エンドロールが枯れました
キィとドアの開く音と共に足音が止まった。
ガチャリとドアが閉まった後、コツコツと音を鳴らし、
円卓の左側に席付き、軽く珈琲を呑み込んで息を吐いた。
『あ〜〜〜〜やっぱり珈琲はブラックに限りますよね。
…どうも皆さん。コレを見つけている人は運が良いですね?
エフェメラルではなく、エテルネルです。』
お察しのよろしい方はもうお分かりかと思いますが、
どうやらお別れが来てしまわれたようでしてね。
『先程エフェメラルの亡きノートを
全て読み漁った挙句の果てに見つけて
解き明かした謎解きの場所に置いてあった
このビデオテープを見終え、
全力で腹抱えて笑って帰って来たところです。
え?どうして左側に座ってるって?』
いやいや、そんなバカな話をしないで頂きたい。
『この子は目の前に座っているというのに、
誰も見れていないと?』
嗚呼失礼、それは僕の中での、お話でしたね。
『この席はちゃんと、残しておくべきなのですよ。
例え…誰もが此処に座るべきお方を知らずとも、ねぇ?』
はいはい、ちゃんと仕事は全うしますよ。
私とて色々話を持ち越した上でお話するのです。
案外此処の作業、割と面倒極まりないのですよ?
と言っても、物語をちゃんと読んだ方が此方としては楽しみがいと言いますか何と言いますか。
すみません話が逸れますね。
『では、此処のまとめを。…始まりは一体何時を始まりというべきか。
ビルス様に出会った人の名はメリア。彼女は桃色の髪色で、目は黄緑色の子でした。』
そんな子に出会った、いや見つけて夢幻ではないと豪語するビルスに
馬鹿な話がある訳もないと思いつつ、付き人である天使ウイスは地球と呼ばれる惑星へと出向きます。
そこで夢幻と同じ様な子を見つけるのです。
そう、隣に居る、この穢れの無い子を。
『彼女は数多の時間である「廻廊」を駆け巡り
漸くこの神々が息する地に身を降ろすことになりました…が
案外はいそうですか。とはいかなくてですね。』
確か最初は本を整理する所からでしたか。
ルメリア様…嗚呼正式名称はアルメリア様と呼ばれる
エフェメラル様の母様ですね。彼女から赤本なるものを受取っているのです。
その赤本はどんな物も写せば本に出来たり保存し続けれたり
後はそう…この物語を、書き換えたり、なんて出来るとんでも本なのです。
そんな赤本から「廻廊中に筆跡した本をぶちまけていた」
なんて酷いことしたんですよね。
まぁとんでもない量にエフェメラルはドン引きします。
そして自分で片付けるだけとか。普通相談か何かするんですがねぇ。
勿論気付かれちゃって、コルン様らに怒られていますよ。
自業自得とやらですかねぇ。
嗚呼そうそう、後ですね。
握力が予想以上に無くて驚かれたり
食事の質が少々変わられたり、
一番驚くのはサワアさんが華樹神官見習いに
一時的ではありますが、人へと変化した所ですかね。
『彼が正式なる華樹神官になる話は
ずっとずっと先のことです。
少なくとも今ではない。』
だってこの物語は、彼女が「いつか終わるその日まで」を願う物語なのですから。
『衣装も少々チェンジされたりしていましたが、
ここら辺で一番驚く話はエフェメラルが
禁忌を自ら付与していたことが判明したことでしょうか?』
何故、旅をしていて、普通に話せることが出来たのでしょうか?
