入学式が終わり、夜になった。
普通に流れるように終わって本当に良かった。
『(それにしてもオリアス先生まだ
聞き足りなさそうな感じだったけど
…一体何だったんだろう。)』
まさか人間って!?
いやそれだとしたらもっと嘘つくかな。
それに私には翼がある。
『(…勿論、別の悪魔が使っている
何処にでもありそうな翼だけど。)』
なので頑張れば白い羽根だって作れる…
嗚呼でもきっとまずいだろう。
一番まずいのは
私が人間ということなのだが。
「おかえりなさいませメルさま。」
『ただいま…おぺら先輩』
「オペラとお呼びして頂いても構わないんですよ?」
そりゃそうなのだが、
バビルス生徒だった彼に対して
むやみにオペラと呼べる私ではない。
…それに親だってそう教えてはいないのだから。
嗚呼、あの場所には戻れない。
「メル様?」
『いやなんでもないよ』
私は此方の人間になったのだ。
後悔なんて無い筈なのに、
どうしてこんなにもモヤモヤするんだろう。
今更、私の居場所が
揺らぐことなんてない筈なのに。
「お食事が出来ております。
入間様もお待ちしております。」
「え、いきますいきます!!」
そう走って行くメルに
オペラも後を追った
「あ、メルお姉ちゃん!」
『ごめんねぇー
待ちくたびれたよね!
今からご飯食べるねぇ』
そう言って食べだした量が多いこと。
私はあんぐりしたけど、
すぐに大食い大会のテレビを思い出して
嗚呼それ位かーと考えた。
せめて彼が吐かない事を願う。
食べて消化できずに吐く
大食いの人も居る位だ。
その類だとしんどいらしいし、可哀想だ。
「にしてもよく食べるねぇ。
メルちゃんももっと食べていいからね?」
『…いや私はこれ位で充分です。』
流石に女子よりも食べない位なのは困るだろうが
私はご飯さえ食べればいいのだ。
だがこの世界は肉料理や魚料理が豊富である。
普通に私の食えるものが限られる。
何とかこれでも料理のレパートリー増えた方だよ。
作る側も、食べる側もね。
「美味しいのに…」
「また職場でお菓子を
お召し上がりになって
帰られたのですか?」
『今日は食べる暇無かったよ!?』
「何時も食べられてるんですか!?」
『ちょっと美味しいだけだもん!!』
そう言ってたわいもない会話を始めて、食事が終わる。
そう言えばメルさんは香水かけて出かけているんですか?
と聞いてきた入間にそうだとメルは答えた。
香水がないとメルもまずい状況にある。
『一応ね。それがどうしたの?』
「お風呂って、僕どうすれば」
『あーお風呂終わってから
香水掛けれる様にいつも持ってる方が良いよ。
友達とかに言われたら
気に入っているものだって言えばいい。
教師陣にはもし取られたら
私から言って返してあげる。』
もしくはお爺ちゃんがなんとかしてもらえるだろうし。
一応二つ位私は持っている。
入間の香水とは違い
私は中身がピンクのハート型の細い形の香水だった。
一回だけ振りかければいいだけなので、
先の方がハートになっており
ガラスがキラキラと光りに反射する。
『だから安心して使っていいよ。
おやすみー入間君』
「わかりました!おやすみなさい!」
そう走って行った入間に対して、
後ろから声を掛けられた。
「今日もご無事そうで何よりです。」
『今日ガチヤバかったけどね。』
「オリアス先生ですか?」
『そそ。腕掴まれて空き教室に連れて行かれた時はビビった。
香水切れたか、また生理初めで人間の血疑われたかと思った。』
「一応まだ先の予定ですよね?」
『運よく違ってよかったけど、
サリバンの娘じゃなくて孫じゃんって
どうでもいい会話に流れてね。』
へぇと目を細めたオペラに対して
メルは部屋のドアを開けた
『ひとまずは大丈夫そうだから
これからも警戒しておくよ。』
「その方がよろしいですね。
もしバレた際は此方を使用してください。」
そう言われて手渡されたのは
一つ赤いボタンが押せるものだった。
何かと聞けば、オペラ先輩に直接ブザーが鳴る使用だ。
