深夜の空中カクテル




『(嗚呼今日も1日が過ぎる)』

そう夜闇を歩いている中、
月明かりに照らされる地面を
何も考えずに歩いていた

誰も居ない時間帯でもないのに
何処か静かな午後19時に
不思議と首を傾げた。

月の光をつたって顔を上にあげた
満月の夜だと思って足を止めるか迷った中
コツンと音が後ろで鳴ったことに
私は振り返った。

この時から、世界が変わって行くことを、
私はこの時、知らなかった。

そのまま振り返らなければ
私は人間として生き続けれたのだろうか?

桃色の髪の毛が、ふわりと色を変えたなんて、
そんなおとぎ話のようなことが、
有り得るのだろうかと。

真っ白な髪の毛の女性が、寂しそうに悲しそうに、泣きながら呟いていた。


ーごめんなさい、せめて、貴方と、一緒に、歩いて生きたい。



ーーーーー


『(え?なんか空中に浮いてない?)』

シルエット的に人にも見える
スラリとした身長的に
モテるのは間違いないなと思った。

バックの背景が月でない以外は。

『(あれ無視した方がいいのに、なんか落ちてない?)』

地面に落ちていた黄色のペンダントが気になった
そのまま私は歩いてシルエットの下に落ちていた
黄色のペンダントを拾う

落としただろうから、渡せばいいのかな?
と思っていたら空から声が聞こえた


「ー君はそれでも笑って居られるのか?」

え?そう言う前には月に見えていたシルエットは無くなっていた

その代わりに、私の下にあった地面はぽっかりと空いていた

そのため、急激に下から風を受けることになり、驚きで声も上がらない


『(なになになになに!?)』

黄色のペンダントをぎゅっと握りしめて、
私はどうか死にませんようにと祈って落ちていった


数時間という長い時間落ちていった感じがしたが、
下から光を見つけた時には声が出た


『え!?ちょ、待って!?』

地面から落ちた私の行先はどこかもわからない
大木がある紫色の空の中だった

そのまま私気圧に押し殺されるんじゃないかと思っていたのだが、
全く身体が悲鳴をあげることは無かった。

精神的には悲鳴を上げているが、今はそれどころではない。

空を飛んでいる。
落下しているの間違いではないかと思ったが、
目の前に見えた世界を見て、空を飛んでいないとは言えなかった。

空中に浮遊したまま、紫色の人のような者と目と目が合ったなんて。

『…っ』

綺麗だと思った。
その眼を見て、その先を見た気がする。
嗚呼、コレは夢だと思い知る。
だってこんな瞬間移動は夢でよくあったから。

そうか、これは夢だ。
一体何時から現実から離れたのだろうか。
分からないが、ただ一つ分かることがある。

『…お願い、醒めて』

この得体のしれない感情から。
どうか目覚めて欲しいと強く願った。

パチパチパチパチ、この感覚が、頭を廻ってくるしい。
突如、世界が変わり、大きな大樹の樹の下に身体を下ろさせられる。

『ぎゃふっ』

我ながら滅茶苦茶変な声がした。
ううと、唸りながらも身体をなんとか起こす。

『っわああああ』
「…あはは、驚かせちゃった。」

そう白い白髪の女性がけらけらと笑って言う。
金色の目の色が、何処か遠くを見つめていた。

『え、此処何処?!?!』
「私はだあれ?」
『いやそうだけどそうじゃないけども!?!?』

焦る私に、けらけらと女性は笑う。
白いワンピース姿がとても可愛らしいと思う。
オフショルダー周りの肩がレースで、下は少し膝上よりも高めだろうか。

髪の毛は降ろしており、肩に付いている髪の毛を後ろに戻そうとして
横髪が垂れ落ちてくるのを遊んでいるようにも見えた。

裸足の彼女は、何処か、違うそうまるで

『天使?』
「はわ、そうみえる?!?!?!」

まじで?!?!君が天使じゃん!!!いっぱいすき!!!
何だこの子は、というのが第一印象。
きらっきらとした目で輝かせてこっちをみてくる。
いや黄金色だから既にキラキラしているんだけれども。
それ以上にだな。うん。

『貴方は、一体誰?と言うかさっきの場所は?!』
「…ソレをしって、貴方はこれから先を見つめられる?」
『どういうこと?』
「ごめんね、貴方は選ばれてしまった。」

この私が、選んでしまったから。
そう胸に手を当てて悲しそうに笑う彼女。
どうして、そんな悲しそうなのだろうか。

まるで、誰かが死んだかのように寂しそうに言う。
肩をそれ以上落せば、
その服全部落ちてしまいそうになるくらいに、
下げられるところまで下げて言うのだ。

『…此処が何処だか、貴方が誰だかは分からない。』

でも、それでも、私を選んでくれたの?