それも幼子が。それも、幼子から成長していく最中で。
コロコロ変わる、世界に呑まれ、維持出来たというのは…
そう、言語翻訳機能というもの。
その中でも、最も面倒極まりないもの。
多言語固定変換
それは天使らの中でも余り知られていない変換機能の一種で
華樹神らの廻廊において最も重要性が高い変換機能。
その人生において、もっとも欲深く、知識が多く、
日常生活で長い時間を共にする言語を決められ、
他の言語は通常の会話ならば
普通に何処でも誰でも会話出来るものである。
多言語固定変換機能はその名の通り固定変換。
つまり一度固定化すると
前の勉学は全て白紙に戻されます。
正確には勉強した分が変換に費やされるというべきか。
どちらにせよ一から勉強し直しなのは間違いないのだ。
それも筆記だけならまだしも、口頭でもだ。
メルにとって天使らとの会話は命に等しいもの。
話しをするのが楽しいというだけではない。
彼等の知識やその生活はメルにとって不思議でしかない。
好奇心をくすぐられ、時間を忘れ去ってしまえる唯一の時間。
そうその時間が綺麗に消える可能性が出て危険極まりないことだった。
『それだけに留まらず、彼女は自傷行為(物理)もよくやっていまして、
割とカウンセリングをちょこちょこ挟む話でしたね。
まぁ原因は種の生え変わり時期によるものでしたが。』
割と驚きましたよ。まさか種自体の生え変わりがあるとは。
いや考えましたよね〜。僕も割と驚きが止まらなくて
開いた口が塞がらないとはこのことを言うんでしょうね。
ま、これで驚いてりゃあ最後なんて理解出来そうにないですが。
『翻訳機能の件も然り、此処から
コルン様の家庭教師ならぬ師匠という位置が決まりました。
いや〜正直申し上げますと面白い話になったなと思いますよ。』
勿論コルン様のことですからね、
公私混同は極力控えて頂けました。
嗚呼、無論、これからも!…ですがね?
翻訳機能を切った後はそりゃあもう可愛らしかったですねぇ?
赤ちゃん言葉になって、見た目と幼げな口調に一々笑っていました。
最後の方はちゃんと話せるようになりましたし、文字も読めるようになりましたがね。
それもこれも、お師匠の努力した結果ということですよ。
本当に崇めて讃えて祀ってもいいんですが。嗚呼しません?そうですか。
『流石に言葉を教えて貰うだけ〜なんて無理な話。
対価が無ければいけないと困るメルに、コルン様は告げます。
それなら、貴方が知った言葉を教えて欲しいのだと。』
いや〜愛ですよねぇ。愛が育まれているみたいに感じますよ。
一瞬此処コルン夢か…?って迷い込んだ子羊みたいな気分になりましたね!
え?夢って何かって?嗚呼すみません、お気になさらずに。
『日本語を教えるエフェメラルに、神々の言語を教えるコルン。
弟子と師匠の役割を持つ中で、勉学に居る時だけ対等に位置する二人。
その関係性が丁度良くて、二人共仲が良くお話していました。』
それが、ずっとずっと、長く続けてしまえればと思ったくらいには。
熱は下がり、体調も徐々に良くなっていく中で
メルさんはウイスさんやマルカリータさんらと戯れていました。
ふわふわ浮いて遊ぶ彼らを追いかけ、遊びながら体力をつけるという
お師匠様の考えは充分良かったんですよね。案外コレが良い薬となってきます。
ま、ですが…
『メルの頑張りは些か問題がありました。
無理をし過ぎて消えかけたりしていたのです。
流石にと手を出した理様らの話に基づき
メルは一時的な罰ゲーム時間に落とされます。』
例えば?そうですねぇ。
『思ったことが華になって直接答えてしまう〜とか。
生えてきたものが抜けなくて風呂に入れられる〜とか。』
嗚呼あと、お耳が頭に生えたりもしていましたね!
リキール様とビルス様がすっっっごく
どうでも良さそうな顔でメルを見て
お二人して呆れていましたよ。
『廻廊で出会った愛犬「パピ」君が遊びに来ていました。
…後々彼も重要な位置に付くことになります。
名を付けるというのは、そういうことなのですからね。』
嗚呼あと面白い話を忘れていましたね。
『サワアさんとメルが二人して幼少期の頃に戻った事です。
いやヘレス様慌てふためいていましたねぇ〜。
一番驚いたのはウイスさんっぽかったですがね。』
だってサワアさんを軽くあしらってメルをう抱いたんですよ。
『幼い頃はサワアさんがとても大事そうに見えました。
勿論今でも大事でしょうがね。感情の起伏が特に激しく
真っすぐにみるからこそ、熱を帯び、情緒が乱れます。』
要は泣いちゃったんですよ。それも人前で。
エフェメラルという子はとても優しく、そして強い子です。
そんじゃそこらの話でボロボロと涙を流す子ではなかった。
だというのに、この時ばかりはまぁ〜ボロボロボロボロ涙を零します。
嗚呼記憶がない時に泣いてたりとかは無論省きますよ。
というか、ウイスさんらが驚いたのは幼少期笑って泣くことすらなかったのだろうな。
という先入観からのギャップからでしょうがね。
『いつもはサワアさんが泣いて、メルが励まし。
肝心な時はメルが泣いて、サワアさんが
しっかりしているそうですよ?互いを思いやり
ちゃんと見てくれているのは大神官様らも
さぞ喜んだことでしょう。』
仲良きことは、いいこと。ですからね?
