『ふぇええ!どうしてこうなったんやぁああ!!』
次の日、何故か早朝に全員を呼び出して近藤が
余りにも都佑が我儘を言わないので半強制的に
いわれた事はやってみよう大作戦を一日行う事になった
正直我儘と言ってもやること成す事全て叶っている。
誰かに何かを買わせたりなんて
自分の中の常識が罰当たりだと怒って来るもので
彼らの意思は申し訳ないが…スルーさせてもらう事に落ち着いた
今日一日休みになった都佑としては
何処に行こうか見当も付かないし、
行きたい処は…無くは無いのだが
この時期に行っても意味がなかったりする。
欲はあるのだ。それなりに。
うん。あるある。きっとある。
ただ、彼らに説明すると予想以上に私の欲は小さ過ぎて
寧ろ欲がない方が正解とまで言われた始末だ
そんな分けで、何故か隣から沖田さんがくっついてきます。
止めて下さいサブイボ立ってますなんて本音言ったら
確実に傷付くので心の中でそっと呟いておこう。
沖田「さっさと俺に我儘言うでさぁ」
『強いて言うならちゃんと見回り行って仕事して下さい。
あと出来れば今日一日自分から被害出さないで下さい。』
土方さんの仕事が増えれば私の仕事も必然的に増える
それだけは嫌なので、そう言うと「仕方ねぇ」と言って
案外さらっと離れる
ん?良いの?
沖田「都佑の我儘なんだろぃ?」
『いやまぁそうだけど…ううん?我儘なのかなコレは。』
むしろそのまま仕事だけすれば良いと言う願望ではないのだろうか?
いやでも我儘って何だ?我儘って自分の欲を他人に押し付けて
ほぼ無理矢理かなえさせるって言うジャ●アン方式ではなかったか?
そうなら申し訳ない、すぐに訂正しようと思ったが
近藤さんの局長命令が特に効いてしまっている
上下関係のまじめさには頭を抱えてため息をついた
今日一日誰でも我儘を言って良いのであれば
『ねぇ沖田さん!私一度やりたい事があるの!』
あんなことはどうだろうか?
+++
沖田「何事かと思いきや、まさか、くくっ、こんなっ、ぶっ」
土方「てめぇ笑うな!!ってか何でこんな
しょーもねぇ願いなんだよ!岡本!!」
銀時「そうだぞ!幾ら万事屋としても
都佑ちゃんの頼みだとしてでも
流石にこの多串君とは仲良く出来ねぇよ」
『無理っ、笑う、っけほっ、むりぃ
…笑い死ぬぅげほっごほっ』
「「勝手にしねぇええ!!」」
そう都佑が言った最初の我儘とは
沖田から銀時を屯所内に入れさせて土方と
一緒に二人が仲良くなってしまえば良いと思ったのだ
元々犬猿の仲以上に悪い関係だとは思っていたが
本当にイライラしている二人の仲は別に
分かち合ってしまえば息ぴったりに
『はっ!寧ろ仲良くなれば息が揃わなくなったりするかな?
いやでもせめて二人ともお手て繋がない?』
土方「だっれがこの腐れ天パと繋ぐかぁああ!!」
銀時「何でそんなハイレベルな我儘しか出ないの!?
無理だって言ってるでしょー!?聞いてるー!?
ちょっとお宅の子頭大丈夫!?ねぇ!多串君!!」
土方「前々から頭のネジが飛んでるとは思ってはいたが
此処までとは知らなかったぞ万事屋
ってか俺多串君じゃねぇからな」
さりげなく突っ込みを入れる土方と銀時に
都佑はもう既に大満足であった
二人が会う機会なんて殆ど無い上に
正直喧嘩嫌いの都佑は仲良くなればと思っていたのだが
どうやらこんな我儘もかなわないらしい
そうあからさまにしょげていると
本当に嘘偽りなく涙が込み上がってくる
おお!?私泣いちゃダメだぞ!?二人気づく前に
沖田「っ!土方さんに旦那ぁ、都佑の我儘くれぇ
叶えてやりやしょうよ…ほら、もう泣きそうですぜぃ?」
『うわぁああ!何やってんんおおお!総一郎君!?
やめてえええコレ汗だからぁあ!汗なのぉおお!!』
首を横に降りたくも後ろから顎をグイッと掴まれて
二人の方向を向かされている為涙もそのままポロリと
…ん?ポロリ?
