もしもし、神様?いるんでしょう?
もしもし、神様?いるんでしょう?
貴方に聞きたいことがあるのです。
『…うっそだぁ、』
目の前に花浅葱色の服着た神様いるんですよ。
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『…よいっしょおっどらこっしょいおっどこどおい!!!!』
そう意味の分からない言葉を口の想いのままに滑らせた私はと言うと、職場から帰って来た車から、寄り道してきたコンビニとスーパーからこの三連休部屋から出ない様、缶詰めちゃんになるべく荷物を両手に無理矢理持って部屋に移動していた時だった。三階建てのアパートでも、ほぼ人が住んでいないこの築35年と8か月程度の鉄筋コンクリ…しかも夜の8時をお知らせしそうな時に素通りなんぞ出来る訳もなく。
と言っても、流石に気のせいだと思って一度部屋に戻って荷物を持って行った、帰り…正確にはまだ残っているかどうかも確認していない私の記憶なんて信じれず、とりあえず様子見るついで(正確にはこれが現実ではない私の疲れが蓄積されたであろう夢幻をみていたであろうと信じたい気持ち一心で)に、私は軽快に階段を降り、振り替えった。いやまだ倒れてるんかい。
流石にちょんちょんしても起きない。心臓が動いていない…訳ではなかった。脈がトクトクと出ていてホッとする。とりあえず急いで救急車を、とふと考えてから携帯を切り、ポケットに突っ込み車の中から布を取って自分と相手に巻き付ける。つい先日赤ちゃんを抱っこする体験学習で昭和初期に使っていたやり方を講師の人のおばあちゃんから聞いた話を思い出しやったまでだ。人助け人助け。
で、だ。
『どうすんだこれを。私は。一体。どうすんだよ。』
本当にどうしよう…色々考えずに持ってきて、しかも、自分の部屋に、だ。ゴロンと突っ込むように倒してしまったのは許して欲しい。ひとまず風呂場からタオルを使って身体を寝かす。これするとしないとで大事だろう。まずは、部屋の片づけだ。とは言っても最近一度大掃除をした辺りで、とても清々しい程に。
『いやきっっったなぁ。マジか…』
流石に悪い。かと言ってこのまま放置は…一応スマホを使って脱水症状やら何やらを調べてみるが…まぁ、だ、大丈夫、だろ。うん。身体の色が青い点は、ちょっとこの際気にしないで置いて置こう。目覚めたら問い詰めればいい話だしな。それにしてもハロウィンイベントには遅すぎるし、かと言ってエイプリルフールにしては早過ぎる春先手前の、まだ雪が他では振りまくっている時期だ。
流石に今晩冷え込むって予報も携帯で確認すればすぐにわかる。えぇ〜最低気温零度とか、私は絶対生きれない。なので部屋に入れた。うん、別にストーカーだったらいけないから距離は取っておくか。まぁその距離を取る為の部屋の掃除をまずはですね、するべきなんですよね。
この部屋、玄関はほぼ直通だが、トイレと風呂はわけられており、左側。右側ちょっと曲がればキッチンに入れるところだ。その奥はちょっとした部屋と、左側には二つ程扉があり、要はお一人様用ではなく、お二人様用のアパートとなっているが、なんと此処のお値段月3万ジャスト価格である。普通に安すぎるのだが、調べて行けば此処の経営者が結構設けておりまして、他にも建築しており、そっちで賄えているのだとかなんとか。それで立ち退きする迄、これ以上居れないようにし、今居る者が何処かに行けば取り壊しまったなし、となるんだろうな。とは踏んでいる。
そんなお手軽価格で尚且つ騒音なんて気にしなくてもいい部屋に一人住んでいる私。このアパートには私を含め全員で5名住んでいる。三階建てで、片側5名ずつではあるが、実は滅茶苦茶壁が薄いのに二つ飛ばせば全く聞こえない。前に大学同じの子が住んでおり、一緒に音の検証をしたが、普通に縦横斜め二つ飛ばせば全く気にしなくてよかった。
因みに鍵は大家が間違えて渡してきた全部屋開けれる鍵をですね、住んでた子に渡してしまったが故のお試し騒音検証コーナーが出来ちゃった、わ〜けですねぇ〜…勿論途中から私は嫌すぎてもうやめよう!って犯罪犯した息子を止める母親の様に必死扱いて説得し、無事大家に返しました。