コルンの腕の中で喧嘩したり、色々遊んだりとして
蒼い花をコルンに渡して、次の日二人共元に戻ります。
まぁ二人していっそのこと殺して下さいと頼み込むんですがね。
勿論そんなこと、出来る訳もないです。
なんならサワアさんはメルに影響されただけですから。
メルだけならまだしも、彼は巻き込まれただけ。
可哀想ですね。割とほんとに。
『此処から話が少し、変わっていきます。
…廻廊で得た知識を含め、
各場所で伝承なるものを纏めていくのです。』
そして、この話の元を辿るように走っていくのです。
『循環の名、神聖なる別名を。この世界が、どうして生きているのか。
そして、全王様は何故、華樹らを放置しているのか。位置は何処か。
其処ら辺の話が此処で分かってきましたね。』
勿論、今はまだ「夏」なのです。
『この話が分かるのは「秋」の終わり頃になる予定です。』
そう、まだ、「夏」なのですよ。
『…その為、沢山したいことが山積みになります。
花火大会を誘ってくれた悟空さんのことや、
後はパンちゃんと沢山遊んであげたりとか。』
そんなことも、出来なくなるのです。
廻廊途中で作った千年もの眠りによる、ペナルティーが発生したから。
少しずつ眠りが深くなるエフェメラルに
落ち込むのも無理はありません。
漸く戻って来て、サワアらと仲良くなってきていた矢先だったのです。
勿論サワアらは天使。人間とは違い、寿命はない。
ですが、万が一にでも消滅していたら?
目覚めた時、誰もが居なかった時。
一体彼女は息が出来ることでしょうか?
否、出来ない。だから、怖かった。
眠るのが怖い。
『彼女が狙われる可能性は十分にある。だから天使らも警戒し、訓練を積みます。
彼女を守りながら、攻撃をしたり。後は組手をして、防衛をするようにとか。』
そして、時はすぐに。狙われるのです。
模倣がやってきて、メルを取り、連れ去ろうとします。
まぁ勿論、そんなこと上手くいくわけもない。
今迄滾々と言い聞かせていたことが功を奏したので。
エフェメラルの危険信号に早く反応した者達が
誰の腕の中で意識を落ちかけそうになっているのか。
分かった瞬間は、そりゃあもう早いのなんので笑いますよ。
急に放浪者になって逃げ惑うことになりましたが
それも意外で、実は割と本気の訓練だったのです。
人間で言う処の避難訓練みたいなものですね。
いやそこまでするかと思っていたら、
『まさかまさかの、初代の華樹神候補者らの襲撃だったとは思いもよりませんでした。』
エフェメラルはその中に、入っていたのです。
初代の華樹神である、ルトラールの、お子であったから。
その時も、同じように。そう、初代の華樹神とは
『【草創期】初代第1期生の者達が集まっていたというのですからね。』
現在は【中期】3代目第2期から第3期の真っただ中だというのです。
「冬」になれば【後期】4代目第1期から第3期程になると思われます。
ひょっとしたら、また新しい「春」に跨ぐかもしれませんね。
ま、そんな話は置いておいて。
『という訳で、エフェメラルの付き人がコルンということになりました。』
え?脈略が一切ないって?