『・・・・・』
土方「うゎあああ!っ何泣いてんだぁおまぁあああ!!」
銀時「え!?コレ俺達が悪いの!?え!?嘘でしょ!?
演技でしょ!分かった!銀さん騙され、な…」
『ふぇぇ…』
演技じゃない上に何故か涙溢れてきた
そう言えば両親もこれ位喧嘩していた時があったと
思い出したのをきっかけにボロボロと涙が溢れる
恐らく二人の仲の悪さと両親の仲の悪さを
かけ合わせてしまったのだろう
いやそんな事考えていないで、とっとと涙を止めよう
グッと我慢しようとした都佑に沖田が
そっと後ろから抱き締めて刀を抜く
今すぐに手繋いで仲良くしないと殺すなんて
言うものなので、急いで涙を止めようとする都佑
幼い子が泣き出すのはわかるが
私はもう子供処の年齢ではないのだ
恥ずかしいことこの上ないので早く泣き止もう
グズグズとはしたが、止まったあたりで
沖田が上から「見てくださせぃ」と前を向ける
かなり頑張っているのか二人は
汗だらだらと流しながらも
顔を引きつらせて握手していた
すると急に銀時は土方の肩を引き寄せて反対側に腕を置いた
それに腹を立てそうになった土方だが
今の我儘は”銀時と仲良くしていること”である
そもそもの種は土方が撒いたものでもある
近藤はそれに乗っかり命令をだしたことだ
勿論さらに乗っかって命令を出した自分もあり
引き下がれない状況にしたうちした後
銀時だけに聞こえる様に「今回だけだぞ」
と言って何も反撃する事無く落ち着いた
銀時「ほらよ、コレで良いか?」
そうニヤリと笑う銀時に都佑はやってくれないと
思っていたのだが、握手処か、いやそうではあるが
呆れた様子の土方が銀時にされるがままで肩に腕を
置かれて何も言わない
まぁこれで良いか、なんて思い都佑は嬉しそうに笑って頷いた
+++
銀時「流石にもうこれっきりだからな?」
『勿論だよ。そのお詫びにさ、
一度見てみたいとは思ってたから
ほら!銀さん!あそこのカフェ行こう!』
銀時を屯所内に入れたのはこの後
一度入ってみたかったスイーツ系のお店だった
都佑は元々食が細い為一つ位スイーツを食べても
残す可能性が高い事を察知して、この世界として生きる様に
決意してから殆どスイーツに手を出してなかった
みたらし団子等食べれる物も限られており
どうしても食べ物の枠は広げたかったのだ
甘いもの好きの銀時が居れば
都佑が残しても嫌じゃなければ食べてくれるだろう
それに彼は曲っても白夜叉だ
攘夷志士やこの世界の人間の全ての始まり
彼の傍で少しの時間だけ居れば、何か新しい
きっかけになるかも、なんて何を望んでいるのか
すらわからないものを考えながら
私は銀さんの向かい側に座り注文する
銀時「っつーか本当に食って良いのか?」
『全然?寧ろ遠慮しないでよ、数時間前のお詫びと
此処に来てくれたお詫びも兼ねて、ね?』
銀時「数時間前の話は水に流してもう二度と思い出したくもねぇが
こんな場所にきたけりゃ銀さんは大歓迎なんだけどっつかー呼んで?」
そう逆にわがままを言ってきた銀時に
都佑は笑って会話を楽しんでいる
その頃
土方「なんでよりによって腐れ天パなんだよ!!」
新八「仕方がないですよ、あの人甘党ですし
それに都佑さんの事でしょうから
自分が行きたい処が他人も同じ場所なら
人の笑顔も見れて楽しめて一石二鳥!
