『…また帰ってきてしまった』
都佑はそう深い溜息を付く
それに帰りたくなかったのかと後ろから
向かって左に顔が乗って来た土方に
都佑は振り向き余りの近さに一瞬固まったが
「おぉおおお////!?」と顔を真っ赤にして近藤の後ろに隠れる
『ななっ!ちっちちっ近っ!?なにしゆうん!』
土方「何って、そりゃ聞いてるんだろ?
なんだ?それともー」
『あーっ!あーっ!何でもないってば!
もう!狼族は基本産まれた土地以外に定着しないから
五年おきには移動してるから!その意味だし!?』
両手でグーを作り下に勢いよく押してプリプリと
怒っている様にしか見えない都佑を見て
土方や近藤、隊士の皆も何時もの真選組が帰って来たと実感した
彼女が居なかった、若しくは感情も何も無かった時から
少なくとも二週間程近くは経っていたので
かなり久しぶりだと感じたのも無理は無かった
『むぅ、ほんま、何なの。皆してキモイ。
特にゴリラキモイ、ゴリラはキモイ。』
近藤「ええ!?何で!!」
ふふっと笑いながら都佑は小走りで屯所の門前を回る
土方達から見るとその姿は正に子供
きょろきょろと不審ながらも目は顔は嬉しそうにキラキラとしている
あの惨事から血も流し、大分体力が落ちたであろう都佑だったのだが
そのまま倒れ目を覚まし、屯所までパトカーで帰って来た
『10数分で頑張った結果で倍以上の時間で
帰ってくるとは思わなかったけど』
土方「悪かったなぁ遅くてよぉ…」
軽く眉間に皺が寄っている土方の言葉は軽く無視して
ふわりと涼しい季節の風が皆の髪を流す
隊士は門前に整列し、一斉に敬礼をした
それにまだ門外に居た都佑は目を丸くして驚いていた
沖田「おかえりでさぁ」
にこりと笑っている沖田がいつの間にか前に居た
屯所内の門前で、その眼は安堵の色を見せていた
嗚呼、やっと帰って来るのかという様な、気持ちが見えて
首を動かすとその場には近藤さんや土方さんらが見えた
沖田の隣に立って此方を見ていた
皆、同じ眼をしている
嗚呼、日常が帰って来ると言いたい様な
ー岡本、その人達はだあれ?
その落ち着いた女性の声に眼を見開いた
聞けるはずのない声が遠くから聞こえたのだ
在り得る筈がない、その声に嬉しくなり直ぐに振り向こうとした、が
『(落ち着け、急いだって始まらない)』
へそを向ける様にゆっくりと後ろを振り返る
遠くの方にキラキラと夕陽だろうか?
見える場所に二人の影が見えた
私は声を飲んだ
目の前がキラキラして止まない
キラキラと身体は光り、何となくだが足も見えないのは
確実にこの世のものではないと感じる
今ではこれが遠くからという言い訳になったら
全く違う人物では?とも思う
でもこの時ばかりは違った
私は一番観ていた二人だと思った
『っ…私、ね!紹介するよ!!
此処私のお仕事場なの!ねっ!…ねぇ』
涙は直ぐに溢れてきて、夕陽が更にぼやけて見える
彼ら二人の場所に行きたくなる足を必死に止め
一歩二歩出た足をグッと堪え後ろに引いた
もう戻れないから
だからせめて彼らに報告をする。
もう大丈夫だよ、もう心配しなくていい
この場所(真選組)で生きていくと決めたのだと
涙を流しながら足を揃えて深くお辞儀をした
『…っ、お世話にっ、なりましたっ!!』
近藤「都佑ちゃん…」
空気を斬るほどに上半身を起こす
其処には誰も居なく、夢かと感じながら
都佑はどう気持ちを整理していいのかと考えながら
屯所の方を向こうとする
「”頑張っておいで”」
その声に振り向こうとしたが目を開いた後
涙がまた零れていくのを堪えずに都佑は
勢いよく足に力を入れて屯所をくぐり
そのまま土方の胸の中に飛びついた
驚いたのは胸の中に飛びつかれた土方本人だが
都佑が来た方向を見ると其処には嬉しそうに
笑ってお辞儀をした黒髪の男性と茶色の女性が立っていた
遠くからして身長は都佑程かと思っていながら
軽く頭でお辞儀をし目線をそらせると、消えていた
えぐえぐと泣く都佑を優しく抱きしめたまま
「おかえり」と呟くと小さな女の子はぎゅっと力を入れて
土方の背中に腕を回した
+++
『ふぇ、泣き過ぎた…』
沖田「こりゃ明日腫れやすぜぃ」
困った表情ながらも久しぶりに子供の様に
否、前世の幼少期でさえ泣いたことが無いかもしれない
と経験の少ない大勢の人の前で大泣きしたことに
時間が経って顔が茹でダコ状態の都佑に
優しく冷えたタオルを山崎が取って渡していたのだが
全くつけないので押し付けていた