もしもし、神様?いるんでしょう?2


「おはようございます、都結さん。」
『…おはようございます』

そう言って身体を向き直した大神官が朝日に照らされながらお辞儀をする。



「本日から、お世話になりたいと存じます。」



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『…以上です、何かご質問は?』
「ありませんよ。」

本当に何から何までご丁寧にご説明ありがとうございます。そう答えた大神官にいいえと都結は応える。

『此方も説明の幅が広がります。自分の説明が正しいのかどうか調べ上げることで私も勉強になりますからね。』
「そう言って頂けると恐縮です。」
『いえいえ』
「そう言えば此方の品々は何でしょうか?」
『あっ、やっぱり見ちゃいますか。』

そう言ってパソコンのデスクに置かれていた板を覗き見る大神官に指を指して彼女が答える。

『これ私が作った物語の登場人物ちゃんです。』
「ほぉ、貴方がですか。」
『ええ、一応絵も描きました。板自体は別の人に委託って言うのかな、これ…まぁ作ってもらうようにお願いしただけですがね。』
「上手ですね、此方はコルンさんでしょう?随分上手に描かれていますね。」
『ありがとうございます。』

そう言って頂けると嬉しいです。

「サワアさんやコルンさんがお好きなのですか?」
『あ〜実のお父さんにこういうのは難ですが…そ、うですね。とは言っても彼等の事情は殆ど知っていませんが』
「おや、そうなのですか。てっきり此処まで描けるということはそれなりにご存知だと思っていたのですが。」
『顔やら声、後は文字の言葉を見ている限りの憶測で、ではありますよ。憶測で好きになっちゃって困ってるくらいです。』
「おやおや。」

そう他愛もない話を交わしていて、ふと気になったので聞いてみることに。

『あの、つかぬことをお尋ねしますが、よろしいですか?』
「構いませんよ、貴方には世話になっていますし、私がお話出来る範囲で在ればですが。」
『あの、ああでも良いのか?あれ、でもなぁ…』
「…試しにお話ししてみるというのは如何でしょう?」

私もお話が見えませんと、お伝え出来ませんし。
ええ、まぁ、そうですけど……

『コルン様ってめっちゃ怖いです?』
「…怖い、ですか。」

また直球と言うか、ある意味では広く聞いてきたな。と思った大神官はきょとんと目をぱちくりして固まった。それに嗚呼ごめんなさいと慌てだす都結にいえいえと大神官は答え、そうですねぇと言って話を続ける。

「確かに怖がられることはあると思いますよ。あの子は真面目な分周りが見えなかったりする傾向もありますからね。」
『ああ〜真面目過ぎるが故の、一つしか見えないと。』
「えぇ。勿論だからと言ってそれだけではありませんがね。」
『でしょうね。ウイスさんのお兄さんしてるんだし、少なくとも彼よりは遥かに上だろうなぁ…』

私からしたら。

「何故そうお聞きに?」
『え?嗚呼、えっとなんでだったかな…あ!そう、実際に会った時、覚悟きめたくて。』
「覚悟、ですか。」

はい。

『私言葉にするの、実はとっても遅くて人を良く怒らせてしまうのです。』
「見た所そう思えませんが。」
『今お見せしているのは、今迄経験を積んできた”別の私”ですからね。』

こう初対面の人に言うのも何だが、だからこそ、言えるというものもあるだろう。

『貴方とお話している間に、いつか”本当の私”が出てくるかもしれません。』
「まるで化け物扱いですね。」
『事実なんですよ。…本当に、そうとしか、思えない程。』

怖いのだ。本当の状態で生きたいのに、生きれない。生きて居たら、誰かを傷つける。化け物と言っても全くおかしくはない。誰かを傷つけたくなんてないのだ。寧ろ助けてやりたいくらいだ。救えられるならば、どれ程いいだろうか。そんなこと出来る訳ない癖して。