なんて事考えそうじゃないですか」
新八のいう通りで、都佑は元々
他人が喜んでいる姿を観るだけで満足する性格で
如何せん自分だけが喜んでいるなんて処は
未夜の時でもあったかどうか分からない程
スイーツ系で一緒に食べても文句処か喜んでくれる人は
スイーツ好きの銀時以外彼女の頭の中には立候補者は居なかっただけだ
土方ら真選組の人間にと命令を出したのだが
何故か他の人間まで巻き込んでいる事に
彼女が気付いているかどうかはさておいて
神楽「都佑は良く人を選んでるネ。
マヨラーならマヨかけて台無しにするし
サドなら安心して食事出来そうにないヨ」
沖田「おいチャイナてめぇ土方は
良いとしてなんで俺もなんだよ」
土方「俺の名前サラッとタメで言ったよなぁ!?なぁ!!」
新八「余り接点が無い人には確実に
我儘は言わなさそうですし、神楽ちゃんと行けば
食費がバカになりそうにないでしょうしねぇ…」
そうジロりと見た新八に「失礼ネ」とダミ声で話す
神楽は時々都佑と遊んでいる程の仲であり
食事も彼女からと言う事に関しては悲しくも彼女から
頂いている事は確かだ。
然し彼女も神楽の様な子供に払わせる様な人間ではない。
神楽と遊んで楽しんで居ると彼女曰く『ご飯沢山食べれちゃうね』
なんて言って笑い女の会話を広げていると言った
土方「チャイナ、お前と一緒に飯食っている時は
大体あいつどれ位食うか分かるか?」
神楽「んーと、丼一杯と茶碗一つ分のご飯は食べるヨ?」
その回答に土方と沖田は思わず大声で驚きそうになったのを
土方の口に新八、沖田の口に神楽の手が抑えつけられる
一瞬バレたと焦った二人が銀時と都佑の席を見るが
都佑は自分のケーキを口に含み嬉しそうに首を横に振って
堪能していた最中だったらしく、ホッと安堵の息を吐いた
と言うか万事屋の前でやけに花出てねぇか?
沖田「それはチャイナの食い意地じゃないのか?」
神楽「失礼ネ、私都佑の食べてる処見たことアルネ
都佑寧ろ嬉しそうだったヨ?『余り行儀悪く食べれないから
神楽ちゃんと食べる時間は楽しいね』って言ってたヨ」
土方「まぁ女同士っつーのもあるだろうが…
酷い時は一日一食って噂で聞いた事があるからな
それなら寧ろ毎日あいつと一緒に食ってやって欲しい位だな」
新八「え?…い、一食?」
沖田「最近は三食ギリ食えてるって言っていやすが
量が半端ねぇ程すくねぇんでさぁ。
一緒に食いに行こうって言っても
なるべく量がすくねえ方頼みやすし」
神楽「きっと私が都佑の分まで食べるからネ
今日も銀ちゃんと来たのは”確実に残さない様”になるからヨ」
都佑は他人に嫌われる事を酷く恐れている節があり
それには土方ら真選組は一切そんな事は無いと断言出来るのだが
本人は必ず「もしもの事」を考えて行動している
人が嫌いになる理由やきっかけは本当に小さな事で
それに気をまわしていると何時か病気で倒れないかと
近藤も心配して時々土方に愚痴る位であった
神楽が言う様に「確実に食べられる人の前」でのみ
沢山食べている様で、現に見張っている場所から
銀時の前にあるケーキに幾つか手を出しているのだが
明らかに言っていた量以上は食べている
その為流石の銀時も困惑し、お腹を壊さないか心配していた
銀時「な、なぁ、大丈夫なのか?そんなに食って・・」
『別に問題ないですよー、お腹痛くなったら
持ってきている薬飲みゃ何とかなりますし』
銀時「悪くなるていで話を進めんなよ!
具合悪くなって返したら俺
お前の上司に殺されるぞ!!」
土方「分かってるじゃねぇか…ぶった切ってやる」
新八「いやいや土方さん今刀出すところじゃないですからね?」
そう土方が刀を取り出そうとしたのに新八がすかさずツッコミを入れる
銀時が焦るのも無理はない、都佑は最初「ケーキ一つ位が限度」
と言っていたのだが、一つは軽く超えて大体3つ程食べている
更には
銀時「ってそれ俺のぉおお!」
『ふふ、これも美味しいね』
都佑はさり気なく人の物に手を出す
それは前に土方らも仲良くなり気軽に話せる様にと
あれやこれや考えていた頃に何度かされた事である
本人曰く「人の食べ物が美味しそうに見えて
そのまま横取りして食べる事は信頼している事だ」
と言っていたが、本当は真似してはいけない。
然し食が細い彼女が自分の飯まで食べて元気になるのであれば
寧ろ自分の飯全て食べてもらって構わないと、一度
食堂で大騒ぎになった事がある
勿論その時は土方の鶴の一声で静まり
それ以降都佑が誰かの
ご飯を横取りする処は見なくなった
その話に新八は遠くから都佑の様子を見る
嬉しそうに笑って銀時と話している姿は
終始笑っており、口角が一向に下がらない
それどころか顔から身体から花が飛び交っているのでは
と言わんばかりの嬉しそうな姿には
新八だけでなく真正面に居た銀時もため息をついた
銀時「ったく、そんな事まさか
多串君達にもしてんじゃねぇだろうなぁ?」
『ん?前にしてたよ。美味しいのかと思い
好奇心が湧いてそのまま手を付けました。』
土方「アレ好奇心で動いてたのぉおお!?
