Novel - Paola | Kerry

it's just you


ぼくのひみつときみのひみつ

20/09/15
1

『ああああああモモちゃああああん』

そう泣きだしたメルに、モモノキはまたかと
軽くため息交じりに吐きながら彼女の名前を呼んだ

「なんですか?安名さん。また宣戦布告されたんですか?」

『ほんっっっと許さん…あの金髪顔面ちゃらちゃら悪魔。』

金髪顔面ちゃらちゃら悪魔と言い出したメルに
少し遠くから聞いていたダリが噴出したのを
モモノキはなんとか堪え、何を言われたのか聞いてみる。




此処は悪魔学校バビルス。
名門校である教師として新人の時から仲良くしてくれた
優しい先輩…少し抜けて、いやかなり抜けている。

頭のネジ3つどころか5つ程抜けていそうな
彼女が、どうやってバビルスの試験を
クリアしたのだろうか…
間違いなく実技試験で突破したのだろう。


バビルス教師になるには試験に、
実技と面接、紹介状の3つが必要になってくる。
ロビン先生だと実技でもぎ取った位だ。
メルの面接は誰もが分かる位ズタボロ。

紹介状と実技の二つで何とか成り立っている。

明るい水色の髪の毛をなんとか左右で
分けて三つ編みをしている
彼女の名前は安名メル。

あの理事長サリバンの養子として生活を共にしている。
左右になんとか分かれた三つ編みから
抜け出して横髪がまとまりきらず横に垂れ下がる

何故か頭の上にはくるくると長いアホ毛が
ぴょこぴょこする…ソレに関しては謎多く、
生きているのではと思っている悪魔も少なくはいない。

この学校の教師七不思議にランクインしている程だ。


白いシャツに中には明るめの
グリーン系服を羽織っているのが見える。

まぁバビルスの制服をきっちり
着ている為中々見れないのだが。

そんな彼女がまたと言ったのも
彼女が新人の時に世話になった際
オリアス先生から弄られまくっているのだ。

「当時は滅茶苦茶可愛かったのになぁ〜
いつの間にこんなやんちゃっ子になったんだか…」

「絶対途中で弄り過ぎたんですよ〜
まぁ気持ちは分かりますがねぇ。」

僕だって昔からやります。
そうダリが言うのに、オリアスが苦笑いした。
ダリはメルがバビルスの生徒だった頃の担任であった。


『文字ミスっただけなんです〜ほんと一文字間違えただけなのに
ダジャレにしか見えないってー!!むきーーー!!!』

「安名先輩…流石にそれは
普通に教えてくれただけでは?」


というかそのご本人
後ろに居る事に全く気付いていない。
メル…本当に大丈夫なのだろうか?

『全く、あの覚えてろよ…金髪顔面ちゃらちゃら悪魔め』

「だーーれが金髪顔面ちゃらちゃら悪魔だってぇ?」

『ん!?…ぎゃーーー!!金髪顔面ちゃらちゃぶっ』

「せめて最後まで言えよ!!途中で終わらせるな!」

って言うか顔で笑うとか先輩泣いちゃうよ!?
と言ったオリアスに
勝手に泣いとけとメルが言う。非常に冷たい。

『はい、これ直した資料です。つぎの授業はたてなおすので
忠告ありがとうございました。』

嗚呼、と言って次の打ち合わせの資料を提出したメルは
次の授業どこおおおと走り出した。
逆だよーーと一部の教師に言われて
ありがとうございますうううと声が近づく。

今日も元気である。

「全く、飽きない子だねぇ〜」

「ま、元気が何よりですからねぇ」

我々も次授業ですし移動しますかーと言ったダリに
だるいですけど行きましょうかと言ったオリアス
まぁそのだるさも先程からはしゃぐメルに癒されて一同
リフレッシュしている事は、メル本人知らないことである。


