青春学園中等部二年、舟橋夢乃は演劇部である。
人前に立つのは苦手な彼女だが、本人曰くそれと舞台に立つのとは話が違うらしい。事実、彼女は裏方の仕事よりは舞台上で演じる方を好む。下手か上手かはさておいて、彼女が演劇に対して情熱を燃やしていることには間違いがない。
話は変わるが、彼女には好きな人がいる。
青春学園中等部二年、テニス部の海堂薫。
舟橋は、一眼見た時恋をして、その盲目さに一度敗れた。そのことについて彼女はめげず、彼と「友達」として昼食を共にすることで彼のことを良く知ろうという計画を立てた。彼女(ないしは彼)は現状維持を望んでいる。その方が楽だからだ。しかし、彼女が最も存在を嫌うロマンスの神様は、それを是とするだろうか?

劇的で些細な心の変化が、今、誰の目にも映らぬ場所でひっそりと芽生えようとしていた。

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