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oo
「…おいおい、嘘だろ?」
手を差し伸べる
触れる頬の温もりは、暖かいはずなのに
「…いや、現実よ」
何故だろう、温度は感じられないのだ
「…都佑が、」
まぁ当たり前なのだ
だって今私は
「2人?」
もう1人の私と手を取って笑って居るのだから。
「…何故だ、何故そこまでする」
『ずっと笑って生きれる時間がどれ程困難で
どれ程ありふれた普通なのか、君は知らない。』
それで良かった。
昔は、それで良かったのだ
『でももうここでおしまい。
物語から飛び出た先は出た者のみが知ること。』
「…都佑?」
『ねぇポップ』
「な、なんだよ…」
『どうして私が貴方の知る魔法以外しか
使えないのか、やっと教えられるのに』
貴方は私より先に気付いてくれていて
私はどれ程救われたか。
ありがとう
「都佑?お前、何しようとしてんだ」
『ずっと笑って生きれたらよかった、
…ずっと笑って生きれるのは、君だ。』
目が光る
ダメだと声があがるも、私は止めない。
嗚呼、この世界に産まれたら
私が望んだ普通は訪れたのだろうか?
手を繋いで笑って過ごすだけなら
「…こうすれば夢は叶うのに、」
今かなっているはずなのに
どうしてだろう?
胸が痛いのだ
私はどれ程望んでも、掴みとらなかった。
それは弱かったからだ
心がとても弱かった。
でも私は笑った
『いいの』
今叶うだけで笑って居られたら
一体どれ程良かっただろうか?
「…ほぉ?まだ我の前に立つか」
異界の者よ
その言葉に都佑やバーン以外が驚き目を丸めた
『嗚呼、立つさ。いかにも、我は異界の者。
あと一つ魔王バーンに謝っておくよ。』
「…?なんの事だ。」
『私はこの世界を滅ぼす事が出来ることを』
その言葉にバーンまでも目を丸めた
『ポップ、私きっとこの球ぶっぱなしたら死ぬわ。
いや1人死ななかった奴いるけど、
アレは神々に魅入られた者だと思っていたんだけどな。』
「な、なに言ってんだよ、お前が人間じゃねぇって」
『私は人間だよ。』
嘘だなんて声に、何処か聞き覚えがある
嗚呼本当にこの現実を見たくなかったんだな
『まぁ話は最後まで聞け』
『その世界は神だ。混沌から生み出せる
大いなる神の力を使うから、世界がリセットする。
その力はその世界にのみ発動される…筈なのに』
この世界に来てみれば、まぁ使える使える
死んだ魔族の力さえも使える。
なら、混沌の神の力も使えると思った。
「ならば何故謝る」
『この世界諸共滅ぼす可能性があるのが使わないことのひとつ
あとはこの魔法、本当に引き出し場所分からなくて、威力が分からないんだよ。』
「成程、使わないというよりかは
使えるか分からないから使えないってことか。」
『だからこーんな小さな壁の中だと本領発揮出来ないわけよ。
私はこの世界の異端なんだよ?本当にこの世界を滅ぼせる力なら、
ここよりもっといい場所で使わせないと、』
私は死にたくても死ねないのだ。
「…なら、近い物を出せばよかろう
先程の暗黒の剣より遥かに強度のあるものを」
目の色が変わる
ソレは私が1番恐れていること
「成程、滅ぼすよりも難しいと申すか」
『(どうする!恐らくドラゴンクエスト上
ボスが出たからには出れない。奴はダイ達を
逃がさないようにボス戦を挑んだ筈。)』
ラスボス戦は勝つか死ぬかしか方法がない
ゲームならまだやり直しが効くものの
ここは現実世界なのだ。
1度きりの命に何ができる?
ヒュンケル、ポップ、マァム、クロコダイン
共に戦闘は難しい。ダイは戦闘不能に近い。
ならば今まで隠しまくっていた
魔法を使うしかないのだ。
なのに何故コイツは分かった!