普通に怖いから言いづらかったんだけど、流石に二回目からは止めようと手を置いたがね、逃げられてだね。良い子の皆は例え警備が薄かろうが、大家の許可なしに入るんじゃあ、ないぞ!…ちなみに何故出したのかというと、その子のキーが前の持ち主壊しているらしくて手持ちのスペースキーが無かったのだそう。いやじゃあそう言えよ。忠告しとけよ此畜生…。
『よし!ひとまずこんなもんでいいか…』
なんて愚痴は放っておくことにしようと言うか、こういう話をしている間にすらすら〜と物を移動し、かれこれ数十分足らずで部屋の掃除が完了した。とりあえず掃除機は夜にかけれないし、軽く埃を撤去し、荷物も綺麗に…まぁ避難しているだけだからこれから、ではあるが。
彼のケアをするための掃除を何故この夜からしなければならんのだ。とは思うが、扉一つ挟み、様子を伺うのは充分警戒心あっていい心がけだと思う。因みに今、スマホ片手にいつでも緊急用のお巡りさん出動命令許可要取得用の番号手前に手置いてます。何時でもぽちっとな!したらいけるよ工藤。せやかて工藤。何にもしとらんがな。
そっとガチャリ、ドアを開ける。
『しつれいしま〜す…みかわやっふぉい!!!!!』
そっと開けたら、目の前に白い人影はおらず、その代わり青緑色の服が見えました。今上見たくないんですよねぇ〜これ、が。でもみちゃう〜〜〜!!!そっと見上げてみたら、眼を細くして、こっちに声を掛けて来た。
「…貴方、何者ですか。」
いやそれはこっちが聞きたい所存ですよ。お兄さん何方様ですか。色々考えて、とりあえず、とドアに手を置いて閉めないようにしている彼に声を掛けた。
『あの〜…そのままだと、手。挟んじゃって痛い思いしちゃいます、よ?』
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『いや本当にすいません〜!も〜!寒かったでしょう?はい、こんなものしかありませんけど、どーぞ。』
あっ毒入っていないように目の前でのみあっついな!?!?!?えぇ…私こんなにお茶淹れるの良くなかったっけ?レベル下がる系なの?こういうのって知識ありきでなんとかなる感じじゃないの?
なんてぶつくさ言っている彼女を放置し、なんて出来る訳もなく。目をぱちくりとして目の前の人を様子見していた彼を見て、嗚呼すいませんと頭の後ろを掻いて答える。
『私煩いですよね?ごめんなさい、本当はもっとずっと。何も言わないんですけどね、ついテンション上げちゃって!』
「ああいえ、構いませんよ。お気遣いなく。」
この感じ、間違いなく毒の何もかもなんぞ持ち合わせていないだろうし、もし仮に毒があったとしても、自分が引っ掛かるなんて訳はない。だって毒は常時無効化であるし、そもそも人間ではないのだから何ともないのだ。
お茶をそっと机から取り、試しに一口飲んでみれば、割といける味だと知る。美味しいですね、と言えばお口にあったようでと笑ってくれるので、ほっと息をついた。
「何故私を部屋に連れてこられたのでしょうか?」
『お外寒いので、死んじゃうと怖いな〜って。』
「はぁ」
『えっだって、嫌じゃないです?何回も自分が歩く場所に人が倒れていて、それ無視していくの。』
仮にお巡りさんらに通報してもですよ、下手に騒ぎになって貴方がこっちに敵意向く〜なんて嫌ですからね。
「でしたら猶のこと部屋に連れ込むわけにはいかなかったのでは?」
『そう言いたかったんですが、外からぶち破られたり、下手に私の居ない処で此処の住所を抜き取られる方が嫌だったのですよ。鉄筋コンクリートは音響きますからね。音の高さと回数を覚えておけば、女性の歩幅なんてたかが知れています。何処の部屋か分からずとも、何処の階か分ればもう終わりですよ。』
それに、部屋に入れたのにも幾つか理由がある。
『貴方の状態を確かめて、意識がない間に玄関のドア及びこっちの扉の鍵も閉めていました。他の場所も、です。貴方は袋小路でしたし、酔っていたら鍵を開ける手段も恐らくままならない筈。』
