前回のあらすじ
メルが覚醒し、
姿を変え天使のような翼を生やし…
記憶をほぼ無くした状態で
白い翼を広げ、
翼に幾つか草と樹木のツタが触る
金色の目を輝かせ、
黒い髪の毛が胸元までおろされている。
姿は白いワンピース姿で、
中は黒くて見えない。
裸足になっており、
左側には金色の腕輪が輝いていた。
その姿のまま
スージーと寝て朝を迎えた。
『ふぁあああ』
「ふいっおはようございます“メル”」
『おはよぉ。スーちゃん』
そう言ったスージーにメルは目をこすりながら
おはようを言うのに、スージーはにこやかに答える。
「ふいっ、朝ごはん食べますか?」
ダリ先生と。
そう言ったのにメルは目を覚まし
ほんと!?と声を上げた。
ええと連絡をする前に
彼女が姿を消したのに、
そっとダリに通話で連絡を入れる。
「…ダリ先生すいません
メル先生がそちらに向かいました。
ふいっ」
「…ええ、来ました来ました。」
廊下歩いてたら
とてつもない速度で拉致られました。
そう嬉しそうに笑うメルに
ダリはスージーからの連絡を聞いて
メルの腕の中で落胆していた。
時刻は8時早朝。
疲れた身体を癒すためにひとまずは朝食。
とダリは外にというか
男子寮にロビンが作る朝食を食べに
向かっていた所、
メルに見つかり
腹を捕まえられたまま
浮遊しつつスージーに
連絡を入れていたのだった。
今現在メルはダリの背中に抱き着いたまま
クレーンの様に捕まえて真っすぐ飛んでいた。
もうこのまま離さないなら歩くのも面倒なので
食堂まで連れてってやろう。
ダリは仕方が無くため息を吐いて
メルに指示を出した
「“メル”そのまま突き当りを右。」
食堂に僕を降ろしてくれるかな。
そう言ったのにメルは分かったと
笑って翼を広げて飛び出した。
…全く、こりゃ困ったことになった。
「…とんでもない人がまぁ来ましたね」
「うん。ほんとごめんね」
ダリの手を取って
きょろきょろと周りを見るメル
昨日は全く気付いていなかったらしく
今は悪魔が居るのに少し不思議そう…よりかは。
「怖がってますね」
「うん…“メル”?ご飯食べれそう?」
『…ん?ごはん』
あれ
「…ひょっとして食べ方も忘れてる?」
ありえますねそう言ったイポスに
ダリはため息を吐いた。
仕方がない。
後のことを考えたら。
とりあえず横に座らせるダリに
食べちゃってくださいと
ロビンに言われる。
フォークを持って食べるダリに
メルはまじまじと見た後
真似するようにサクッと
サラダをフォークで突き刺し、
更に盛り口にする。
「…美味しい?」
そうロビンに聞かれたのに首を傾げる。
どうやら美味しいが
余り分かっていないようだ。
「味分かる?」
『ん!分かる…多分、美味しい?』
キラキラする。
わあああってなる。
そう言ったメルに
ソレは美味しいって言うんだよ。
と優しくダリが言うのに
メルは分かったと答え
ロビンに向けて言う
『ロビー!とってもおいしい!!』
「うん!そりゃあ良かった!!」
ありがとー!そう笑うメルに
遠くから見ていたツムルが
「天使?」とイチョウに言うのに
「違うけど天使に見えるな」と答える。
モグモグと口の中に入れて
少し行儀が悪いものの
周りを見て覚えていっているのは分かったので
ダリはなるべく姿勢を正して食べている。
すると数分も経てば同じように食べており。
「おお…」
『ごちそーさまでした?』
完食した。
「ん。おそまつさま!!」
『美味しかった!!』
「何時もありがとね、ロビン先生。」
「いえいえ〜メル先生も喜んでて良かったです。」
「いやー本当にどうするんですかソレ」
「…本当にどうしようかねぇ…」
「流石に週明けの仕事は無理でしょ。」
それには全員が頷いたのにメルは首を傾げる。
「知性は?」
「大よそですが10歳程かと。」
「んーダメだね。アウト。」
そうメルがダリから離れないので急遽
バラムとモモノキに男子寮に来てもらい
ツムルと遊んでいる間、
モモノキやバラムと遊んで知性を調べていた。
「意思疎通は全く問題なし。ツムル先生。」
「はい。メル先生の何か
記憶が引っかかっている
というのは見えますが。
嫌がったりは特にせず
ただ不思議そうにしています。」
「不思議そう?」
「多分ですが
どうしてこんなものを
覚えているんだろう?
