張りつめた上を均すのは

『何、言って』

「薄狼は決まった時間に目を醒ますが
全ての時間を一度幼い頃に想い出し暴走した後
産まれて来た事を記憶消去するのがある。お前はそれだ」

違う!と言いたい。なのに倒れている山崎の傍に膝から落ちて
逃げる手段迄頭が回らなくなる

気を確かに持てと土方が怒鳴るが
薄狼の言葉が衝撃的過ぎたのか、混乱したままその場から動かなくなってしまった

「やはり未だ幼生ですらない、か。ならば好都合
お前を処理するまでだ」

急に動いて来た奴の顔は美人顔と言えばそうだろう
身長は土方程で、髪の毛の色は白そのもので銀にも見えた
強いて良く絡む銀髪の万事屋と違うとすれば、髪型がストレートで
後ろに結っている程長いと言った処だった

青い眼が土方を睨み
何故庇うと声をかける
その声は短調であっさりした感じで

土方「一応隊員なんで、ね!」

斬り込みを入れようとすると、華麗に交わされる
速いと思ったのも束の間、刀を青い色に変化、否刀が青い色を帯び
その剣で土方に切りかかろうとした



『違う』

倒れた山崎さんを救えなかった事?

それとも逃げられない事を否定したい?

『違う』

刀は重くて、正直持っていられない
だからと言って持ってきてない馬鹿がいるか
でも、鞘だけはきちんと持っている

其処に剣が入っていないだけ
でも、彼は剣を持ち尚且つ朝狼で戦闘系の人間である

叶う訳が無い、でも今を変えねば


土方「ぐっ!」

直後、土方の肩から血がふきとんだ
その血が未夜の頬にパタパタと飛び散った


嗚呼、止めて


「どけ、そいつを処す。」


嗚呼、今を変えねば、


土方「未夜!逃げろ!!」


彼”も”消えて無くなってしまう!!



嗚呼!やめて!!



「(開いてしまったか)」

土方の肩を切った事により、未夜はぎゅっと目を瞑り
手元に力を籠める

フラッシュバックの様に流れていく記憶を遡り
一人の子供に出会う


ーねぇ!−−になろー!

少女は手を伸ばした
顔も知らない子供

なのに私は知っている。
それを確かに、今知った。


『彼女を、殺さないで!!!』

ふわりと髪があがり、眼の色が変わった
未夜は両手を広げ白髪の青年に向かって威力を放つ
手の中にあった光は淡い水色を放っており
もろに受けた青年は唸り苦しそうな声に土方は息を整え
未夜の傍に行った

その顔は、何かを強く願った後、叶わなかったと絶望したような眼

『駄目、殺させない。皆大事な人だから』

だから君は悪い人。私の大事な人達を殺そうとする、悪い人。

暑い、と自らカツラに手をかけ、取り除いた色に土方は目を開いた


淡い水色に近い白
それは力を酷使した証

「その程度でその色か、まぁ初期にしては恐ろしい力と言った処だな」

『や、めて!もう誰も壊さないで!!』

耳を遮るように手を置いた未夜はまるで駄々をこねる子供
嫌だ嫌だ現実を見ない子供のような振る舞いから
立ち上がり鞘に手を伸ばした

キッとみている眼差しは睨んでいる様にも見える
その眼に良い眼をするじゃないかと朝狼の者はいう


手を付けた未夜は誰もと繰り返す

誰も、誰も、誰もを
まるで昔、誰かに殺されたのを根に持っている様に

未夜の眼はやがて青色に輝き始め
ある筈ない鞘から刀を抜いたではないか

その光たるや、朝狼が持っている刀とほぼ一緒
然し未夜の刀青緑色で、色が薄くなったり濃くなったりと
不安定になっていた

その輝きに怯んだのか、またなと言って攻撃を繰り出そうと
走り出した未夜の刀は宙を舞い、そのまま倒れる

待て!と土方は身体を動かそうとしたが
負傷したこともあり追いかけるのは無理だと判断した

消えた朝狼、そして力を使った未夜



土方はこの件ただ事では無いと悟り、目を閉じた