+++++++++++++++++++++++++++

『打ち上げですか?うーーん、今回はパスでお願いします。』

「あれ?珍しい。いつもならほぼ皆勤賞の
メルちゃんが断るって…なに?明日デート?」

ちっ、違いますよ!?そう顔を赤らめて言ったメルと
からかっているダリにオリアスが気付いて近づいた

「何の話してんすか?」

『あ、顔面ぴかぴか大魔王だ』

「おい、俺のあだ名何通りあんだよ」

100と言ったメルにオリアスが頭をグリグリしながら
レポートでもかかせようかー?あー?と軽く体罰を下す。

「にしてもお酒余り飲まないメルちゃんが出ないとは…明日の飲み会やめとくか」

『いややって下さいよ。私単純に明日忙しいだけなんで』

「え?なんでよ」

『オペラ先輩と久しぶりに息抜きのお話と、
何か明日大事なお話を祖父から受けてるので。』

四月の入学式も始まるこの時期
忙しいのがやっと抜け切ろうとしていた。

まぁ本番は近づいているのだが、
そんなことは知ったことではない。

家庭の事情なら仕方がないかなと言った
ダリにうんうんとメルが頷いた。


「大事なってそんな長く話す事か?」

『なんか話は聞いていませんが、
サプライズとか言ってたので…
全く父上の言う事は何が起きるか分からないので
…主に私が勤めていた本屋も軽く
辞めさせられて教師になれって言いだしたし。』


「おおぉ、そういやそうだったな…」


好きでやり始めた本屋の店員を
まさか半年足らずで辞めさせられて
その理由がまぁ…教師が足りないからと言った理由で
面接等一通りはして合格したメル。

新人教師の時は右も左も分からず
おどおどしながら何もない所で躓いていた彼女も
今では立派なバビルスの一教師だ。

空想生物学の教師で、同じ空想生物学教師の
バラムも助かるという位活躍している。


『ま、そういう訳で今日はお先に失礼します。』

「メルっちゅぁわーーん!!一緒にかーーえろ!!」

『……こうやってお迎えきたんで』

「あ、ああ…お疲れ様ー、」

そう今でも来そうな予感だったのか、
予想的中のフラグ回収が秒だったことに
軽く同僚のダリとオリアスは引きつつ、
彼女と父であるサリバンが帰ったのを見て
大変だなと二人は頷いたのであった。

+++++++++++++++++++++++++++

『所で父上、用事とは一体何用ですか?』

「ふっふっふ、今日初孫ができましたーーー!!!」

『なんでええええええええええええええ!!!!!』
まぁ大きな声は出る。

すっと出された男の子…だろうな、
青髪のはねたアホ毛がまた目立つ。
冷や汗を出してまだ困っている彼がソワソワしている。

「いやーずっと初孫欲しかったから〜
メルちゃん何時まで経っても結婚しないし」

『そりゃバックあんたがでかすぎんだよ。バックあんたが。』

「思い切って養子とってみましたーー!!」

『今すぐ居た所にもどせぇ!!』

えーって言うサリバンにメルが怒る。
親はどうした親は。
そう言ったメルに、男の子が声を上げた。

親に売られたと


うん?売られた?


『…そう、か、売られたか…マジかよ。』

「マジです」

『災難だなぁ君も…』

「そうそう、ちなみに名前は入間君!
この子人間だからよろしくね?」

『何でそうホイホイ人間連れてくんだこの馬鹿ーー!!』

「なぐったーーー!!!」

そうメルが思いっきりサリバンの頬を叩いたのに入間が叫ぶ

「ん?ホイホイ?え、今ホイホイって言いました?」

そう言った入間にメルがしまったと青い顔をした

「そうだよ。入間君の思った通り、
ほらばらしちゃったんだから自己紹介して」

『…メル、本名は安名メル。
わけあって3年前位からサリバン家に養子になってます。
人間の女です…あの人間年齢的に、歳は今年で23歳位かな。』

「人間だーーーーーーーーーー」

そう驚く入間がかなり喜んでいる。
それもそうだ、この悪魔しかいない世界に一人
しかも女の子が。傍に。
しかも家族としているとは思わなかった。

『私も…ああまぁ深い話はまた今度ってことで
よろしくね入間くん。
私名前の方でお姉ちゃんって言って。
流石に貴方を産んだ設定なんて
バビルスで通用しないから。』

「え?バビルス?」

「君を悪魔の学校に通わせようと思っててね!
その学校の名前だよ!」

「君両親に連れまわされてろくに
学校通えてなかったでしょ!?大丈夫!
手続きはもう済んでるんだよね!!
いいよ君は僕のおじいちゃんだもの!
嗚呼いい響きだねおじいちゃん!
入学式は校門で一緒に写真撮ろうね!!」