んも〜煩いなぁ。
『各代は以下こうなっております。』
旧神々の編成
特に無:循環の定理者(理の者)
全王様:華樹神
付き人:付き人
大神官:華樹神官
破壊神:華神
界王神:華神
天使 :加護天使
『定理者の代が変わると、全王らも変わります。
大体1代で1〜3期なので、全王が3人変わる感じですね。
旧は主に華樹神が全王の位置に就いていました。』
ま、正確には「維持していた」が正しいですが。
おっとこれ以上はいけませんね。
ネタバレとかの話になってきましょう。
『コルンさんが付き人へ、サワアさんが華樹神官へと変わることが判明した時。
定理者に成り得る者ならまだしも、彼等は天使。
一度種を植えるにも時間が少々かかり過ぎる。』
ということで、手っ取り早い話が、魂のすり合わせです。
『文字通りいちゃつきますね。これコルンさんだけでなくほぼほぼ全天使と交流します。
具体的に申し上げますと、サワアさんを筆頭にコルンさん、コニックさん、ウイスさんにヴァドスさん。あと大神官様と〜マルカリータとモヒイトさんも入るかもしれませんね。』
入っていましたかねぇ。
『エフェメラルの時間を知った以上、彼女が居なくなることを彼らも拒みます。
途方もなく長い永久に身を置く彼らです。気が狂いそうになる程の時間に一滴のオアシスを知れば、もうお分かりですよね?』
だれもかれも、彼女を、手放すつもり等、更々なくなるのです。
『廻廊の時からとても心配されていましたが、
割と此処から拍車かかります。
主にコニックさんやコルンさんの手が早かったと。』
後マルカリータさんが良くちょっかいに出てきましたね。
割と驚きポイントでしたよ。ひょっこりきたのは笑いましたね。
そうそう
『白い箱の場所が現れ、華樹神の前触れかもしれない。
と一時期騒ぎになりました。まぁ蓋を開けたら違ったんですがね。
なんならエフェメラルの避難経路の一部分だったんですが。』
割と面白いことになったんですが、
洒落にならない話も入っていました。
『蒼穹を司るチェレステ。空色を持つであろう子、エフェメラル。
その正体は…チェレステでも、カランコエらでもなかった。
名等無い、ならば名付けよう。エフェメラルと、名付けよう。』
ねぇ、隣に居るお人。聞こえているのでしょう?
この物語が、終わりを告げる、その音を。
『…したいことが随分増えましたね。』
結婚式、女子会、大神官様のお仕事をお手伝い。
あとお化粧をしたいとか。
『増えても増えても、叶えられる量は限られている。
そして、契りをどんどんと交わしていくことになります。』
この先、生きる為だけに。
『そうでもしないと「夏」を乗り越え「秋」になんていけないから。』
夢をみたのです。
『冬の夢を。凍えて、そのまま冬眠する、夢を。
もう二度と、目覚めない。春を夢見た、悲しい夢物語を。』
それが、本来の「秋」に入る兆候だったとは、一体誰が想像つくことでしょうか?
『天使達が破壊神らと仲良くする夢を。綺麗なクレヨンで描かれた、優しい陽だまりの夢を。
そっと額縁に飾り、綺麗に保持する夢を。痛々しくも、酷く嬉しい、残酷な、悪夢を。』
胸に手をかけ、祈り、その身を壊そうとも、出来たのに。
でもしなかった。だって大事だったから。
もう、手放さないと、決めたから。
強く在るからこそ、願いも祈りも、負荷がかかっていく。
耐えれるなら、更に負荷を、なんて酷いことを考える者ですよね。
『此処でエフェメラルの眼が変わります。
黄緑色の眼は、蒼い瞳へと変化したのです。』
それだけではない。髪色も変わり、衣装も変わりました。
千年の眠りから解放された、後で。
誰もいない。悟空らはとうの昔に死んでしまった。
此処が、どれ程大事だったのか。
悟空が死んだことが、極めて大問題なことだったとは
一体誰が想像つくでしょうか?
嗚呼この話も「秋」に明かされることになる話でしたね。
案外多いんですよ。判明が。楽しみですねえ?