「成程、警戒しての行動だった、ということですか。それでしたら手足を縛るなんてことをした方が良かったのでは?」
『下手に縛ってこっちの体力を落とし、変な時間稼ぎをするよりも私は貴方の状態をみて、本人か滅茶苦茶コア好きな人かどうかが分かればそれでよかったんですよ。』
襲われるなんて考えなかったのだろうかと思い聞いたが、普通にあっても感覚で分かるのだそう。
『それに襲うってなったら時間がかかり過ぎる。私が床にタオル敷いている間に襲えば済む話ですからね。』
「たおる、ですか?」
『ええ、お兄さんが寝ている処、ちょっとふわふわしてませんでした?』
「ああそう言われてみれば、そうでしたね。」
『身体、痛くないです?』
「ええ…ひょっとして、私の身体を案じて?」
そうですと言って自分のお茶も飲んでしまう彼女だが、唖然とする。何が警戒心が強い、だ。もう何もないではないか。ハリボテでもまだマシかもしれない。
「放置して置いて良かった者を、一体どうして。」
『もしも本当の、ご本人ならば。嘘偽りのない人ならば。私はどれだけ謝っても懺悔しても、償いきれないと思いました。』
それに、人助けは出来る限りした方が良いと言いますからね。勿論出来る範囲内で、ではありますが。
『改めて自己紹介をさせて下さい。私の名前は
「…大神官。」
人は私のことを、大神官様、とお呼びになっておりますよ。
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えー本日から部屋に大神官様がログインされました。こと、お知らせします。うるさい、するな。泣くぞ。マジで。いや
『…マジですか。』
「まじ、とは?」
『本当ですか?と言う意味です。』
「ええ、事実ですよ。…とは言っても現在私にコレと言った証明できるものはありませんがね。」
空も飛べなければ通信も一切出来ない。それどころか、杖を飛ばして来れない自体どう説明しろというのだろうか?…それに加え、この身体のだるさを考えると、恐らく身体が人間そのものになっているとみていいだろう、と。
色々説明をせずとも都結がある程度納得してくれる。それに大神官が眉を寄せた。不思議なのも頷ける。だって此方の情報は殆どと言っても良い程に教えていない。なのにもかかわらず何故知ったように頷くのだろうか?その答えはすぐに分かる。
「それにしても、私のことを存じ上げている様にお見受けしましたが…一体何処でお知りに?」
『…はぁ、本当に大神官様なんですね?』
「そうですよ。」
『いや…マジ、か。ちょっとすいません、まだ信用できないのでこのままひとまずお話しつつ、ご飯にしましょうか。』
お腹空いてます?食べれます?そう言われ、お構いなくと言えば軽くお腹が鳴る。それに私です、なんて笑っていっているが、こっちが鳴っているのを私は知っていて。
作りますと言われ、そのままお言葉に甘え座っていること、数十分。
「美味しそうですね…此方は?」
『ベーコンと白菜のシチューです。後はドレッシングはお好みで。』
そう簡潔に言って、机を挟み目の前に座り頂きますと言ってからサラダにドレッシングをかけていく都結が手を止める。ちらりと見た目の動きで、警戒されているな、とは思えない程に、眼は優しかった。ふふっと笑われ、じゃあ隣で食べても構いませんか?と言われたのでお願いしますと言って左によってしまう。
『今日のタイミングで良かった。お箸は使ったことありますか?』
「いいえ」
『でしたらサラダはフォークで食べましょうか。今持ってきますね。』
使い方さえ、と言おうとしたが、直ぐに移動していった彼女を止めることなんて出来ない。こっちは見ず知らずの自分を助けてくれた上に、部屋に連れて来てご飯迄頂けているのだ。
『はい、これがフォーク。こうやって突き刺して食べて下さい。ドレッシング二つありますが、私は片方掛けます。もう片方は大神官様…っ、て、よんでいい、んです、よね?』
「はい、構いませんよ。」
『では、大神官様はこっちを。私が一度かけますね。』
「お願いします。」
