっきまでと裏腹にワクワクしてきた!デパートとか遊園地とか見に行きたい場所は色々あるけど、まずは主要な所を抑えとくべきだよね。となると、工藤家か毛利探偵事務所か⋯。行きやすそうなのは毛利探偵事務所かな、やっぱり。あれだったらポアロでお茶とかしたらよさそう。よし、そうと決まったら向かうとする⋯
「あ」
やばいその前に銀行寄らなきゃ。交通費チャージして手持ち全然ないんだった、危ない危ない。銀行途中にあるかな⋯。変わってなければもう少し行ったところにあったはずだけど⋯。
「あ!あったあった!」
よかった〜。細かい建物の場所とかはあんまり変わってないみたい。ほっとしつつ銀行の中に入ると結構混んでいるみたいで大分列ができていた。ATMでお金をおろすため列に並びふと周りを見渡す。と、奥の方に見覚えのある小さい背中が見えた⋯気がした。
いやいや、いやいやいやいや、そんな簡単に会えるわけないし、気のせいだよね⋯たぶん⋯
まさか、見間違いだろうと現実逃避しながら順番を待っているとやっと自分の番が来たのでATMを操作して無事お金を引き出し、帰ろうと出口に向かって歩き出した、瞬間、
バンッ
「出入口にロックをかけてシャッターを閉めろ!全員一か所に集まってもらおうか!」
突然響いた銃声と怒号に顔を上げるとマスクを被った数人のおそらく男たちが入り口を塞いでいた。
「…嘘でしょ」
武器をもった犯人たちの悍まし気な雰囲気にさっきまでのワクワクから一変、湧き上がる恐怖に頭が冷えた。