と記憶にないものに
不思議がる感じですね。」
それで下手に精神的なものが来れば
対応はまた、した方が良いかと。
そう言ったツムルに
「流石精神医学ー」と声が上がる。
「生物学的にも問題ないよ。
羽管が今までなかった筈なのに
まるで無理矢理出て来たみたいにね。」
「知性検査も異状ないです。
ただ物覚えが凄まじく…」
メルを見てモモノキは言う。
このままだと
割と知らない悪魔に
ついて行きそうだと。
流石にそれはアウトなので…
少なくとも寮にいるメンツの
名前は姿を覚えてもらい、
何とか此処に留まる様に
言い聞かせるしかないと思う。
「理事長から何か聞いてます?」
「いやもうすぐ来るらしくて
「やっほーメルちゃんどこー」あっきた」
そう入間を連れて
サリバンがメルの元に歩み寄るのに
メルは驚いて
そっとダリの背中に隠れた
「メルちゃん」
『んー…だれ?みたこと、ある』
「すいません理事長
今メル先生記憶が」
「いいのいいの
こうなることは分かってたから。」
「え?」
「いやーにしても咲くのが早いよね〜
期待の新人って感じ!!
昔、僕もデルキラ様に仕えていたけど
魔樹の子ってこうなのよ。」
「そうなんですか?」
「うん!魔樹に選ばれた悪魔は基本魔力を持たない。
そして受け継がれた後、魔樹の力を全て受け継ぐ。」
その世界はその悪魔の力に影響される。
勿論目覚めさせる時にもね。
「目を覚ましたのが
あんなキレイな世界を見せてくれた。」
一歩間違えれば
あの場所地獄になってたよ。
そう言ったサリバンはメルの翼を指さす。
「魔樹は心が綺麗な
と言うか音を聴いた感情で
翼の色が変わってくる。
勿論質もね。」
メルちゃんは入間君達の音を
綺麗だと思って、熱い感情を白い翼に変換した。
それは若い草木が生い茂る若々しい場所だと。
「燃えるようなっていうのは多分力の使い方かな。
イフリート先生が炎の扱い方を教えてくれていたおかげで
彼女の感情の炎が、上手くイルマ君達の音に火が付いた。」
「っ…僕の?」
「うん。君が育ててくれたんだよ。
誇らしく思った方が良い。
魔樹が見込んで
此処まで綺麗に育つなんて
滅多にないからね。」
何なら嬉しそうに初めてだと
魔樹言ってたし。
白い翼をこんな無垢で
来るなんてそうそうないよ。
そう言ったサリバンにイフリートは
照れて喜びをかみしめた。
その間にメルはテトテト歩み寄り
『ありがとお』とゆっくり伝える。
笑ったメルにイフリートは微笑み返す。
「魔樹様とお呼びした方がいいのかどうすれば」
「嗚呼何時もの様に接してあげて?
一応器としては完成されて、
うまれたばかりだから。
ひとまずは寮で生活かな?」
「わかりました」
『んーねこちゃ!!!』
メル先生オペラさん猫ちゃんじゃないです!!
と入間が叫ぶのに言うことを一切聞かないメル
「いや〜本当に綺麗な白だねぇ〜!
攫われないか心配になるレベルだね!!!」
「いや本当に…
今それを全員で悩んでいたんですよ。」
「家系魔術は前の通りなんですかね?」
「ん?その筈だよ。
でもねぇーメルちゃんの魔力が
如何せんボロまき状態は悪いからー」
おいでおいで
そう手招くサリバンにメルは気付いて
ぺちぺちと裸足特有の音を立てながら近づく
「んーこれでどうかな?」
「…あ何時ものメルちゃんだ」
「魔力を通常にまで塞いだんだ。
ダリ先生、後でこれ調節方法
教えるから覚えておいてね。」
「わかりました。」
ひとまずは。
そうサリバンはメルをチラリ見る
首を傾げるメルに
孫にならない!?と声を掛けるのに
全員がずっこける
「り、理事長〜〜!!!」
「遊んでいる場合じゃありませんよ」
「だってだって〜〜!!
こーーんな可愛いんだもん!!」
『まご?おいしいの?』
「ふいっ家族の中で
子供の子供を孫って言うんですよ。」
『んー…やだ!』
ダリとエイトがいい!!