鈴木入間、安名メル共に置いてけぼりである。


「人間が入学した前例とかないけどさ、
バレなきゃ食べられることもないよ!多分!」

「バレたら食べられるの!?」

「いやーでも入間くんが良い子で良かったよ」



「…もし断られたら僕は君を今夜の食卓に出すしかないもの…」


そう言ったサリバンにメルも思わずぞっとした


「あれ、メル、さんは…その」

『嗚呼、自己紹介って言っても色々未だだったね。
初めまして。私の名前は安名メル。好きな物は音楽かな?
本とかも好きだけど、髪の毛弄ったりするのも好きなんだー。』

アホ毛同士だねと言うメルに入間は頷いた

「鈴木入間と申します!14歳です!!」

『そっかーよろしくね入間君〜!
私の事はメルお姉ちゃんって呼んで!!』

「メル、お姉ちゃん?」

そう言った後、メルの口から血が出そうなモーションに変わる
瀕死、瀕死ですと言ったメルにサリバンが駆け付ける。
この仲間入りになりたくねぇなと入間は思った。

かくして着々と入学式準備は整い…入学式当日。


メルは頭を抱えまくっていた

「だ、大丈夫?悪周期?」

『いや、大丈夫…だと思います多分。』

メルの勘はオリアスの家系魔術占星ラッキーハッピー以上に当たる。
多分が付くほど正確なのだ。
今回の始業式が無事に終わる事を願った。

校歌斉唱そう入った言葉に、メルもぴしっとする

ー人間丸々、我らの食い物ー魂・血と肉、残さず啜れー

『(嗚呼ダメだ、絶対に目立たないようにしよう…!!!)』

オリアス達にも教師誰一人も伝えていないメルは
毎度この校歌を歌うたびに仲良くなったから
言っても良いかなと思う気持ちを殴り倒す。



そう、何度でも言うが、メルは人間なのである!!



「ーえー続いて理事長挨拶」

その言葉で理事長が喋る

「入間くーん!おじいちゃんだよー!」

『(ああああーーー馬鹿ーーー!!!理事長の馬鹿ーー!!!)』


メルはオリアスの隣で顔を塞いだ。
横目で職場の同僚に可哀想な視線を浴びる。
やめろ…これ以上私の居場所を無くすでない…!!!

「実は孫が入学しましてね、これがもう可愛くて可愛くて」

「…え、メルちゃん、出来てたの?」

『できてないです。あとセクハラ』

ぐっと言ったオリアスにメルは
顔の熱をさますことだけ考えた

「そんな孫と撮った一枚がこれです」

「『嗚呼ーー!!拡大写真ポスターッ!』」

しかもちゃっかり私も載ってる。
いや後ほど配布しますってる
あいつ後でマルバス先生から貰って
拷問用の何かで処刑しようかな。

きっとカルエゴ先生あたりなら
気分よく乗ってくれるだろう。
後で言おう絶対言おう。
もうやだ恥ずかし過ぎて逆に私死にたい。


折角顔を冷まそうとしていたのに
真っ赤になって耳まで赤い。

誰も要らねぇよそんなものっ!
ポスターすごい嬉しそうな理事長可愛いけど!!
ってか入間君私と理事長の関係も知っているんだろうか?

そういや伝えてなかったけど、
言ってるんだろうか?彼。
…いや言ってねぇなきっと言ってねぇ。

「では続きまして、新入生代表挨拶」

「新入生代表アスモデウス君…
に代わりまして特待生入間君登壇してください」

『(何故!!!)』


おっと心の声が。
でもおどおどしながら上がる入間君がこっちを見た


「えっ!?え、メルお姉ちゃん!?」

『(あーーその顔絶対理事長言ってねぇなぁーーー!?)』

そう此方にくる入間君にしょうがないと首を振って前に出た

『…入間君ごめん後でちゃんと話するから
とりあえず向こうね。
あとポスター裏みてくれる?ヒントねこれ。』

そう言ったメルはニコニコと笑って
手を振って元の場所に戻る
それにオリアスが「何?兄弟」と聞いてきたので
そんなところですと答えた。

「あべるはぅけ」

あ、空気が一気に変わった。
何なら両隣の教師も背筋が
今まで見たことない位ぴんって立った。

あれ?この言葉…

「たるとぅだり、いうさべべ」

あれ呪文詠唱だった、かな?

