都佑はニコリと笑う
嬉しそうに、自分が自分だと認めて
まるで初めての経験を感じ喜ぶ子供の様に
「でも、私は君に何度傷付けられても
この幻は終わらないよ?」
『良いよ、終わらなくて。
終わりも始まりも、何も無かった
…のだから!』
そう言った直後
少女に刀を向け走り出した
髪色は変わり目の色は赤く血走る
少女は手から赤い刀を創り出し未夜の刀を受けた後
距離を取り二人は戦闘を開始した
柏木「副作用を自分の中に取り込み
自分の物にしようとする魂胆かー
ったく、俺も年寄りの役目が終わるってわけだぁ」
そう服をバッと脱いだ爺さんから若い
すらっとした男性が出てきた
柏木と言った医者が黒い炎を纏った衣装を着て
長い髪の毛を後ろで纏め木の上から飛び降りる
落ちた、いや降りた先で隊士達が剣を構えた
然し何もしてこない柏木に構えるだけ構えて様子を伺っていると
沖田が近くに行き説明を強要する
柏木「土方を”蘇生”した後副作用でな
一番苦痛になる幻が今目の前に居るんだよ」
土方「幻?あいつがか?」
柏木「一度土方その者も居ただろうが、
あいつ自分一人に絞りやがって敢えて飲み込むつもりだよ
ったく、末恐ろしい奴だ…薄狼の人間って思わせる奴だよ」
刀を振り回し痛みに耐えながらも少女を切り裂いていく
徐々に少女は二人三人と増え都佑の周りを囲む
直ぐに察知した都佑は足を強く踏み
地面を少女の身体めがけて
鋭利な棘を作り出して一気に消す
その姿は終始泣きそうな顔で観ている側も胸が痛くなる
『うぉおおおお!!』
一人、また一人と消えていく
髪の毛の色は徐々に白くなっている間
都佑の顔は観るうちに酷く歪んでいく
柏木「幻に飲まれれば幸せを得ると同時に死に至る。
薄狼の一番楽に死ねる唯一の方法だ…
が、薄狼は基本否定する。
何故だか、旦那、わかるか?」
銀時「あっ?俺?…単に気に食わねぇってとこか?」
柏木「半分正解。半分は”そんな幸せは御免”と言って斬る。
薄狼は誰よりも他人を思い遣り自分を観る種族である。
自分を好いていたのは自分がこんな時に他人を傷付けない為だと
前に文献で見たことがあるが…まさか本当の事とはたまげたよ。」
右へ左へと炎や水を地面を使い切り裂いていく都佑
泣きそうな顔ながらも行動が余りにもあっさりとしている
少女は都佑が一番愛した時期の状態
その愛した者を殺すと言う事は
都佑本人の心を殺すと言う事
柏木「通常の人間なら自分一人殺して倒れる程の苦痛
なのに彼女は立ち上がり痛みを身体で受けながらも
尚少女を殺し、己を生かす」
少女として生きていた時の己を
彼女は
『おっらぁ!』
新八「刀投げたー!!!」
投げた場所を綺麗に心臓部分に突き刺さる
それを苦しそうに困った様に笑い其処から
小走りで舞う様に周りに居た少女を斬り殺して行く
柏木「彼女はもう、何も必要としない。
本来の”薄狼”として生きる道を選んだんだ。
此れからかなり難関を歩むと言う事も
君が死んだあと間髪言わずに言いに来た。」
土方「俺が?」
柏木「誰も傷付けない、敵も撃ちに行くって言って
直ぐにお前を蘇生して山に籠り対決して勝って
昔から感じていた感情が大爆発して敵を地獄以上の
地獄を味合わせるんだって言ってたんだが、予定が狂ったなぁ」
目の前で繰り広げられている状態は
彼女も柏木も予想外の事
土方達が居る目の前で
『君が、死ぬのなら、私は何、なの?』
柏木「(始まった)」
「私は私だよ?君その者だ!」
『前世なら何でこんなに斬っても斬っても溢れて来る?
記憶だって曖昧だ、君の時の記憶だけ鮮明で、何故
私が土方さん達の事を知っている?ありえない在り得ない!!』
「何故?私は過去の人間だからだよ?
鮮明に覚えているのは魂が憶えているからだ!!」
『じゃあ!何故お母さんの声を憶えていない!
何故私は捨てられたと胸の中に置けた!!
…あれが、夢だった、なんて事は無い、よなぁ?』
あれは悪い夢だった。
目を醒ませば刀のある時代。
パパもママも傍には居ない。
私の心には何も無い。
無い
初めから
無かった
ニヤリと笑った少女の顔が、やけに心に炎が揺らいで
『…お前を殺しても私が死んでも、土方さんや皆が
生きようが死のうが何だろうが、私は、私の、この!』
胸に抱いた夢は「幻であった」のだ。
月も無ければ貴方も居ない
(だって初めから少女は居なかったのだから)
(だって少女は今も生きる「私」なのだから)