ごちゃ倉庫
◎へいへいおおきにまいどあり!
へいへいおおきにまいどあり!2010-2-13 21:44
その日は酔っていた。
すごく。
うん、酔っていたんだ。
「はいはい、兄さんよってらっしゃいみてらっしゃい!
勉強しまっせ〜。
ハイハイ、おおきに、毎度あり!」
「はっ…」
イキのいい、関西弁。
こんな都会の繁華街で…何を…。
しかもこんな、イキのいい関西弁で…。
酔った頭でぼんやりと、声の方を向く。
声がした方には、何やらたくさんの人。
露店だろうか…。
小さな高校生くらいのガキが、関西弁で何かを売っている。
別に、露店で売っているもんなんかに興味はないが…。
その、あまりにも楽しそうな声色に…
思わず、釣られた。
ふらふら、っと露店に吸い寄せられたように近づく。
「んじゃ〜、そろそろいこかー、超目玉!
これ、逃したらもうやばいでーっ。浪花のワイの心かけてる目玉商品や!
何かは…言わなくてもわかるよな?」
バンバン、とハリセンを叩く売り子のガキ。
八重歯がチラリと見え、本当に楽しそうだ。
見ているこっちもなんか買いたくなってくる。
関西の商売人ってのはやっぱり、売るのが上手い。
「はいはい。んじゃ〜20万からや!」
20…万?
ちょっと待て、何を売っているんだ。
高すぎやしないだろうか…。
しかし、周りにいる客はまるでオークションのようにどんどん金額を吊り上げていく。
何をこんなに…。
そんなに、いいものなのだろうか。
「なんや〜、みなさん
一点ものなんやで?もっと声だしぃ
よっしゃ!
このさいローンも可!
一切がっさい面倒みてやんで!これ逃すともう一生後悔すんで!」
バチッ、とガキは周りの客にウィンク…
うぅ…、一点モノ。
なんだろう、このマニア心を擽る言葉は。
胸動かす言葉は…。
気がつけば俺は…
「200万だ!」
品物が何かも知らないのに、ガキの競りに混ざっていた…。
こういう時、大手会社社長やっていて良かったと思う。
俺はマニアだ。
しかも、レアモノに弱い。
レア、と言われれば手を出さずにはいられない
それが俺だった。
「よっしゃ!はい、やめ!兄さんに決めたわ!」
バンバン、とハリセンを叩きつけるガキ。
最後に金額を出したのは…
俺だ。
あ、俺がなんか知らないが一点モノをゲット出来たのか…。
なんか知らないが感激だ。一点モノをゲットできた!と思うと。
これだから金持ちは…とか言われそうだけど…。
オークションや競り合うのはやっぱりいいな…。
周りは何やらブーブーブーイング。俺はもっと出す!なんて言っているやつもいる。
「もうダメダメ。締め切りましたー。
ってな訳で、みなさんちったちった!
ほな、さいなら」
ヒラヒラと手を振るガキ。
客じゃない人間にシビアとは…
商売人の鏡だな…。
と、その前に…
「なぁ、俺は…何を競り落としたんだ?」
「あぁ…せやったな。
オメデトサン
商品はオレや」
「はっ…?」
「だから…商品は、オ・レ・や」
商品ハオレ…?
「ま、待て…っどういう…」
「ほな、いこか。
あぁオレ、こう見えて初めてやけど勉強するさかい…」
べ、勉強…
初めて?
な…
何を…
「あ…、返品は…」
「無理や、返品不可。
商売人、ナメたらあかん。
一度売ったもんは返品なんて商売人魂が廃るわ。
あぁ、大丈夫や。
一切合財、面倒みるやんけ」
い、いや…。
そもそも俺は楽しそうだったから競りに参加しただけで…
一点モノ、って聞いたから買っただけで…
こんなガキなんか欲しくなかっただけで…
マニア心が擽られた、だけであって…。
「一点…モノって…」
「オレや。
一点モノやろ。
人間同じ人間なんて…ありゃしないしなぁ…」
「そりゃそうだが…」
オレは別に人を買うために競ったんじゃ、ないんだが…
レアモノがほしかっただけ…なのだが…
「絶対兄さん、損はさせへんで」
そういうとガキは楽しそうに俺の腕に自分のソレを絡ませてきた…。
これが、奇妙な関西人とオレとの出会いだった…ー