不完全版
本来完全版
だがそうすると逃げれる力所か生死に関わりかねないと考えて温存していたのだ。
完全版は魔族に通用するが、この世界では
どうなるか分からない以上使えない。
ましてやこんな状況で
「都佑!どうして使わねぇんだよ!こーあんなじいさんちょちょいとやれ」
『うるさい!!やって私が気を失えばどうなるか分からないからしねぇんだよ!!!』
久しぶりに大きな声で人を怒鳴った気がする
ごめんなんて返す余裕もない
今使えるのは命をかけた魔法だ
『魔王・魔族・人間・神・世界そのものの源と呼べる存在という、創造主
さぁどうする。
気を失えば世界はパァだ
気を失わず奴の頭にぶち当てたくても
ポップらに被害が間違いなくでる。
私は
生かすなら完全版
ボスを殺す一択なら
恐らく火炎だろうがなんだろうが魔法は無理だ
しかもこの2つとも詠唱が長い上に使えるか
定かでは無いのだ。
然しこれ以外方法がない
覚悟は決まった
『マァム、私貴方が好きよ。ポップの事頼んだわよ。』
「…え?都佑?なに急に」
『ヒュンケル!もうちょっと女の子の気持ち考えてあげなよ!』
「…おい、都佑お前まさか!」
『クロコダイン!肩車してくれて嬉しかったよ!』
「死ぬ気か!都佑!!!」
『ダイ、自分の気持ちに素直になってね。』
寂しそうに笑い、ダイに向けて言う
ダイは都佑、と寂しそうに声を上げた
『ポップ、』
「嫌だ!嫌だぜ!俺ぁお前のこと」
『好きな人と、幸せに生きて。』
私はそれだけで幸せになれる。
そう、幸せにならなければならない。
私は人間でも、ポップ達とは違う世界の人間なのだ。
「ーっ!都佑!!やめろ!!!」
なら、私は前に立って後ろの皆に笑顔を見せるべきだ
前を向けば、太刀打ちできないボスのみ
その者に、天罰を下すべきなのだ。
嗚呼、下されるのはどちらなのか。
『闇よりもなお暗き存在、夜よりもなお深き存在よ!!』
詠唱を続ける両手は下でクロスしていたものを徐々に上にあげる
手の中に金色の光が眩き始める
『混沌の海にたゆたいし、金色なりし闇の王』
この世界で何故別の世界の呪文が使えるのか
私は何処かで分かっていたのだ
この世界が、スレイヤーズの世界と同じ世界の一部なのだと
それなら辻褄があうのだ。
そもそも一度ファイアーボールをポップめがけてぶっ放した時に分かった。
嗚呼、私は違うのだと。
『我ここに汝に願う!我ここに汝に誓う!!』
ダイ、ポップ、マァム、クロコダイン、ヒュンケル
この者達に、幸せが少しでも訪れるように
この者達が、どうか私がいなくたって笑えるように
どうか泣かないで。
どうか、私の力を信じて。
『我らが前に立ち塞がりし、全ての愚かなるものに!』
どうか滅びて
私の命そのものをかけて!!
この呪文を、打ち放つ!!!
『我と汝が力もて、等しく!滅びを与えんことを!!』
大きな力が手の中に入る
嗚呼そろそろ限界だけど、踏ん張りどころは此処だと思う
足を地面にしっかりつけて、下に落ちる重力の重みに逆らい上にあげる
『
ー決まった!!
奴めがけて力が作動した!!
金色の光が心臓の方に向かい発動し始めた
その間に私の髪の毛の色が真っ白に染まり始めた
『滅びなさい、世界に呪われし大いなる力よ』
意識はそこで止まった
++++++++++++++++++
無我夢中で身体を動かして都佑の背中を腕でとらえた
「…おい、都佑?何か言えよ」
首を手で支えないと重力に逆らわずにうなだれる
その姿に、後ろで見ていたマァムが嫌と叫ぶ
「都佑!!」
「ポップ、やめろ都佑はもう」
真っ白な髪の毛
昔都佑が一緒に師匠と特訓をしていた際に言っていたことを思い出す
どうして思い出したのか、彼女の走馬灯とでも言うのだろうか
ーねぇ魔法力つきたら髪の毛白くならないの?