ささっと二周回しかけた後、蓋を閉めて机の端に寄せる都結。その手際は先程とは打って違う。警戒して速度を敢えて遅くしていたのか、今丁度テンションとやらが高くてスピードが出ているのか分かりかねるが。
『シチューはとても熱いです。舌が一度焼けると後が辛いので、最初は息を何度も吹きかけて唇にちょっと触れて熱く無ければ少しずつ食べて下さい。固形物はなるべく噛んで飲み込んだ方が良いですよ。』
「…分かりました。ご丁寧にどうも。」
『すいません、では今度こそ。』
頂きますと手を合わせて言った彼女の真似をして手を付けてみた。シャクシャクと口の中で音がするサラダとやらは非常に美味だった。
「美味しいですね…!」
『でしょう〜!?人類バンザイですよ!サラダはまだ放置しても構いませんし、シチューもある程度冷めた方が食べやすければいっそのことサラダ全部食べた後に食べて貰って構いませんよ!残したら明日の朝に回すので、残して貰って構いません。』
「すみません、何から何まで。」
『いえいえ!困った時はお互い様!でしょう?んも〜それにしても困った神様ですよね〜』
「え?」
『絶対此処にも神様いるんですよ?だって別世界の神々、それも最上級と言っても過言ではない方が落ちて来て、意識が戻る迄放置、だなんて非道徳にも程があるってもんですよ!』
嗚呼でも、一惑星の、一部の神々なんて、そんな考えている暇あったら別の所手を付けている、なら話は別ですよね。あんまり決めつけはいけないですし。そうぶつくさ言う彼女に、思わず笑いが混みあがって来て。クスクスと笑ってすいませんと謝罪を述べた。
「貴方が余りにも必死なのでつい…それでは貴方が私の神様、ですね?」
『〜っんん!いやっ…いやいや、とんでもない!恐れ多いこと言わないで下さいよ〜!大神官様には全王様が居られるでしょう?貴方の神様は其方の神様だけで充分ですよ。』
「…全王様のことまでご存知なのですか。」
『えぇ、貴方の子供達が何をしていて、どのような神々と交流を取られているのかとか、ね。』
ま、勿論その話は食事やら色々が終わってからだ。まだ食事は勿論風呂にも入ってもらわねばならないのだ。知識はパソコンからというのと、だ。
『”へい、
そう何処かの方向を向いて言えば、ポポンと音がなり、分かりましたと返事が返ってくる。
「何方かおられるのですか?」
『いいえ、ロボット、要は人間の魂がない機械です。その詳しい説明も後日しますから、今は食べて置いて下さい。』
「貴方はもういいのですか?」
『ええ、私はこうなると手が付けれませんので、後で頂きます。』
「では私も。」
『無理なさらないで下さい。環境が変わった場所に何時戻れるか分からないんです。摂れる養分は取っておいて、最善の状態を維持するのが良いでしょう?』
「…ですが、此処までさせて頂いて何もしない、と言う訳にも。」
ではこうしましょう。
『私は貴方を警戒して、最適な状態での対応をしていませんでした。その償いとして、今日一日は一晩寝泊りを提供します。』
「っな!」
『その代わり、明日の夜今後のことを考えましょう。朝貴方が決断してください。私が起きる前に、この世界に一時的に残るのか、それともご自身の状態を考え、ご自分の身体で此処を出ていくのか。鍵の開け方やドアの締め方などは一通りレクチャーしておきます。』
勿論風呂や、ここら辺の機械の使い方も、です。勿論全部とはいきませんがね。
「其処迄して、貴方にメリットはあるのですか?」
『ありますよ。これ以上に無い程の…もう、こんなの、酷すぎるくらいには。』
「…そうですか。でしたら、お言葉に甘えさせて頂きましょう。」
そう言えば都結は嬉しそうに顔を変える。笑顔、というものだろう。嬉しそうにふふっと笑ってくれるので、こっちも気が抜けてしまう。ではそれを食べたら教えて下さいと言って目の前にある机の前に座り両手を伸ばし向きを変えられたので、こっちも集中することにした。
「ご馳走様でした。此方は何処に置けばよろしいのですか?」
『ん?嗚呼もういいんですか!と言うかそんな持ってこなくても』