『なので、もしも”本当の私”が何かをしたら、ごめんなさい。』
「…分かりました。ところで、此方は?」
『ああ、この子達ですか?』

こっちはお花の神様でもあり、天使の血を引き継いでる者です。こっちは人間が天使になった子。

「此方は?」
『嗚呼そっちはゲーム、要は娯楽で見た子を少しアレンジして作ったキャラです。元も凄い好きだったんですが、もう権利も何もかも放棄しちゃって、今では遊べないゲームです。その時に交流あった人から、許可を頂いて置いているんです。可愛いでしょう?』
「えぇ、とても。」
『本当に可愛くて、こんな子になれたら良かったのになぁって思ったりする日もあるんです。』
「ほぉ?」
『もしも生まれ変わったら…こんな子になれたらいいな、なんては想うんですがね。』

私はこの身体が大好きなんです。

『だって産んでくれた人と、愛する人の間に産まれた者が、私なのですから。一体誰がこの私を愛せるというのでしょうか?誰も知らないだろう、この化け物みたいな私すらもを。』
「…随分とご両親を思いやるのですね。ご家族は何方に?」
『遠い所に居ます。私は此方で一人暮らしです。』
「それにしては少々広すぎる気がしますが。」
『…色々あって、出て行かれちゃいましてね。』

荷物が綺麗に無くなっていますが、一時期暮らしていたんです。

『本当に好きだったし、正直今も好きです。私がもう少ししっかりして、隣で一緒に生きれたら、こんなことになっていませんでしたが。』
「すみません、少々突っ込んだお話をお尋ねしちゃいましたね。」
『いえいえ、過ぎた話ですし、それに一人でこの部屋に居て耐えるよりも、貴方の様な客人がいるだけでも気が紛れます。』
「本当に貴方は褒めるのがお上手ですね。今の私は人間そのものに限りなく近い。何も上げれませんよ?」
『要りませんよ!それこそ罰当たりです!』
「本当にそうですかねぇ?充分罰なんて当たるどころか、褒美をたんまりと貰ってもよろしいのでは?」

そう藪から棒につついてみるも、彼女は折れることはなかった。




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「外、ですか?」
『ええ、非常に好都合なことに。そして申し訳ないことに。私の洋服が貴方の背丈から何から入りそうなので、男物に近い状態で服を買いに出かけましょう。後は金銭感覚も養ってもらいたい。』
「今から?ですが昨晩仰ったことにならないのですか?」
『親戚の叔父と言えば間違いなく騙されますし、私が少々無理矢理に着せて恥ずかしいから急いで買いたいと言えば向こうも分かってくれるはずです。だとしても、流石に大神官様なんていえませんし、肌の色は申し訳ないですが、一旦身体の出そうな処全て色を塗ります。』

よろしいですね?そう言われ、許可を出してしまえばぺたぺたとインクを塗装していく。

『良いですか?此処の世界の人間は嘘が上手です。そして余り上品な言葉は逆に謹んで頂けると幸いですね、と言うかして下さい。』
「何故ですか?」
『貴方程の見た目で、だとしても、私の叔父の年齢近くで其処迄丁寧に、それもゆっくり言える人が私の様な子の家に上がり込んで服も〜なんてちょっと違和感ありますからね。旅行で来ていて、服が一枚しかなく、それも出先で破れて使い物にならなくなった設定で行きます。』

それだとまだマシですからね。

『ですます口調のみで動いて下さい。振る舞いもよく見られますので、少し身体を動かすだけで落ち着きのなさが出て人間らしく見えます。真っすぐ立って後ろに手を置いている子はこの世界恐らく指で数えるくらいの職業に就いている子くらいでしょうからね。』
「わかりました。」
『人が居ない処でちょくちょく説明を入れます。極力私の演技力は気になさらないで下さい。後はご迷惑を今回お掛けしますが、昨日今日、後は今後でチャラ、ってことに。』

