だからねぇ神様、お願いだから一人にしないで6



都結の体調が悪化した知らせが入る。

=彼女の容態は如何でしょう?
=ちょっと具合が悪いです。既に今で五回吐いています。

「ふむ…」
「どうされました?」
「具合が悪そうで、これでは時刻に間に合うか怪しいですね…」
「そうですか。それは心配ですね。」

コルン達は電車に乗り継ぎ、現在地下鉄の乗り継ぎに入っていた。まぁ勿論場所がない所もあったので徒歩やらタクシーをも経由はしている。意外とタクシーだったらいけるらしい。一応都結から全額の貯金を引き落とされ分配された時はドキッとしたが。何気に大神官や他の天使らだってバイト経験はしていなくもない。金銭面自体は都結からではあるが、それでもないよりかはマシだった。

それにしてもこれ程まで金額が高いとは。本当に下手したら徒歩の方が早いのでは、とさえ思う。衣服も後で処分することを考えたら普通に全員が移動した方が良いと思ったのだが、どうやらこれが一番の得策だったらしい。現在コルンは時折SNSを見ていた。都結から言われていたのを守っているというのもある、が。

「(予想外の展開に発展しそうですね)」


時刻はもう黄昏時を過ぎ去る最中。まだコルンらが移動するのは次の地下鉄への乗り継ぎとしてタクシーで向かっている処だった。此処の方面に、ですが急いできたのでお金持ち合わせていなくて。なんて言えば嗚呼とタクシーの運転手が言った言葉と共にSNSの言葉にコルンの目が留まった。


「それならってかそもそもお兄ちゃんたち何処まで行くんだ?」
「えっと」
「遠くにです。」
「理久さん」
「遠く?何処に。」
「この車では到底辿り着かない場所まで、と言えばどうなさいますか?」



…人間を余りなめんじゃないよ。そう言って止まった車にコルンらが警戒をする。ぱっと見せて来たものに、目をそっと開けた。条件反射で目を閉じるとは、天使も落ちた者だなと思ってしまった。



「丁度俺、一時間後に終わるんだよ。」









「いや本当に駄目ですって」
「いやいやそんな話聞いたら駄目だろ。おい何処だ新野さんにいのさーーん!!」
「なんじゃらほい」
「うわっ!!びっくりした…!!!!!」
「煩いですよ」
「すみません」

さらりと父親に怒られるとしょげるのも無理はないが、驚くのも無理はないと思う。気配の無さが人間ではない気さえした。都結の先祖かと一瞬疑うその価値観に、似た者同士というレッテルに括りつけ昇華することにしたコルンの気持ちなんてつゆ知らず。新野さんと呼ばれた女性が話を進める。

「何々、どういう関係?」
「実はこっちの理久君だっけ?」
「ええ、理久です。」
「こいつの花嫁さんが結婚式するってことでよ」
「へーおめでとうございます!」
「い、いえいえ…どうも。」

まさかその隣にいる人が結婚する人ですとは口が裂けても言えない話。コルンの汗の流れ度合いに、新野がピンとくる。

「…ちなみに式場どこですか?」
「実は急いできたもので、曖昧なんですが…とりあえず仙台方面には」
「せんだい!?!?!?!?ええ…うわ飛ばしても此処から地下鉄きっつ…」
「だろ〜?お金聞いたら六万しか持ち合わせてないってよ。宿屋含めたらきつくね?」
「流石に一人はまだしも三人ってなれば…ねぇ?」
「ぐっ…だ、だめ、ですか…?」

花嫁の故郷だと言ったら納得してくれた。大神官は一応花嫁側の人間では在るが、急いで来た為片道の金額チョットしか持ち合わせていないことを伝えたら何となく分からなくもないとタクシーの運転手が頷いてくれていた。どうやら娘が先日結婚式で出て行ったのだとか。嗚呼それで其処迄親身になってくれているのか。なんとか納得出来た。

「い〜けなくはない、ですが…厳しいですね。時間を考えたりしたら、流石に妊婦さんとかだったらちょっと例外入りそうでその間になんとか〜って感じはしなくもないですが。式は」
「金環日食に合せていまして。」
「またお洒落な今どきのカップルですね〜〜」
「かっ!!いや私等ではいっ!!!!!」
「何か?」
「いえ何も。」