なんつう好奇心だよ!!
サラッと流れる様にしてたけど!?」
『でも私が手を付けたのって
土方さんと近藤さんと沖田さん位ですよ?
なーんかお父さん思い出しちゃって
横取りしてたんですよねー!』
銀時「え?お父さん??」
『うん、銀さんから強奪してるのも、お父さんの
食べ物強奪しているやり方そのものでやってますよ?
神楽ちゃんとかの食べ物を奪った事無いしね』
都佑が行っていた”強奪”はあくまでも
前世で生きていた都佑の生みの親である
父親の飯を取る感覚で取っていたと言う事は
銀時ら四人の対象は”前世の父親”目線であった
それに男と見られている処か父親としての
認識に軽く銀時、遠くで見ていた土方、沖田は
ショックを感じていた
『銀さん達を寧ろ男の人として意識しちゃうと
私動揺して何喋るか分かりませんし?
これ位の距離で良いのです』
銀時「これ位って俺の食べてるのが良いって?
いやだからそれ俺のってば!なんでそっち食わねぇの!?」
『秋田』
銀時「飽きたの間違いだよね!?って秋田県
この時代ないからね!?っつーか何処だよそこ!!」
『上っかわ?』
銀時「日本地図で言えよ!上っかわなの!?
なんでクエスチョンマークつくのぉお!?」
軽くトリッキーになりそうな銀時に都佑は笑い
ごめんと謝るが全く反省してない顔に
銀時は許さねぇとの一点張りだ
『うう…じゃあ何したら許してくれる?』
銀時「!?そ、そうだな、ち土方「せぇええええい!!」」
綺麗に頭の横から土方の刀が飛んでくる
勿論それに気付かなかった都佑は驚き
反射でギリ避けた銀時も同じく驚き冷や汗をかいていた
土方「おい腐れ天パぁ…今何言おうとした」
銀時「何?言ってほしいの多串君ったらーしょうがないなぁー」
沖田「じゃあ旦那ぁこの目を見て先の事言える度胸ありやすか?」
そう沖田も隠れていた全員が現れる
それに何となく察していた都佑はそんな事という感じだ
寧ろ銀時が何を言いかけたのかが気になっているのか
両手をグーにして首を傾げる都佑
その綺麗な瞳には『今から何を話してくれるのだろうか?』
と言わんばかりの…憧れに近い様な輝きに
何かではなく正確にはナニの話をしようとしていた銀時だが
何処か罪悪感が沸き上がり「言えません」と項垂れた
『えー?チーズケーキ一緒に
食べに行こうねとかじゃなかったの?』
言わなくてよかった。と銀時は思いながらも
土方達3人は「え?そっち?」と意外な話に
自身の腹の黒さに追い打ちで罪悪感を抱く
神楽「都佑はそのままで居るといいネ
銀ちゃんに食われない様に私も見張るネ」
銀時「え!?なんで俺が食う話になってんの!?
っつーか都佑ちゃん俺それが言いたかったの!」
『え!?本当!?じゃあまた今度一緒に食べに行こうね!
今度は銀さんからわからない様にぶんどるから!』
フンフンと鼻息を荒くして意気込む都佑
男性として見られて居ないことはショックであったが
フリーと分かれば手を出さない事に越したことはない
銀時は「今度な」と言って微笑み都佑がまだ
チーズのクリームを口に付けていた処を指で取り
そのまま指を舌で舐める
すると都佑の顔は真っ赤になり手を開いて顔を隠す
流石に意識したか、と満足そうにしていると
左からガチャリなんて嫌な音がする
沖田「旦那ぁ、覚悟はイイですよねぃ?」
勿論この後店の一部は崩壊、真選組に新しい請求が来て
沖田と土方、銀時に暫く口を効かなかった都佑に
かなり落ち込んだ事は、また別のお話しである