「これくらいはさせて下さい。ついでに教えて下さるのでしょう?」
暫くして、声を掛けた。そしたら物を置いて置いて良いのになんて聞き返すよう答えたので、流石に悪い為お断りした。それに気付いたのか、そうですねと答えた後、彼女も使った皿を持ってキッチンとやらに移動した。
『此処を上に上げると水が出ます。下に下げると水が止まります。右は冷水、左は温水です。流石に水の温度やらは説明しなくてもいいですよね?』
「ええ」
『よし、では何時もだとこやつをこのスポンジって言うものに掛けて、泡を出してこうやって洗います。水を出して、すすいで…こっちに置いて置いて下さい。自然に水が落ちて乾燥し切ったらこっちの棚に入れます。』
嗚呼そうだと言って彼女が声を掛ける。
『一応お兄さんの今後を兼ねてお尋ねしますが、』
「どうぞ?」
『大神官様は全王様のご料理とかそういった日頃のケアなんてものを行っておりました?』
「ええ勿論。とは言っても此方の仕様とは少々違いますがね。」
『嗚呼でしたら大体は同じだと思って構わないかと。寧ろ気になったら聞いて下さい。そっちの方が貴方の情報を守れることでしょうからね。』
そう言って彼女は風呂を見てくると言って席を外す。全く、面白い人だ。不審者扱いしたいのか客人扱いしたいのか何なのか和歌りゃしない。それに風呂は入らなくて良い筈なのだが、どうも身体は人間の状態。ということは、そう言ったことも覚えて置いて損はないだろう。彼女の後を付いて行って、声を掛けたらばしゃんと音を立てた。
「…すいません、其処迄驚かすつもりではなかったのですが。」
『いや、すいません、私としたことが駄目でしたね。そういう行動も懸念していなかったこっちの落ち度です。』
「いやそう言う訳では…」
この子、驚くほどに人のせいになんてしない。流石に気が悪いのだが、そう言っても居られなさそうだ。お湯を全力で溜めているのだろう。ある程度したら少し声を張って答えてくれる。
『先程の要領です。此処では赤がお湯、青が水と言った具合に、色で温度を示しています。その方向に向かって捻ると温度も変わりますので、気持ちがいい状態を探してお風呂に入って下さい。』
「都結さんは?」
『私は後で入ります。流石に客人の前に今日一日の疲れを落とすなんてこと私が許したくないのですから。』
そう言って、彼女はその後の風呂でのマナーを教え、消えていった。勿論その後湯加減を答えてやれば、嬉しそうに笑ってよかったなんて言ってくれるのだった。
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「…成程、この惑星ではこういった具合に成長しているのですか。」
『ええ…そして、此方をご覧ください。』
「っ、これは!!!」
『貴方は勿論、全王様、そして貴方のお子である天使達も、この惑星の人間はある程度認知しています。』
私が外に置いて置きたくなかった本当の意味を此処でお伝えいたしますね。
『貴方がもしも本物だった場合、貴方がこういったネットと呼ばれる通信機器で貴方の情報は勿論、色んな人が何時でも監視できる体制になっているのです。』
「私を守る為に?」
『出来れば、でしたがね。他のキャラクター、要は登場人物と違って貴方は人間の肌の色合いとはかけ離れています。それに時期が時期、今季節は冬真っただ中と言っても過言ではない。』
もしもハロウィンというイベントであれば、こういうコスプレをするのもありだと言っていた。ちょっと遅いハロウィン、早めのハロウィンだと言えば納得するし、紛れられるというもの。まだ活動は少なくとも出来ただろう、なんて話をしてくれる。思った以上に考えられているのだな、とつくづく感心するものだ。
『貴方が不審者であり、私のストーカーつまり追いかけて私を良い様に利用する人であれば、それ相応の対応が此方でも可能でした。』
「例えば?」
『まず扉を開けた直後に締め鍵をします。ダメなら距離を取りながら、此方のボタンを押します。そうすると特定の人間と繋がり、連絡が取れます。この世界では此処の警察って管轄が厄介でして、これに捕まるとまぁ人生の身動きがですね、動かしにくくなる可能性が高いです。』