私等ではなく、隣にいるお父様こそが都結さんとご結婚なさられるお方です。と言いそうになった為、勢いで大神官が靴を踏んだのだ。痛かったが、こればかりはコルンの失態である。甘んじで受けるしかない。

「それより式に間に合うか心配で心配で何か方法がおありとお聞きで来たのですが。」
「お前丁度戻るだろ?」
「いやまぁ戻るけど…乗せてけと。まぁいいけど。」
「うっそう言われると…え?」
「いっ、いいのですか???」
「構いませんよ。ただ子供いますし、妹もいますが。ソレで良ければ。」

充分ですと言って礼を頭ごと下げていったコルンに、大神官やマティーヌも礼を言った。

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=【変更】地下鉄→知人の紹介で現場近くまでヒッチハイクになりました。
=マジ?大丈夫そう?
=一応行けそうですよ。凄く気さくな方達で、趣味をお尋ねしたらジムに行ってるそうです。
=あーなんだ男性か
=両方女性の方ですよ。因みに片方は貴方の夢小説を推してきています。現在進行形で。
=なにしてん?マジでほんとに何したらそうなるん?
=良かったですね。ファンですよ。
=いや私のファンに会うなつってんのよ今回の作戦。
=ですが意外と面白いことになってますよ。
=え?
=ネットをご覧ください。

そう書かれていたので、調べてみたら、だ。あれから派閥が戦っていたのだ。


ーえ、待ってこれさ、普通に夢の一部と同じじゃない?あの天使と神様のような人間との狭間に居る華の神様に。
ーあったあった。鬼ごっこ大会でしょ?色付き鬼。
ーあ、これ暗号だ。共通事項はっとく。
 ・高知と岐阜の「知」と「阜」は同じ八画
 ・八は「末広がり」「永遠」「無限」
 ・旧約聖書の創世記から神は6日間で天地を創造し、7日目に休息8は超えるモノ=神の領域
 ・因みにノアの箱舟に乗って洪水を免れた人間その数なんと「8人」
ー草。
ーちょっと私高知県の神様と岐阜県の神様崇め倒してくる。
ーてらろーしゃ。


「…これは」
『なにこれ、どうなって。』
「面白いことになってますね。とは言っても我々とて準備しますよ。移動中にでもご覧下さい。」
『え。』
「ほら抱き上げますよ。」
『は!?!?!?最初から!?!??!』
「当たり前でしょう。疲れたらちゃんと休みますからその点ご安心を。」
『一つたりとも安心出来ないが???』

洗礼は生まれながらに有している罪を浄めることであり、生まれ変わることを意味しているのだとかなんとか。の話ももちきりになっている。それに対してコルン様やサワアさんの話が続いていたのが見えた。

『さわあ』
「どうしました?」
『あ、いや、なんでもない。』

ねぇ、エフェメラル。今沢山の人達が君の助けになりたいって言ってるんだよ。


ーもしこれが本当ならさ、これかくれんぼ大会じゃない?この作者の考え的に絶対バレたら帰れませんならなくない?
ーまってそれまずない?マジでドラゴンボール超なくなるってこと????無理なんだけど。
ーでも一つの世界でしょ。
ー一つがトントン拍子で自分らが知ってる世界すらなかったことになったらどうする。
ーいやないでしょー科学的根拠あくしろ。


貴方のことを知って、色んな人が見てくれている。


ーでももしそうなら私「応援派」なろうかな。とりあえず行き先何処だこれ。
ー8なら「青森」「岩手」「東京」「神奈川」「長野」か。
ーこれ「東京」?さっき似たような人見つけた。


『っ、』


ーぴぴぴぴー待って下さいーー模索しないでおこ。
ー待ってVやってる。
ー本人居たら入って来てみて欲しい。此処。

そう言ってウラルがあった。本当は起動しちゃ駄目だと思う。でも何処かした方が良い気さえした。其処には


『は!??!!?エフェメラル!?!?!??!』


エフェメラルとも言える人が、放送をしていたのだ。


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全開のあらすじ。

エフェメラルのVが何か放送してんだけど。

以上。

いや異常だわ。どうしてこうなったシリーズの開幕宣言とか聞いてないんですけれども。


ーどもども〜いやフォロワーさん滅茶苦茶増えるあざままーす。とりあえず都結ちゃん初見湧き過ぎで草。お前ら絶対違うだろ!