はいと、言って、応えたが…だ。

『まだ?ねぇまだ???まだ????????』
「ふふ、大変ですね。」
「ええ、とっても。」

本当に打って違う。人が環境が、変わったら、彼女すらも、だ。現在あれ程丁寧にしてくれたお姉さんらしき人はおらず。今目の前にいるのはただただ甘えている我が子みたいな子だ。おじさんまだ〜といえばまだですよ〜と伸ばして答えてやる。そうしたら嬉しそうに笑ってくれるので、ちょっと気も落ち付いてしまう。何だかんだ言って、心細い気持ちがあるのだろう。それを拭ってくれる彼女が末恐ろしいところだ。

商店街、いやショッピングモールにて買い物をしている中。大神官はほぼべったり都結にくっつかれて、少し疲弊していた。店員さんにお気持ちお察ししますなんて顔をされる始末である。…まさか本当に作戦が通用するとは、この世の中も捨てたものではなかろうか。それとも彼女の観察力が高すぎるだけなのか。一体どういう教育を受けそういう成長を遂げたのか、親御さんに面会願いたいものである。

そんなことを思っているうちに、本当に何着か着せて貰い、何着か購入してもらう。これくらい安い出費だと言って、買うが…本当に安いのだろうか?値段やら価値基準は余り知らないが、間違いなくそこそこの値段はしていそうだ。

「…余り無理なさらなくて結構ですよ?私は何時戻るかも分かりません。」
『…でもそれなりに置いといたら私も使えるでしょうから構いませんよ。』

貴方程度の状態だったら猶のこと、なんて言うのだ。全く叶いやしない。暫く放置されてしまったが、荷物を見て、周りをも見渡す。出先で買って貰った白い帽子を付けて二階の休憩スペースから下をちらり振り向きざまに見てみる。子どもやら大人が右へ左へと移動しているのが見えた。人が多い様に感じるが、どうなのだろうか。

暫くしていると、彼女が袋を抱えて帰って来た。バックを降ろし、荷物を纏めていくので手を出した。

『え?』
「ほら、重たくなるでしょう?私が持ちますよ。」
『いやいや、良いですよ!』
「これくらいさせなさい。」

本当に何から何まで尽くそうとする子だ。こうやって多少強引に剥がさないということを聞かない、と言う事だけは分かった。そうしていると、じゃあと言って笑ってくれる。その後、ある程度必要な物資を購入してから荷物を車の中に入れてしまう。

『本当にありがとうございました。凄い助かりましたよ。』
「いえいえ、買って頂いているので、これしき当然ですよ。それにしても乗らないのですか?」
『言ったでしょう?金銭の感覚を養ってもらうって。』

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『いただきま〜〜〜んまあああああああああああ』
「…また貴方と言う子は、」

ショッピングモールには、食べ物屋さんもある。時間つぶしというのと、後はもっと物を買ってもらう為、である。今回は沢山ある場所でも和風を選ばせて貰った。此処にはデザートもある。釜めしを食べ進めていく間に、大神官も手を付けてしまう。その間に、食べ物の種類や特徴を教えて貰いつつ、他愛もない話を織り込んでいたら、あっと言う間に食事が到着した。

『此処では金銭を対価として食事を提供して貰えます。どうぞお召し上がれ。』
「では…っ」
『ね、美味しいでしょう?』
「ええ」

自分で作るよりもおいしいから、時々来るのだそう。とは言っても稀に近い程であり、此処まで長居なんて暫くしていなかったのだとか。

『他にも種類ありますし、次来た時にでも。』
「そんなお金があるのですか?」
『ちゃんと蓄えはありますよ。』
「余り無理なさらないで下さいね?」

金銭感覚も大体分かって来た。服の値段と比べて、明らかに桁が違う。やはり先程の購入はそれなりの高額だった、というのが分かってしまった以上、財布の紐も緩ませる訳にはいかない。そうは言っても人ひとりはともかく二人それも男性なら猶のこと食事はとるべきだというのだ。

『食事はちゃんと摂って、いざと言う時動かないと痛い目会いますからね。』
「…ですが」
『じゃあ食べないなら私がた〜べおっと!』
「させる訳ないでしょう?」
『あ〜〜〜〜ん!!!!』
「今度、また。」