「成程、逃走を考慮しつつ、確実に仕留める算段、そして助けも考え動こうとしていた、と。」
『そう言う事ですね。此処は三階で下に飛び降りるなんてことは出来ませんが、隣に飛び移るなんてことは可能です。』
私の体重では踏み台も動いてくれますが、私以上になると壊れるものを今使っていますので、下手したら怪我をしますし、それはそれでこっちに取って好都合。後は助けを待ちつつ、避難を考えるだけです。まぁそれ以外にもやり方はありますがね。
『身体の動きをよく観察しろ、と言っていたウイスさんのお言葉を考え、お勉強ちょっとしていたお陰で、此方での対策は出来ていましたからね。』
「そうだったのですか。御見それ致しました。」
『いえいえ、私の様な状態をみれば不安点も幾つか生じることでしょうから。』
「それで、どうして私を助けようと?貴方は私を知っているだけ、でしょう?」
『…そうですね。』
知っているだけだ。そう、知っているだけ。それだけで、ありたい。
『私前に神様にお願いしたんです。』
「何をですか?」
『”どうか天使達がちょっとした幸福を永遠に知り続けられますように”』
自分の願いなんて良い。おこぼれがあったらいいくらいで。破壊神らの活動を見ている天使が、疲れない訳もないだろう。肉体的な疲れがないとしても、味覚があるということは、恐らく多少の面倒臭さや、精神的な疲れは出る筈。だとしたら、それ相応の回復も欲しい処。
『確実な幸福は時に痛みへと生じます。ですから、ちょっとした幸福が良かった。…私はね、大神官様。貴方も含めた天使達に救われている身なんですよ。』
「私は少なくとも貴方を助けていませんが?寧ろ助けられちゃっています。」
『それが良いんですよ!私にとってはもうこれ以上ない幸福です!』
「でしたら、痛いのでは?」
そう、痛い。今、怖くて堪らない。
『痛いですよ。痛い、でも良いんです。この痛みを忘れたくなんてない。例え夢でも!』
「ふふっ、随分と謙遜なさるお方で。」
『お嫌ですか?』
「いいえ?寧ろ興味が湧いてきました。自分の欲を願わずして、私や我が子らの幸福を望むなんて。」
『私は誰かが笑っていて、誰かが笑っていることを知っている。それだけでいいんです。』
それ以上は、罰が当たる。
『私は一度貴方達に助けられた。だから私はもしも、叶うのならば。自分の手で少しでもお力添えになる形があれば。その時に少しでも尽力出来れば、と思って生きて来ました。この命は、貴方達に救われた身も同然。ですから、それ相応の対応はさせて頂きたいくらいです。』
勿論こっちも仕事や生活があるので、色々出来るとは言えませんがね。
「すみません、何から何まで、本当に。」
『いえいえ、それではある程度の説明も済みましたし、睡眠の仕方と部屋のことを。この部屋は内側から鍵がかけれます。何時でも鍵をかけて下さい。』
「必要ないのでは?」
『襲われるなんて思わないのですか?』
「貴方がですか?まさか!それに貴方程度でしたら造作もないですよ。」
『あ〜…気を使わなくても軽々と吹き飛ばせると。』
「そう言う事ですね。其処ら辺はご心配なく。」
『でしたらいいですね。』
後は〜そう言って設備の説明やらをしていく。
『では、以上です。長々とご説明お聞きいただきありがとうございました。』
「いえいえ、此方こそ、手厚いご対応の程、誠にありがとうございました。」
『いーえー!それでは、おやすみなさい。…また、ご縁があれば。』
「ええ、おやすみなさい。」
そう言ってドアを閉める。少しして、カチャカチャと音が鳴り響きだしたのを考えると、どうも部屋の中に入って似たようなことをしているのだろう。一応こっちも物があった様な形跡は見えたが、何も模索する程でもなかろう。
ベットに座り、ちょっとしてからベットの中に入って横になる。今日だけで色々あった。向こう側の世界も、気にはなるが…
「今は現状を、ですね。」
大神官はひとまず目を閉じることにした。明日のことは自分が何とかするだろうと。