『千年の眠りから目覚めれば、華樹神へと昇格します。
…今までは見習いの時期。
正真正銘の、華樹神へと足を踏み入れたのです。』
勿論華樹神へと昇格しても新人若葉マークは外せません。
加えて本当に良いのかを何度か試すこともあります。
悟空が遊びに来てくれる話がありますが
勿論、悟空は既に死んだものです。
『悟空が来た時が「夢の中」で。
モヒイトらが遊びに来た時が「現実」だったのです。
作中では真逆に書いていますが、実はこれ、思い込みでした。』
そう、エフェメラルは勘違いを無理に起こしていたのです。
そうやって、ズレを作り、自分が少しでも動きやすくなるように。
そっと、じわりじわりと、場所を確保していた。
『夢か現か。さてはてどちらか。
胡蝶の夢とはなんとも言い難い甘美な言葉。』
そうして出会う時間は、酷く残酷で。
『大事だったのに。信じていたのに。
ずっと、居てくれると思っていたのに。』
そんなお人に、彼女はその身を、割かれてしまうのです。
『すぐに駆け付けても、時すでに遅し。』
赤く満たされた場所に、天使らも
一瞬何が起きているのか理解が出来なかった。
『赤い血だまり、敵対する、同胞…どうか、夢であって欲しかった。』
なのに、コレは現実で。目の前に在る者に、何故したのかと問いかけたかった。
殺意の湧く感情に、立ち込める気の多さと言えば何と言うべきか。
ぐたりと倒れる彼女が、呼吸を微かにしていると知ればすぐに動く。
血を拭い、そっと声をかけ続ける。
大丈夫だと、また遊ぼうと。コレが終わったら、何をしようかと。
そう思っていても、彼女は手を降ろさせるのです。
それには天使らだけでなく、破壊神らも怒りをあらわにします。
何故手折るのだと。何故身を引くのだと。
此処に残りたいと笑って言ったのは嘘だったのかと。
そんな訳がない、優しい彼女だから、一つの答えに導かれる。
『”瞬くだけの幸福が、此処で終わるだけなのだ”』
と、だから手折る?だから振り下ろす?馬鹿を言うんじゃない。
ごめんと謝るメルに、マルカリータが呟くのです。
まだ、まだ…温かいのに。
その言葉で各々が涙を嘆きを、怒りを露わにします。
『余り泳がし続けるのではなかった。そう大神官様も後悔しました。
主が交代して、空いた空白から次の主が身を降ろした時。
次の主が死んだら、必然的に一番近しい者が、一時的な世代交代を担う。』
大神官の妻である役を担っていた、アルメリアの付き人が、エフェメラルを殺害したというのですからね。
『…世界は残酷で、同じ過ちを何度も繰り返すのです。
天使が華樹神を殺害したように、付き人が華樹神を。』
それはまるで、呪いの様な者ですね。
『ま、世代交代がエフェメラルでなければ良かった。
隙を作るのがまぁお上手。サワア達が倒れ、力の出ない状態になりもう駄目だと思っていた矢先。』
エフェメラルの声が聞こえたのです。
『声だけでなく、その身が、その地に降りていた。
まるで生きているかのように。誰もが幻想だと思った。
ええ、そうなんですよ、幻想、なんですよ。』
本人ではない、模倣であるもの、なんですからね。
『エフェメラルの生命探知機で、5分間感知しないと作動するものでした。
標的を認定するにはその場にいる生命の過半数が標的に向けて殺意を抱かないといけません。』
ある意味、救いでした。神が、其処に降り立ったというのです。
『母であったルピルムさんの戦闘力は当時で言う処の大体80前後。
対してエフェメラルの戦闘力は模倣に力を入れた分は…160前後。』
そう、圧倒的な差が生まれていたのです。
1つだけでも割と面倒で、10離れるときついというのに。
それが倍とは、これ如何に。しかも相手は模倣。
『オートとは言っても暴走し続けると世界を崩壊させる危険があった。
なので彼女は予め主人になるマスターという者を名乗りださせるように設定していました。』
自分が動けば、殺害するから。してはいけないだろうから、人に、任させようと。
設定自体は簡単だったそうですよ。本人曰く、ですがね。
『いやでもまさかですよ?
これでも対大神官用やコルン用サワア用等
ありとあらゆる対策を取っての
第6782番目にある資料から引き出した
マニュアル8895627を採用して
マニュアルの意味が「はやくころせ」とは笑いましたよ。』
ネーミングセンスの無さに。嗚呼煩い?煩いですよ。
『彼女が倒し、大神官に引き渡す形に落ち着けば
戦っていた模倣をアニュラス様ら定理者らも気付き声をかけます。
魂はなく、何処かに行った状態の肉体。』
それを放置するなんて、以ての外。
『サワアは眠るだけのエフェメラルとして扱い、
彼ら仲の良い者達を集めに集め
白いベットの中に身を降ろすことにしました。』
所謂添い寝、とやらですね。
天使が寝れる訳もないのに。
眠り、意識を落としてでも、
エフェメラルを連れ戻すというのです。
これ程まで尽力しているというのに
この子はどうして自分がこの場に居ては
いけないのだと決めつけれるのでしょうか?