『わ、すごい…ほんとにエフェメラルみたい。』
「なんですかそれ。」
『VだよV。私達の話してる。』
「…それ本当に大丈夫なんですか?」
『わかんない。』
「なら」

ーもしも都結ちゃん此処聞いてたら落ち着いて聞いて欲しい。

そう言われ、サワアの動きやヘレスもぴたりと止まる。

ーこのフォロワーさんたちは、ううん。私の名前どうしてこんな名前になったのか。貴方の話を聞いて、嗚呼こんな世界もあるんだって思ったの。

騙されないで下さいと言ったサワアに都結は胸に身を委ねるしかない。画面はずっと光っていた。

ー都結ちゃううん、都結さまの推しの書くその世界が、もしも。本当ならば。私は「嗚呼こんな世界から早く出て行って欲しい」って思ったの。

でもね、それは単に貴方が嫌いとかじゃない。



「私は多くの人の時間を過ごして来た。それは此処のフォロワーさんだってそうだし、私だってエフェメラルって実名じゃあない。一ファンだから貴方に申請をしなきゃいけないって思ったけど、止めた。だって貴方だったら名前をきっと変えてくることだろうから!」

私の名前を大事にするために、エフェメラルって子の名前さえ本当の名前を違うのだ、で続きを書いてくるだろうと思った。私はそれが嫌だっただからずっとこの名前で生きて来た。もう何年か分からない。それでも見える世界が違うのは確かだった。おこがましいと思うし、誰だお前とか思うと思う。でも

「今此処に一つ貴方の大事な言葉で鍵が開く通話アプリを用意している。もしも数多もの偽物から本物の貴方が私と話をしたいのならば。私は貴方の力になりたいし、その最後をこの放送で見届けたいと思ってる。だからフォロワーさんは約束して。此処に通話してきた子の言葉を信じて。そして力になって。知らないままで、流れるように。」

お願いしますとお辞儀をする。

本当にいい作品だったのだ。彷徨い込んだ子が、幼馴染との記憶を思い出して、何度も何度も繋がれるようで繋がらなくて。やっと繋がれたと思ったら、目の前で崩壊していく時間。一体どれ程の人生を経験したらあんな世界が見えるのだろうか?小説は絵はその人の深層心理を描いているとよく言われる。ということは、彼女の人生の根本は、何一つとて解決していないことになる。

いや解決しないことこそが救いなのだ。あの物語は、その続きは。

「どうか私に”物語のお手伝いをさせて下さい”。」

貴方ならば伝わる。そう、あの言葉を。そう思っていた時だった。まぁ無理だよねなんて言おうと目を向けた。チャットのアレ具合がえげつない。ぴこんと鳴ったのは放送画面だ。

「気付け?えなに、」

が。そう見つけた画面上に、一つの言葉が送信されてきていた。その暗証番号は、あの子しか知れないモノ。作者しか知れることがないだろう、ものだ。



エフェメラルとはなんですか?



感極まって視界がぼやけて見えにくくてたまりゃしない。嗚呼、と声をあげた。通知を消す。もしもしと言った後、余りにも可愛らしい声に感動が限界突破を振り切りそうになってしまったではないか。


「もう一度いいですか。”エフェメラルとはなんですか?”」
『”天使と人の狭間に生きてたお花の神様だった者”』



嗚呼!この一文字たりとも変わっていない言葉。これこそが、この子その者だ!!!!!
ダンと机をたたいて勢いよく立ち上がった。初めましてと告げる。これは私の最初で最後の放送となる。



「私の名前はエフェメラルです。ヴァイス・ミア・エフェメラルって名前で通しています!!!」
『”えへへっ”』
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜どうしようかわいい。」