それで良いでしょう?そう言えば嬉しそうに笑ってうんと言う。






「本当に何から何まですいません。」
『本当にこっち来てからそればっかですね。』
「それ以外貴方が言わせない程此方に貢献なさるので。」

それもそうだ。衣食住に加えて精神面のケアまで追加でされたらたまったもんじゃないのに、やっているのだ。すいませんと笑って言うが、全く、分かって言っているのだろうか?強いて出来るとしたら、家事の手伝いやこうやって帰りの荷物を代わりに持ってあげることくらいだ。少々強引だったが、彼女も結構頑固で折れなかったのが悪い。

大神官は帰り道、特に歩くとなれば都結が持つのは気が引ける。世話になりっぱなしは、流石に悪い。まぁ此処まで世話になったことはなかったというのもあるが、彼女の性格というか、本当に数日だけだが、良く働く良い子だと思う。何気に破壊神らの様子を見ているのもあって、広い視野で観察しやすいのは職業病の為ご了承得たいところ。

大神官がこうして自ら手をかけてやろう、なんてことはなかった。だが、そうさせるのは、きっと彼女の力だろう。なんだかやってあげたくなる感じがするのは、強みだと思う。しかも無意識というのがまた狡いところだ。こういう子がサポートとして入ってくれるならば、此方も仕事が楽になるし、きっと今の職場の人間らも、彼女が居るからこそ、楽になっていることもあるだろう。

気付かせない程に、繊細な部分まで見透かす彼女が、末恐ろしいことに気付いているかは知らないが。

「本日は何になさるのですか?」
『簡易の野菜炒めでもしようかと。炒めるだけですし、火加減も覚えておきたいでしょう?』
「ええ、料理させて頂けるのですか?」
『勿論。あわよくば私が仕事行っている間作って待って頂けれたら滅茶苦茶嬉しいですが、しなくても良いですからね?』
「まさか。貴方からのお願いとあれば、尽力させて頂きますよ。」

これしきやられて、お返しが出来る機会なんて早々ない。特に此処まで尽くす子だ。この機会を逃せば次は一体何時になるやら分からない。そう考えたら願ってもない話である。大神官が寧ろお願いだと言えば、了承する都結。嗚呼もう、全くこの子は…。

自ら毒を入れられるなんてことすらも考え付かないのだろうか?…いや、違う。この子は恐らく、だが

「(まさか、この私に毒を盛られても構わない、なんて仰らないでしょうね?)」

…いや、あり得そうだ。というか、そう言いそうで、というか言うだろうな。自分の子だけでなく、まず初対面でのあの対応。がらりと変わったあの反応。本物と言った後の、目の輝きようと言ったらなんと説明したらいいだろうか?感動し過ぎて前も見えていない程の熱中ぶりには、流石に自分が味わったことのない経験はさせて貰えた。…恐らく後にも先にも彼女だけだろうとは思うが。

毒を盛られてもいい。それ程の自己を、持っていない?いや、持つのを「諦めた」と言えばどうだろうか?

「(…いけませんね)」

この私が介入を、だなんて考えるとは。末恐ろしい子だと思う。子供達に強くは言えないことだな。そう思いながらも、大神官は手を進める。都結が丁寧に教えてくれるのを、忘れない為にも。

彼女に気付かれない為にも。

『これくらいで切って貰って良いです?』
「わかりました。」
『…いや本当に手際良いですね。』
「これしき毎日やっていますからね。」
『火加減と味付けだけ教えます。他はお兄さんにお任せを。』
「わかりました。」

ご飯も先に炊いているし、残りを全部出してしまう。フライパンに卵を入れ、かき混ぜ、ご飯を入れていると何を作ってらっしゃるので?と言えば、秘密ーと言われて作り続けること20分。ひとまず今晩の料理は完成した。因みに野菜炒めと白米。後は追加ソースも置いている。スープはコンソメ味の卵スープで、だ。

