Novel - Carla | Kerry

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楽園はここにあるんだよ5

act 34.

【ハッピーエンド回収編】


「…全く本当にうちのお姫様は爪が甘いよねぇ〜?」

『…は?』

朗らかかな高らかな、なんとも言えない間延びしたアルト声
身長の割に合わないその何ともからかわれているようにしか聞こえない

「僕がこ〜んな武器一つ心臓を綺麗に突き刺して…死ぬわけがないのに」

いや寧ろ綺麗に刺してくれたから…手土産だったのかな?

「帰っておいで」

ミユ

そう言ったダリはよっと身体を起こした後
突き刺していたピンをぶすりと外し身体を揺らす
それに大丈夫かとオリアスやスージー達が駆け寄り安否を確認する。


「はは…君のミサンガに助けられたんだよ」

ーそれ何

ーメルね!何時もお世話になってるから!

そう笑って昔作ってくれた小さな可愛らしい黄色のお花を付けたミサンガ
まだメルが覚醒して生まれて間もない頃、いつもお世話になっています!
という気持ちを込めてスージーやツムルに相談した時に作ったモノだ。

ちなみにその時絵もプレゼントして“いつもありがとう”という
所謂親への感謝を込めたプレゼントをメルはダリに渡していた。
勿論感動でちょっと涙もろくなって皆がダリの顔を下から伺おうとしたよ。

その黄色のミサンガはメルがダリに向けて愛情を注いだミサンガで
まだ純粋に悪魔を見ていた時の魔力が宿っていて。


『ッチ!!』

「逃がすか!オリアス先生!アスモデウス君!!」

「了解!」

そう言ってオリアスはメルに向けてダーツを飛ばし
スージーが作った大きな幹の下に打ち付けられる
打ち付けられた後、その周りを円を囲う様に青い炎の花が咲き誇る

その色に、メルの身体が暴走から静寂に変わる
ぼーっとし始めたのに効果ありますと叫び声が上がる
ダリはメルの目の前に歩いていく


「「「はぁあああ!!」」」

そう叫び声をあげ、バラムとカルエゴ、
そしてイルマの力で天井に大きな穴を開けることが出来た
その破片がキラキラと地面に落花して落ちていくのが、
スパンコールの雨にも見えて、キラキラして綺麗で。


空には大きな満月が二つ浮かび上がり
メルの身体を照らそうとしていく


“青い彼岸花を咲かせ満月の夜”


『っ!やめろ!!
そんなことをしたら!
貴方達がどうなるか!』


「ふいっ、貴方が居ない世界なんて。
もうどうなっても構いませんよ。」

『は?』

「うちの子はね、
毎度新しい発見を見つけたら
自分で考えて周りを一切頼らずに
溜め込むタイプでさ」

「出来ないのに出来るとか言って
本当に出来たためしまで作ってさ。」

「肝の据わった良いヤツだ」

『ちがうちがうちがう!!
ソレは別の奴だろう!』

「いいや違うね」

「君はどちらで生きたいの」

メル

そう言った言葉に赤い目が翼が
大きく広がり威嚇されるも
ダリは驚きも戸惑いも見せずに、
ただ傍に寄ろうとする。

ゆっくりと歩いてくるのに、すぐ来そうな気がして。


『(っ!私は怖いと思っているのか…?)』


この現実が変わってしまうのが。
というか、魔樹は本来愛する者の心臓を
一突きして力を発揮するのでは…ん?


愛する者の心臓を一突きしただけであって
決して死んで殺してからというわけでは
…無かった気がしてきたぞ?