理解が追い付かないのです。
白い世界に、その子はいました。
大神官を始めとし、サワアや他の子達にも会います。
全員回る前に、物語は進みますがね。
『試行錯誤の末、エフェメラルは目覚めます。
その身に、もう一度魂を宿して。』
白い部屋から外れ、余りにも恐ろしいというので
最古の惑星ハイマットに繋がっている惑星アストランティア
別名春の華星とも言われる彼の地へ、身を降ろすことが決まりました。
此処なら一度星に入らなければいけない上に樹木を通じるのでね。
警告も含めたものです。勿論樹が消されると少々面倒になりますがね。
とは言ってもすぐではありません。
『エフェメラルが住むというのもあり、
前の時代に生きていた廻廊らを含めた
華神らをその地に暮らさせるというので、
暫くは建築に励みます。
建築が終わって暫くしてから
暮らしても良い様にという形にするために。』
これが次の話に、大きく貢献するとは、予想していませんでしたがね。
『華樹神として生きることになった以上、外に一人で出歩くことは不可能。
だと思っていたんですが、一応華を使って空を歩ける彼女は一人で出歩く…訳もない。』
案外臆病さんなんですよ。彼女って。
『大神官様のお仕事をお手伝いすることが決定した以降
割と天使らと仕事としてもお付き合いすることが増えました。
休憩中や仕事外だとふにゃふにゃするエフェメラルですが
仕事とあらばものっっすごくキチキチします。』
そりゃあもう、コルンさん見てるみたいと言われるくらいには。
『生きとし生ける全ての者の悩みの根源
とは言い過ぎかもしれない生理に悩まされたり
白い部屋に飛ばされたり、気を生成しにくく
人づてで修復し続けないといけない
身体に困惑するエフェメラル。』
そんな中、大神官らと白い部屋に閉じ込められます。
華樹神として、元々あった力を、引き出させる為にも
大神官はエフェメラルに手を出すというのですからね。
割と手を出させるなんてよくやりますよ。
普通こんなにぐいぐい行く人ではないんですよ?大神官様。
『一時的とはいえ、初代で生きていた
天使の時間にむりくり戻されたエフェメラルはご立腹。
対して大神官はご満悦でした。まぁそりゃそうですよね。』
エフェメラルが望むのは人間と天使の間にある状態。
この時は天使という形に維持をするしかなかった。
勿論前々から予兆はありましたよ。
背後に入る、輪の光を、ね。
『ああ、一番の事件を忘れてましたね。循環の黙示録である
クレアバイブルとやらが紛失されたんですよ。』
とある天使の、欲に呑まれて、ね?
『エフェメラルを筆頭に、各々探しに行き、無事取り戻しますがね。
終わった後の回復作業といったらまぁ見物でしたよ!』
一人二人〜三人四人と天使が杖を使って回復をするのです。
最初は良かったんですが、途中から要らないと焦るメルに周りもご満悦状態。
明らか困らせたかったんでしょうね。見え見えなんですよ。色々と。
『そうして長い月日が経ったある日、
モヒイトと作戦を練ったエフェメラルが
サワアの元に遊びに行くことになりました。』
無論、片道旅行で。お着換えして見せつけた時はまぁ〜凄い顔してました。
目を開けて、固まる彼が、顔を赤らめ急いでメルを抱き上げ飛び逃げる姿は
未だかつてないとモヒイトさんも仰られておりましたのでね。
『…此処から、どんどん天使らに印を付けられていきます。
今迄のはただのおままごと。慣れ合うだけだったのです。』
ずぶずぶと落ちていく自分のことに、考えられなくなっていく。
その間に、自分の名を口滑らせたエフェメラルに大神官は罰と同時に
次の時代へサワアらを引き継がせる意向で印を付けさせ始めたのです。
そのために、天使である時間が必要だった。
真昼間に生きるお人。その名も、メリディエム。
『完成してしまった身体は、天使らが触れれば印が浮き上がります。
輪も通常であれば浮遊しており、翼も生える為、動きづらいというだけで
隠し、維持して半年ほどの月日が流れたある日。』
エフェメラルが等々外に一人で出歩く許可を大神官が出したのです。
とは言っても、すぐにとはいきません。
大神官らが印を付けているからといっても
エフェメラルの方が上位互換なのです。
知る範囲は限られている。
その為、何処でも見れる様にと、定理者らの協力の元