「此方は?」
『食べてみてください。』

そう言われて湯気が立っているのを消し去る程に冷ましてから口に入れれば、甘く香辛料か何かが広がる味に、声が出る。

「っん…美味しいですね。」
『っしゃあ!大神官様からリアルガチ美味しい貰った…うわあ〜〜なにこれ、くっそ、いや滅茶苦茶自慢したい。もう出来るならコルン様辺りに言いたいよなぁ〜へへへ〜お前のお父さんからめっちゃ褒められたことあるんだぞ僕はなぁ!って自慢し倒したいけど、絶対駄目。』
「何故ですか?」
『それは良かったですねとかで流されるがオチかなと。後コルン様の反感を買うのは怖すぎる。何処で返ってくるか分からない恐怖に一分一秒気にしたら死んでしまう。』
「っふふふ、違いありませんね。間違っていないかと。」

うわーなんて言って後ろに倒れるが、行儀が悪いですよと言えばすぐに起き上がってくる。

『絶対言う。私の脳内コルン様も言ってるから解釈一致で良いですね。』
「脳内コルンさん?なんですかそれ。」
『想像上ってやつですね。きっとこの子だとこういう時にこういう事いうだろうなぁって。』

因みにいつもは髪の毛を乾かしたり保湿を疎かにするので、滅茶苦茶怒ってくるんです。どうして疎かにするんですかって後で痛い目あっても知りませんからね!って。言いますかね、彼。
っふふふ、言うんじゃないんですかね?

「まぁ言っている処は見たことないですが、貴方程の行動を放置なんてこと、彼がするわけもないでしょうし。実際どういった状態でお会いするかにもよりますが、まぁ強ち間違っていないかと。」
『うわぁ、絶対やだよそれなら。』
「おや?嫌なのですか。やられたいのではなく?」
『現実と想像ではえらい違いなのですよ、大神官様。』

正直言うと、コルン様には一番会いたくないかもしれない。あの手のタイプは大体のパターンが分かっているからこそ苦手なのだ。極力避けたいところである。

『多分サワアさんも割と考える子でしょうし、正直居れば居る程嫌ですね。』
「何故?」
『好きだからこそ、というのもありますが、私は自分のことを相手に知られたくないのです。』

私を知らないままでいい。液晶の向こう側にずっと居て、笑っていてくればいい。

『私は私だけが知っていればいい。もう、それだけで充分なんです。』

貴方に知られなくて良い。でも、もしも叶うならば。


貴方と目を合わせられたら、どれだけ良いか。
貴方と手を合わせられたら、どれだけ良いか。

貴方と一瞬でも息が出来れば、どれ程嬉しいか。
貴方と一秒でも息が出来れば、どれ程嬉しいか。

貴方と数分でも一緒に居られたら、どれだけ楽しいか。
貴方と数刻でも一緒に居られたら、どれだけ楽しいか。


貴方と共に、最期まで。生きれられたら、どれ程良かっただろうか?

『あの人は私を見ない。』

だから、叶わない。それならば、私だけが私を知っていればいい。

目を合わせて、手を合わせて、一瞬でも、一秒でも息をして。
数分でも数刻でも一緒に居れて、抱きしめてやって、そうして

最期まで共に、生き続ける。

私はその覚悟で、私を見ているのだ。

『それがいい、それだからこそ。私はこうして生きれる。何方にもつかない。』
「…中立にいる、と?」
『そうですね。最初は悪や善に偏っていましたが、今は間に居ます。線引きはきちんとしておかないとね。』
「偉いですね。」
『いえいえ、当然のことでしょうよ。大人ならば。』
「そうでしょうか?出来なくてそれこそ、知らずに死にゆく子なんて大勢いると思いますよ?」
『それでも。』

私はあの人が私を見なかった。


だから私は居るのだ。

この”化け物”を飼いならしてみせれば、誰よりも強く生きていけられると思ったから。
だから、私は、今も尚、此処で息をしている。大神官様相手に”偽物の私”で対応なんて、肝が据わっていることだろう?







泡沫の白昼夢


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