嫌な予感が汗として浮かび上がる。
いやいやいやいやいや。
まずい。そう思い身体を移動させようとするが
ダーツの入り込みが中々厄介で。


上手く逃げようとしても
身体は微妙に地面につかない場所で
一番力が入れにくい体勢になっていて。


「僕はね、一度見つけた獲物は絶対に逃さないんだよ」

悪い悪魔に魅入られちゃった君が悪い。
そう言ったダリにハッとメルは笑う


『“コレ”は私の物だ!元々私が見つけた物だ。』

「とりついといて今更何を言うんだか。」

『煩い!射貫け射貫っ!!』

そう力を使ってダリに攻撃をしようとするメルだが
ダリの前に弓が出来ても放つことが出来ない。


「ソレは最初から僕の獲物だよ。
悪魔だろうが魔樹だろうが誰だって知らない。」

メルは僕の大事な人だ。
そう言い切ったダリにメルは目を見開いて驚く
身体の奥底からゴポっと音を立てて何かが込み上がって来た

なんだ

身体の中から?

いや違うこれは


『(感情が…溢れてくるのか?)』


ーあのね!メルね!!


そう花畑の下で誰かが笑って白い花冠を作って
身体を起こしてそっと頭に落とした

ーダリのことね!


『っ!そんなことは!!』

「っへぇ〜流石魔樹様って所、かっ」

力を使い周りに振動を与える
それに大きな地鳴りとなり、
ダリ達も思わず膝を立ち体勢が崩れた


『っは、っは…っ!私は』

ーミユちゃん、良い子ね。

そう頭を撫でる声が姿が現れる
その姿は余りにも綺麗で…見とれてしまう程で

『わた、しは…ここで、ここだけ、でいいのに』

そうふわりと頬に香る花の香りに
涙がぽろぽろと零れ落ちていく

“満ち足りし聖水零れ落ちる時”


「そんなちっぽけな花冠でさ、満足しちゃわないでよ」

君は、本当にソレだけで満足できるの?
そう言ったダリにメルは首を横に振った

そうだと。では何故首を横に振るのだと。
それは否定しているのではないかと。

心の奥底では


本当に生きたい欲を
解き放てばいいだけではないかと。



「僕はずっと一緒に居てあげれるよ」

『っ!でも!!わたしがなくなっても!』

「んなの君をまず引っこ抜いてから考えれば良い。
メル、君はどっちで生きていきたいんだい?」


オカモトミユか安名メルか
そう言ったダリに
メルは大きく息を吸った後



消えそうな音でぽつりとつぶやいた


メル、が、いい。

そう言ったメルにダリはニヤリと弧を描いた

“約束”を交わした姿ではなく
ダリ達と一緒に暮らしていた
あの姿の方が良いと言い切ったのだ。

…君がソレを望むなら、どう言ったか。


君は分かっているだろう?


「よくできました」


そう言ってダリは指を鳴らしダーツを取り外す
ふわりと浮いたメルをそっと抱きしめ
腰に回した状態でメルをじっと見つめる

白い髪の毛に赤い瞳
その胸に黒い花が咲き誇っていて
白いドレスのような衣服に
まるで何処かのお姫様だ

いやお姫様なら。

口付けで呪いなんて取り去ってしまおうよ。


ダリはメルの腰に手を回し
もう片方の手でメルの顎をくいっと上げ
そっと唇を重ね合わせた

それに驚かない訳がなく
動こうとするも、口に舌が入って来て
舌を絡めとられて逃げ場がなく
ただ横を向こうとしたら追うように
身体をうねらせて来るもんだから
徐々に力が抜けて

『(だめ、だ…頭、ぼーって……し、て)』

攻撃に手を上げていたのも
ダリの胸にしがみつくことしかできず。

じわじわと胸の奥底から
何かが解け始めていく感覚が脳に伝わる

まるで炭酸が外に触れて
しゅわしゅわと音を立てて湧き上がるような


溶けていく感じが、何処か心地よくて。


『っん、っふ、んん』


すき。
すきだ。


嗚呼私は、この悪魔と。




ずっと一緒にいたいんだ。


そう気付いて飲み込んだ感情が溢れていく
炭酸にラムネを入れたみたいに、
ぶわりと泡が零れ落ちるみたいに。


心から零れ落ちて止まらなくなる。


『(ずっと、ずっといたい)』

腹を押し付けるようにくっついて
その居心地の良さに浸っていたい。
まだ息は沢山出来るよ。

歯を丁寧になぞっていく間に
身体がぞくぞくと震えが止まらなくて

溶けてしまいそう。


「…っ」

頭も身体も全てが軽くなっていく
たった数秒だけの時間の筈なのに
何時間でもしているように感じて
身体に熱が宿って止まらない

あつい

この心臓が心が溶けてしまいそう。


ダリが口付けていたのをそっと離す
それにメルも顎を引いてダリの方を見続けた


「…メル」

『ん』

ダリはメルの頭に頬を擦り寄せた
何処か身体がとても軽くて居心地が

居心地が

ん?居心地が??