「りすとぅるあぶるぜ、すとぅまぬ、あべるげ、うる」

「まほらば、つれざざ…」

そう言った後、会場が急激にワッと歓喜になる

ダリ先生が急いでマルバス先生とモモノキ先生を連れて
ダメじゃないかと叱りに言った

「ちょっと君!駄目じゃないか!
禁忌呪文なんて唱えたら!!」

『(えっ!まっ!何で禁忌呪文にしてんですか!!!!)』



“禁忌口頭呪文”
読み上げるだけで魔術が発動する。
ハイリスクでほとんど博打みたいな呪文。
しくると死ぬ。


「いや、アレ言わせたの?メルちゃん」


『いや!?んなわけないじゃないですか!!
裏に理事長から入間君宛に書いてって言われたから
お手紙軽く書いただけですよ!?…あ、あいつすり替えたな?』

そう思ったメルに、オリアスはなら良いんだけどと言った。

「アレ読み間違えたらしくると死ぬやつでも成功したら
一日転ばなくなるだけだからなぁ」

『(いんや効果しょっっっぼ!!!)』

だが、何とか無事に始業式は終わった。
…理事長、私今すぐ心臓が持たないので
退職届け出したい気分です…。

+++++++++++++++++++++++++++

始業式の掃除というか、生徒を帰らせていた頃
メルは教職というのをほっぽりだして
理事長に申し出に行こうとしていた。

その中、オリアスとたまたま・・・・理事長に会いに行くべく
廊下で会った。しかも周りは誰もいない。

「あ!メルちゃん丁度よかった、聞きたいことあって」

そうニコニコした表情で此方を見てくる。
帽子を整えつつ両手を広げて言う仕草をする時は
ろくなことがない。



うーんいやな予感




「子供いたの!?」

的中!!


メルは首をブンブン横に振りながら否定する



『違います歳の離れた弟です!!』


「此間の大事な話ってこのことだったの!?」


『そうです!!』


「にしても娘にも内緒って
…でも孫って言ってたよね?」


おっーーと!?
ニヤリと笑ったオリアスに急いでいるのでと
そっぽを向いて走り出すメルの腕を掴み
そのまま歩いていくのに何も言わない。


『っ!(まずい!!)』

空き教室に連れてかれ、鍵を閉められた。
運が悪い…いや彼にとっては運が良いのだろう。

「俺に何か、隠してるよね?」

そうドアを隠すように此方を見てくるオリアスに
メルはいや何のことだかとしらを切ろうとするも
焦っているのが声にも身体にも出てしまい、隠しきれず更に焦る。


『な!何も隠してないです!!』

「嘘」


びくりと身体が跳ねる。


ダメだ、人間という言葉だけは喋れば一発アウト。


何か別の事をばらさなければ。



「まさかメルちゃんも孫だったなんて、嘘つきー!!」



へ?



「いや前に娘って言ってたけど、
あれ背伸びしてただけでしょ?
実は理事長のお孫さんだったなんてー!!」



へ!?



『なっ、ちょ!』


「いや良いんだよ、どうせ理事長から
年齢的に入間君入学させるねって
急に言われて驚いて困惑してたんだろ?
いいからー俺が責任もって
皆の誤解解いておくからさー!」



いやそれもそれでこんがらがるので嫌なんですけど!!

いやでも…どうでもいいか!

人間バレするよりかはどうでもいい!!!



色々ありすぎてもうどうでもよくなったメル!!


それでもいいのか!

(いいんだよ!!!)


「ああ、腕ごめんね
強く引っ張っちゃった!?」

『え?ああ…別に大丈夫ですよ。』

暫くたてば痕も消える程のものだ。
昔の記憶が乱雑に砂嵐がかかる

ーんで!



嗚呼、あんな場所には戻らなくて良いのに。


どうして私の頭の中は
あの人たちが中心なのだろう。




「メルちゃん?」

『あっ!な、なんですか?』

「ああ、呼び止めてごめんねってもう行って良いよ」

『あはは、そうですか!
ならいきますねーお疲れ様ですー!』




はーいお疲れ様。
そう言うオリアスの顔に
笑みが入っていた事など
彼女は気付いてなかった。



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