『どうして選んでくれたの?』
「…貴方が、助けたい人が居る、って感じがした。」
『っ』
「確かに数多の命がこの世界には生きている。
その中で、貴方を選んだのも、私は意味があると、思っていたい。」

それが、繋ぐのを、人はこう呼ぶ。

「奇跡を見せてよ、桃色のお姉さん。」
『…メリア』
「っ!」
『メリア・アウゲン。貴方の名前は?』
「…メル。」

ホントの名前は、言えないけど。
そう泣きそうに笑う彼女に、良いと断言した。
彼女は間違いなく、悪い子じゃないと感じたのだ。

数多ものある命の中で、私の願いを、見つけてくれたのだ。

『じゃあ、メルって呼んでもいい?』
「うん。メリア、って呼んでも?」
『勿論!!ねぇ此処は何処なの?』
「私の世界であるもの。色々あって、私記憶が迷子しちゃっててさ。」
『あらあら、それは大変!手伝うよ!!』
「いや皆そういう…ほんと、君達同じ魂じゃない???」

何を訳の分からないことを言い出すのだろうか。
そう不思議そうにするメリアに、メルはまぁいいかとため息交じりに答える。

「此処は全ての願いが叶う場所。」
『…なんでも?』
「うん。願ってみる?」

そう言われてふと思いつくものといっても、これと言ってない。
メリアは「メルは?」と聞いてみると、ないないと手を横に振った。

「私の願いなんて、もう二度と叶わないから。」
『…でも、なんでも叶うんでしょう?』
「私は最後の最後にとっておくよ。」
『なら私も』
「え」
『どうせドラゴンボールで何とか願いは叶うし。』

そう言った彼女に、メルはドラゴンボール?と首を傾げる。
あら知らないんだと言うメリアが答えた。

『七つの球を集めると、空に竜が出てきて
なんでも一つ、願いを叶えてくれるんだよ。』
「なんでも…一つ」
『人を、蘇生する。とかね。』
「っ!!」
『ま、私の周りはそうやって沢山繋いで来たんだけどね。
私も然り、蘇生させてもらえた側だし。』
「一度、死んだんだ。」
『うん。だから私ね、不思議と死んだ感じのまま生きちゃっててさ。』

勿体なかったんだけどと言ってメルの方を向いて笑う。

『こんな可愛い子に出会えちゃったら、死んでもまぁ問題ないかなって!』
「…だめだよ」
『メル…』
「死んだら、手折れば、全てが終わってしまうから。」
『…ごめん。』
「ううん。でも、少し手伝って欲しいは欲しくて。」

いやでも本当はもうこれで終わりにしたくて。
どうしようと悩んでいたらさとメルは言う。

「ついつい貴方に声を掛けちゃってしまって。
本当はこんな感じでサラッと話すなんてしなかったんだけどね。」
『…初めて?』
「うん。今まではその子の身体に憑依して生きてきたからね。」

まぁその記憶も現在曖昧なんだけどねぇ。
そう笑うメルに、そうなんだと答えた。

『ねぇ』
「うん?」
『私の事、憑依してみない?』
「え」
『どちらにせよ、私は一度死んだ身。
もうこの世に生きて良い感じの人間ではない。』
「でも、その願い球で生き返ったんだから、
第二の人生とか歩まないの?」

『それこそ今だよ!!貴方の、願いを。私が叶えてあげる!!!』

メリアはメルの手を取ってねぇと言う。

「…私が悪い悪魔だとは思わないの?」
『まさか、そうなら私はとっくの前に死んでいるでしょ?』

あっでも一度死んでるんだった。
そうとぼける彼女に、クスクスとメルは笑い始めた。

「っはははは、もう、降参!じゃあ、
メリアと一緒に。これから歩いて行ってもいい?」
『…うん。いいよ。』

メリアは手を前に出す。
それに、メルは微笑みながら手を前に出した。

握手をしながら、よろしくと答える。

『それでどうすればいいの?』
「まず始めに、私はメル。華を司る神様をしていたことがあるの。」
『はなを?!あっ、えっ、かみ、かみさま!?!?』
「ああ恐れ多いとか考えなくていいから。」

寧ろそう思われる方がこっちが恐れ多くなって怖くて怖いので。
そう色々文字が崩壊していく言葉に、メリアは嗚呼と答えた。

「その前にも、沢山の人達に出会って、沢山の時間を過ごしてきた。」
『これは何回目かわかる?』
「ううん。それすらも分からないの。
ただ覚えているのは、メルという名前と、
華を胸に、秘めていたことだけ。」

それ以外は何も。
そう首を振る彼女に、じゃあとメリアは続ける。

『私が貴方の記憶を思い出す時まで、
私は傍に居続けるし、
この肉体を好きに使っていいってことでどう?』
「それはいいけど、貴方のメリットが
何処にも見当たらないんだけれども。」
『私のメリットは貴方の記憶を見れるっていう処!
もう神様の記憶だよ!?とんでもないよ!!
ただでさえ選ばれて驚いてるっていうのに!!』

だからなんにも、しんぱいしなくて、いいんだよ!!

そう笑って言うメリアに、
メルは目を丸くしたあと、
うん!と頷き、ふにゃりと顔を崩して笑った。

「貴方の生きている世界を教えてくれる??」
『ああ、私の世界の?仕事は製造に切り替わってて』
「違う違う、貴方の生きているその土地とか。」
『そっち?えっとね、』

そう言っている間に、身体が浮き上がる。
嗚呼時間か、とメルが言うのに、待ってとメリアは手を取る。

「寝ればまた会えるよ。」
『でも!!』
「大丈夫。また会おう?」
『っ、メル!!!』
「メリア、またね。」

笑って見送るメルに、
メリアは泡の様に消えていく身体に
嫌とも言えず、綺麗に消えて無くなった。

しんと鎮まるこの場所で、メルはぼそりとつぶやいた。


「…始まる。また、同じ様に。命が消えてしまうのか。」