駆け付けて守ってくれるらしく、申し訳ないものだが、
一応貰っておくことにした。
一体何時で恐ろしい目に合うか分からない。
ドアを開けてお休みなさいと伝えドアを閉めた。
「ー全く、君も難儀な一日を送るもんだね。」
『本当だよ…ルア』
そう小柄の制服姿の少女が現れる
左手の薬指にはめてる為か
周りは結婚していると錯覚している。
実はその魔除けも含めて
本来居る訳がない者が封じられている。
『私は一体彼らに言えてない秘密
いくつ位あんだろうね』
「控えめに言って10はあると思うよ。」
ですよね。そう深いため息を吐きながら
手にある指輪を眺めた。
今のランクは
此処迄来るのに大分苦労したがなんとか来れた。
流石に魔王になるつもりもないが、
もう少しすれば
位が上がれば上がる程
人間界に渡航できるというものだ。
だが、人間界に行ったとして、
私が出来ることはほとんどない。
強いていうなら、幼馴染や好きだった人が
どうしているかを見たい位だ。
…親は、きっと見なくて良い。
夢幻の中だけで、良い。
それだけで私は満足できるのだから。
満足しないと、生命活動を維持できない。
「にしても今日は危なかったね。
アレ絶対人間だってバレてる。」
『機会狙ってるって感じだよね?
ほんと毎回君には助けて貰えてありがとう。ルア』
どういたしまして。
そう言った少女ルアは
私の髪色と違い橙色正反対の髪色だ。
右耳に羽根飾りを付けているのが特徴の、
腰近くまで髪の毛を伸ばしている。
「それよりも時間の問題とは言っても、どうするの?
メルのその人間として仮にバレても、帰る場所は?」
『勿論何処にもないさ。
教師だし、魔関署通報ものだろうね。
人生そこで終わるよ。
私はそれ位の人間だったってことさ。』
それにバレたら養子とは言え入間君の危機にもなる。
一応血は繋がって居ないと彼にも伝えてはいるものの、
何処まで信用されているのか不明だ。
そんなことよりも今日の課題と
今週の職員会議で
報告するものを纏めないといけない。
私はバックから資料を取り出して
机にばらまいたのだった。
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「悪魔が悪魔を召喚したって!!」
へーと思ってゆっくり自分の水を飲んでいたら
入間君がカルエゴ先生を召喚したってと聞いて
目の前にいたモモちゃんに思いっきり噴き出してしまった。
今度お礼にお茶菓子を渡そう。
『にしても、入間君やらかすなぁ…』
「いやー流石理事長の孫ですねぇ!
嗚呼、メルちゃんも
そういやかなりの好成績で学校卒業してたよね?
前代未聞!
『いやアレはまぐれが呼び過ぎたんですって…』
「流石メルちゃんの弟さんだよねー
似た者同士って凄いね!!」
何か凄い噂になって帰って来そうで怖いと思ったメルだったが…
そういや悪魔召喚、私もしたな…昔。
人間だから嫌な予感して、
試しに適当に覚えていた悪魔の召喚文字描いたら
まさかのダリ先生出てきてびっくりしたわ。
最初は一年契約できっぱり終えようとしたのだが
「面白いから!」の一言でまさかの六年間
ずっと彼が使い魔になってくれていた。
まぁその後は流石に生徒ではなくなったからと言って
使い魔から外れたのだが。
ひゅー!人間最高!!!
今はオペラ先輩が使い魔として
居てくれるから安心である。
まぁもう期限切れまして、
オペラ先輩も卒業してくださいと言ってきた。
いやどうしよう次の悪魔探ししないといけない。
と言っても次の悪魔を探すって言ってもなぁ〜
途方に暮れる私に、いっそのこと
ルアちゃんが使い魔にならねえかなって
思ったが流石に無理だとのこと。
流石に無理かーーー。
すやりと眠って次の日。
「あ、メルちゃんだ。」
そう誰もいない所でオリアス先生に声を掛けられる。
そう言えば、と声を掛けられて
うんと話を繋げてしまったことに
私は後悔して欲しい。盛大に。
「メルちゃんって人間かな?」
私の命はこれで終わりそうです。