エフェメラルはその日、一人で行動することになりました。
…そう、一人で。
『出会った人間は、サワアさんの処の人間。
だから大丈夫、そう思った子も馬鹿でした。』
連れ去られ、行方が分からなくなったことを知った大神官は
急いで全王様に報告の元、全天使に指令を出します。
定理者らに協力を仰ぎつつ、彼女の身の安全を確保するために。
でも、見つけた時は、既に遅かった。
『身ぐるみ剥がされ、白い肌を数多の人目に晒され
尚且つ大事なお人らの模倣に犯され、自尊を傷つけられるのです。』
何度も抵抗し、何度も抗った。
でも、捉えられた者に逆らう事なんて出来なくて。
エフェメラルは果て、その身を染め上げます。
もう、どうでもいいのだと。
『コニックさんが見つけた時、きっと酷く胸を痛めたことでしょう。
もっと早く駆け付けたら、傷付くことも…
彼らの大事な記憶を、忘れ去ることだって、なかったのだから。』
大丈夫、待つのは得意ですから。
そう言いたそうに苦しそうにも笑うサワアが、
あんまりにも痛々しかった。
『気を使い、何を企むのか。それは、かつてメルを一度殺したであろうアルメリアの付き人であった者を復活させるというものだったのです。』
最悪なことに、エフェメラルの気を使う上に
定理者らが持っていたお試し華を保持していたのですからね。
生贄になる者を出し、準備が整った所で、エフェメラルを連れ
記憶を気を全てを取り戻しに走り出します。
『辿り着いた場所で、力を盛大に振うことになったエフェメラル。
もう、これ以上は難しい。何とかして二人倒し、記憶を取り返した直後。』
振り返った場所には、誰もが、生きてはいなかった。
『悪夢をみた、その通りになってしまったのです。』
誰も、居ない。
下に寝ているのは、誰だ。
分かりたくない気持ちの中で、分かっていたことが一つあった。
『殺したから、手を染めたから、貴方達は眠ってしまったのだと。』
嗚呼、あの日に戻りたい。
いうことを聞かなくてごめんなさい。
そう謝っても、時間は戻らない。
戻したくても、戻せない。
気を力を、盛大に使わないといけない上に
体力の消耗もかなりする。
精神的に参っている状態で、出来る訳もなかった。
世界が、黒く塗りつぶされていく。
『嗚呼そうだ、これは、寝ているだけなのだと。』
天使が寝る訳もないけれど。
でも、破壊神は何処に行くのだろう。
何処にも居ない。
天使が傍にいるのは、あの破壊神らでないといけない。
『記憶を取り戻していたのです。だから、壊れた。
もう、二度と、戻れないと分かっているそんな中
彼女の元に、父親であるルトラールが出向きました。』
そして言うのです。
『ゆっくり休んでいいからね。』
その暗闇の中で、一緒に。寝続けてしまえばいいのだと。
『それには、何も反応しなかった彼女が初めて反応を見せました。』
ほんとうに?そう言って、目を輝かせて上を向いて言うのです。
数日前まで見ていた子の様に、戻って来た、いや今迄が夢かの様に。
気の済むまで居ればいい。ずっとずっと、其処に居ればいい。
誰も責めない、咎めない。そう言い聞かせれば、
ボロボロと泣いてうんうんと頷くのです。
暗闇の中で、ずっと眠る天使らの傍に。
エフェメラルは、その身を降ろすことを決めました。
『いつか春が巡る、その日まで。』
眠り続けるサワアらの隣で、ゆっくりと目を閉じました。
そして、大神官らもまた、目を閉じたのです。
世界は、白い光に包まれ、目を覚まします。
『誰もが彼女を知らない。世界に。』
さて…ここら辺ですかね。
では次回予告と致しましょうか。
え?続きがあるって?
『ふふっ…言ったでしょう?「春」が終わり、「夏」の時間だと。』
まだ「秋」も「冬」だって見ていないのです。
『物語は終わらない。だって、物語は人生だから。
切り取っただけの時間なのだから。』
では行きましょう。
『エフェメラルは壊れたまま、目覚める処から始まります。
それは残酷な目醒めだった。誰もが私を知らないというのだ。』
でも、その場所だけは、エフェメラルを知っているのです。
惑星アストランティアで、息をし続けるエフェメラル。
ですがある日、そんな息も、止まることが?
『いつか終わるその日まで。貴方は一体、その華を持ち続けているのでしょうか?』
こうご期待。