『あっ!えっ!?』

「ん?どうし…っ!」

メルの身体からふわふわと光が現れ
徐々に翼が溶けて無くなっていく
溶けたものは空に舞い上がり
ゆっくりと円を描くように
木の周りを舞いながら上に登っていった

暫くするとメルの身体からは翼も蔦も無くなり
ただ黒い髪の毛と金色の目が残っていて。


「…も、しかして、」

「魔樹の呪い…とけた?」

「っうあああああああああああ!!」

やったやったやった!!やりやがった!
そう周りが叫び飛び喜びだしたのに
抱き着いていたダリとメルは
きょとんと眼を丸くしてお互いを見つめ合った後


「っ!!」
『〜〜〜っ!!』

余りの嬉しさに声を上げず、ダリはメルをぎゅっと抱きしめたまま
メルをグルグルと回して喜びを表現する
メルもまたダリに抱き着いてただ喜びに浸っていた。

「でもメルちゃんって今どんな状態なの?」

『それは』

「人間なんじゃねぇの?」

『ぴっ』

「っアトリ!」

俺を忘れられちゃあ困るなぁと頭をポリポリとかくアトリ
あんだけ攻撃をしてまだ起き上がれるなどタフにもほどがある。
と言っても…彼もまた、被害者であって。

『ごめんねアトリ』

「っメル?君何を」

そっと片手をアトリの頬に近づけようとするのに
ダリがそうはさせまいと引かそうとするが
アトリはそれに気付いてメルの手に顔を摺り寄せた

『怖かったでしょ?痛かったくない?』

「い〜や?寧ろ居心地が良かったよ♪あんがとね。」

『ううん、こちらこそありがとう。
貴方のおかげで私此処に居られてるんだから!』

「え?メルちゃん?どういうこと?」

そう言ったイポスにメルは気付いてイポスの方を向く
勿論ダリやアトリもだ。

『魔樹の呪いが一度アトリにも入ったことによって
力が分散され、私への負担が少なくなった。』

「そのおかげでこうやって
メルちゃんは生きてるっつ〜わけ♪」

『でも痛かったでしょ?
お詫びにっても
人間なら何も出来ないけど。』

「食べさせてく…いやいや冗談冗談だって〜」

そう食事の話をし始めたアトリに
ダリはメルをぐっと引き寄せ警戒する
それにバラムやカルエゴ達もアトリを囲み威嚇するのに
両手を上げてアトリは降参の合図を示す

「メルを助けてくれたことなら礼は言う。
だけどその見返りは…流石に見届けることは無理かな。」

「分かってるって〜冗談だってば。」

「貴様の冗談は真に受けれん」

「同じく」

そう言って頷く周りに信用ねぇなぁとアトリが笑い
メルを呼ぶ

「メルちゃんは俺のこと信用してくれるよね?」

『えっ?うん』

「メル!?」

『え?だってアトリ良い悪魔でしょ?私のこと一応助けてくれたし』

「………君さぁ〜♪」

そうニコリと笑うアトリが手を振るのに
メルは何か分からずに手を振った
それに周りが盛大に大きなため息を吐いた

「はぁ〜〜〜〜…こりゃ後で説教だな」

『ふぇっ!?なんで!?』

「さ。帰ろう。魔関署はもう外にいるし。」

僕らはこのまま。そう言ってダリが大きな翼を広げて言う

「直近しよ」

そう言ってメルのことを姫抱きしたまま空を飛びだしたもんだから

『高い高い高い高いいいいやああああ』

そう声を上げてダリの首に肩にしがみついて帰ったことは
周知のことであった。









































































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