ーあ?なんでそんな事になるんだ?師匠なったことあります?
ーいや、ない。お前さんはあるのか
ー…正確には友人がなってたので。私はなったことないですよ。
それ程強力な魔力を使うなんて、馬鹿のやることだと思っていたので。
そう言っていた彼女が、
「おい、ふざけんじゃねぇよ、前に馬鹿のやることだっつって言ってたのは何処の奴だよ…!」
「ポップ、ダメよそれ以上は」
「なぁ…なんで、そんな魔法使えるんだよ、なんで、使っちまうんだよ」
ーまぁもし髪の毛が真っ白になったら、きっと私は生きてないでしょうね
“だって白い髪は生命の力そのものも使うものだから”
それは禁呪中の禁呪
どんな相手でも一発で滅ぼしてしまう
「…まさかこれほどの力を持つものが」
「嘘だろ、おい」
バーンの前には効かなかった
「かなり痛かったが、所詮人の力よの」
真っ白になって意識もない彼女の二の腕を強めに握る
都佑が力を抑えた?いいやそれはない。
都佑は笑って力を見せない事はあるが、言いたくないのに
ネタバラシをした上で力を抜くなんてことは性格的に無理だ。
それはバーンが史上最高であることを、意味した
「ここまでよの」
「おい、ヒュンケル、おっさん!!どけよ!!」
「ポップよ、死に場所位、持たせてくれないか。
それに都佑がこんな身体を張って命をかけたのに
俺らが受け止めなくてどうする?」
「同感だ。ポップお前達は逃げろ。ここで俺達が食い止める!!」
真っ白になった都佑の髪の毛が揺れる
ふわりと撫でた髪の毛は、一体何時から撫でていなかっただろう?
「皆まとめて死ねぇーー!!!」
「うぉおおおおおお!!!!!」
クロコダイン達が力を振り絞り、バーンの力を受け止めたが
消えてしまったことに、ポップは震える手を握り締め
都佑を片手で抱きかかえた
「マァム、最後まで、俺の手を、握ってくれないか?」
「…ええ、分かったわ。都佑の手も」
嗚呼、そう言って掴んだ手のぬくもりは、消えていなかった
その温かさに、今まで生きていたのだと思い知らされ涙があふれる
泣くなとポップが言うも、無理な話
だってずっと傍で戦ってきた一人が今
力を振り絞って力尽きたのだから
「都佑、私も、貴方のこ、と、好き、よ」
「ーっ、お前さんら、両想いなのに、どーしてそう
早死に、すんだよ…」
すると都佑の首飾りが光り出した
まるで最後まで諦めちゃだめだと言わんばかりに
光り輝きだす
「最後まで、諦めんなだとよ」
「…ええ!!」
もう赤い光が目の前にきたと思ったその瞬間
地面に亀裂が走る
何事だとおもい、声のなる方に顔を向けた
馬鹿だと思った、そんなはずはないと
「ハドラー!!貴様ーーーー!!!」
「さっさと逃げろ!俺はダイを撃つのだからな!!」
そう言って赤い世界が真っ白と青の二色だけになったのも束の間
海に投げ出されたことにポップは浮き上がってマァムを探した
「っ、マァム!!無事か!」
「っええ、都佑は!!」
咄嗟に都佑を強く抱きかかえたおかげで一応腕の中にはいた
だがいつ離れるかわからない
渦の中、とにかく生き延びることを優先にしていた間
みたくない色が空を横切った
「…ダイ?」
「おい、待て!!ダイは!ダイはまだ死んじゃいねぇーー!!」
そう言った後、大きな波でポップやマァムの意識は途切れる