ねぇフォロワーさんかわいくない〜〜〜〜!?!?!?まってみろさんってひとでしょ!?!?って話になってそうですと可愛らしい声が出る。

『”えとなんていう…え?…みろだぞ?ぼくをみろ!”』
「どうしよう先に昇天しそう」
『”ええまって無理無理逝かないで〜〜〜フォロワーさんとか見てくれる人泣いちゃうよ〜〜〜”』
「ああああああ天使がいるううううううういやまじで。いやマジ本当に天使だこれ。」

なんて言っているが、フォロワーらのコメントも荒れに荒れている。ヘレスが別画面で見ていたが、滅茶苦茶なことになっていた。マジで天使だの、可愛い声居る天使だの天使ばかりの文字がつらつらと流れていた。なんだったら神々の言語を作った人がこの日限りで運営と直通の限定生放送と放送してきたのだ。

囲え囲えと言う文字に笑ってしまう。

『”ふふっやばwめちゅいうちゃあこってるwww”』
「なんて?言われてますよwww」
『”わ!みんな私の言葉解読できないとかだめだにぇ〜〜!”』
「ちなみに今のはワザとでその前が普通に間違えたんですよね?」
『”えっぐ”』
「あってるよかった。」
『”待って?マジでエフェメラルじゃなかろうか貴様。”』
「心の中には生きてます。」
『”わーい同志だーーー”』
「どうしよう本当に可愛い放送なってしまう。」


もう頭が割れそうな勢いだ。いや確かにエフェメラルも可愛かったし、都結という子も可愛らしかった。みろさんと呼ばれる方の描く世界は絵も然りだが兎に角優しそうなタッチが多すぎる。きっと多くの傷を見続けて来たのだろう。今SNSでも解析厨が話を飛び交わせているが、こんな程まで描けるというのはある一定以上の精神が崩壊しないと出来ない技ですらあるのでは?という話も飛んで来ているくらいで。

恐らくそれは的中していて。

それならば、嗚呼それならば。


「私は貴方が一番幸せになることを望みたくない。」

その言葉に続いて言う。

「私は、貴方が。貴方が決して叶わないだろう一番に幸せをもっていかせたくないの。」

だから願う。

「”だから私は二番目をこよなく愛して止まないままで居るの。人が一番を望み得られる幸せが、貴方の二番目に位置しているのならば。その場所は奇しくも貴方が一番最初に好きになれた黄色い色を灯す天使さんでいたのだから。”」
「っ、な!」
「”あれ?声聞こえる。”」
「ばれた、な?」
「〜嗚呼これだから放送は駄目でしょうがと言ったのに。どうしてそう衝動性に任せるんですか。」
『てへぺろりんちょ』
「くるりんちょじゃないんですよこのドアホ」

ふわりとサワアの輪が光る。それと同時にヘレスの破壊神であろう飾りも、だ。ぐらりと来たサワアにサワアと声を上げた。


『さわあ、さわああ!!』
「だ、いじょうぶです。」

少し眠くなっ、た、だけ、で。

そう言っている間に、ふと振り返る。も、

「…お主がそれ程わらわやこやつを愛してくれていたとは。ほんと、お主は狡いやつよの。」
『へ、れす?』
「此処は現実。行ったことは全て現実なんじゃよ。都結。」
「へれすさ」
「一番を望まず、確実な二番を愛し止まない。お主の中に生きていられるならば」
『やだ、ヘレスさまへれす、』
「その儚い時にい」

ふわり、花が巻き上がった。バラ色の花だ。真っ赤な色。私の大嫌いな、色の花だ。そんなことないと振り返る。自分の身体を抱きかかえたまま倒れた子の顔が見えない。

『さわあ?』

息をするだけで、彼が目を開けることはなかった。











それでも良かったのです。

貴方は誰よりも尊敬され、あのお父様や都結さんでさえ貴方を望んでいた。例え二番をお好きになられたとしていても。あの方らの心の支えに少しでもより添えられたとしても。私はそれだけでいいのですよ。似た者同士?ソレで良いではないですか。寧ろ至極光栄なことだと思いますよ?だって私は



天使の日に産まれた子の時間を愛してやれた唯一の天使なのですから。







泡沫の白昼夢


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