そうきりっとした顔で言うメルに
二人共苦笑いで返す
流石にそこら辺はまだ分からないようだ。
「ひとまずは寮で管理しています。
何かあれば即連絡しますので。」
「うん。よろしくね。」
「はい、休みなのにすいません」
「いいよいいよ。
じゃあねーメルちゃん
また遊びにくるねーーー」
『ばいばいー!えと…オサリ〜!』
ブッそう喉が渇いて噴いたイチョウに
むせたのをマルバスが大丈夫と声を掛けた
「…上下関係はまた今度にしましょう。」
「了解」
そうモモノキの声にダリは答えた。
「ひとまずは…名前を覚えさせますか?」
「んーそうだね。“メル”おいで」
『ん!!』
「此処の悪魔達名前分かる?」
『ん〜ん〜〜〜〜わかんない!!!』
見たことある。
そう言うメルに
一応うっすら残ってはいるのは分かる。
まぁ改めてとツムルがしゃがんで
メルの視線に合わせて言う。
「俺はムルムル・ツムルって言うんだ」
『ツムル?』
「ツムル先生ね。“メル”。
先生って後につけて」
『んー分かった!!』
よーしよしよし良い子良い子ーと
笑って撫でるダリにメルは嬉しそうにする。
軽く念子を撫でる様に扱うのに
喜んでいいのかとモモノキは思ったが
考えないことにした。
「はい復唱して〜ツムル先生」
『ツムルせんせい!!』
「ハイ次、イポス先生」
「はい…初めまして。
イポス・イチョウです。」
そう腰を落としてメルに言う
イポスにイポス?と首を傾げる。
「イチョウで構いませんよ。」
「じゃあイチョウ先生だね。
はい“メル”〜復唱〜」
『イチョウせんせ!!』
よーしよしよしそう言うのに
きゃっきゃと同じように笑うメル。
オリアスやロビン、スージー、モモノキ
イフリート、バラム、マルバス、
そしてダリと一通りの自己紹介をして確認させる。
『えっと…ダリ、先生に。
んとマーチ先生
エイト先生、えとんと』
『あ!イチョウ先生にツムル先生!あと…』
「あ〜オリアスでもオズワールでも
どっちでも良いよ…」
『んーオリアス先生?』
「あはは」
『ロビー先生』
「ロビン!」
『ロビー!』
「ロビン!!」
『…ロビン?』
「そう!」
『ロビン先生!!』
いいこおおおお
そうメルの頭を
わしゃわしゃに撫でるロビンに
メルがきゃっきゃと笑って答える。
段々扱いが分かって来たな。
『バラム先生、モモノキ先生
スーちゃ…スージー先生!!』
「はーい良く出来ました〜」
「メルちゃん、
この悪魔以外に
勝手について行かない
って約束してくれる?」
『やく、そく…?それは
…“契りの約束契約の契り”?』
そう金色の目が光り出すのに
聞いたバラムがぎょっとする。
「えっ?!」
「ちょ、メルちゃん!?」
『“契約を交わすのなら
代償を必要とする。何が必要だ”』
「“メル”違うよ。
これはお願い。
君へのお願いだよ。」
誰もそれは望んでいない。
そう首を振るダリに
メルは光を落とし、
そっとコクリと頷いた。
『わかった…お願い聞く。』
「ほっ…」
「“メル”メルちゃんでも
メルでもメル先生でも
ちゃんと振り向いてくれるかな?」
『うん。する。』
「良し良い子だ。
ひとまずは僕が教えますので
皆さんは休んで下さい。」
「えっでも…」
「一応僕の言う事は
何故か全部聞いてくれるので
…いたたたたたた」
ちょっと人が話している間は邪魔しないの。
そう目を開けて言うダリにメルは笑って答える
膝の中でくすくすと笑って口に手を当てている。
「わかりました。
何かあれば連絡下さい。
いつでもお待ちしていますので。」
「ええ、すいません助かります。」
「でもメルちゃん一人で寝れるの?」
「いや流石にこの子を一人にはさせれませんよ…
と言うか昨日スージー先生からメルちゃん
僕の名前をずっと呼んでて
泣きながら寝なかったらしくて…」
「あらら…」
「暫くは同じ部屋で生活します。」
多分そうしないと
顔見知りの部屋に匂いを嗅ぎつけて
ベットの中に潜り込まれたら困るでしょ?
そう言ったダリに
想像がついて
うわぁあと男性陣が青ざめる。
ただでさえメルの今の状態は
白いワンピース姿で
翼が生えたままになっている。
ちなみにチェルーシルで
鳴らしても衣服が変わらなかった為
何かしらの魔術が発動しているのだろう。
メル自身がこれ以外を
拒否している可能性もある。
そうなれば自分から変わることをもう望むばかりだ。
「教員試験はどうするんですか?」
「流石に一時期的に保留かな〜
こうなったらちょっと話変わってくるからね。」
「まぁそりゃあそうですか…」
「はいはい、
それじゃ僕達は行くね。
ほら“メル”行くよ。」
『ん!掴んでくううう!!』
「ああっ!こらちょ、待てって!!!」
そうくるりと背中に周り
ダリに抱き着きメルは浮遊する
どうやら楽しいことは同じようにするらしい。
笑って飛び出したメルに、
オリアスはダリにどんまいと
思いながら部屋に帰るのだった。