この物語は、
女の子大好き、女の子にキャーキャー言われたい!そんな(自称)俺様若手俳優と
とにかくドライな野心家若手俳優。

そんな二人が、ある日、ユニットを組むことになりました。

ごめん…マジで、惚れました。えーと、本気で好きです。付き合ってください。本気で俺とイチャイチャしてください。
俺があなたを好きなのは、演技ですから無理です。
そんなお話です。

****演技だからね!?*****



女の子大好き。
女の子にキャーキャー言われたい。
女にもてはやされたい。
女の子、最高。

そう、数か月前の俺は思っていた。
否、思っていたはずなんだ…!
ちゃんと、女の子好きだったはずなんだよ!
ほんと、男なんてノーサンキュー。サブいぼたてちゃいます。
あにきぃ〜すきだぜぇ…なんて言いません。
女の子のふわふわしたおっぱい大好きです。
それが俺だったのになぁ。
まったく、人とは変わるものである。


「なに、でへら〜っとしているんですか?気持ち悪い」

醒めた目で、俺を見つめて顔をしかめるあいつ。
もとい、俺の愛しのハニー。
俺の(きゃ…言っちゃった…)ゆうくんです。


「いやぁ…、あいかわらず、ゆうくんは可愛いなぁっと思いまして…」
「馬鹿ですか、あんた…」

今にも溜息をつきそうな呆れた口調でゆうくんはそういうと、視線を俺から視線を外し台本へ戻した。

つれない態度も可愛いよ、ハニー。
ああ、今着ている半ズボン最高だね。
太ももが見えて…、そのまま膝組んだらパンツ見えないかな。
いや、太ももも十分、エロいんだけど。
エロくて、俺のジュニアを抑えるのに必死なんだけど。思春期の10代じゃないんだから、もっと節操があってもいいと思うんですがね、息子よ。
いやぁ、俺もまだまだ若いってことですね。
これも小悪魔なゆうくんがいけないんだよ。
ああ、もう、可愛い、好き、好き。


テレビでは、俺のことが大好き、俺以外見れない、すぐ嫉妬しちゃうけど貴方が好きすぎるから…って、そんな健気なキャラでうっているゆうくん。
しかし、一転テレビを離れれば、地のゆうくんは、非常にドライである。
ツンドラの名がふさわしい。
何故か俺をライバルだと思っているらしく、対応も他の同業者よりもドライ。

なので、俺が度々愛の言葉を口にしても…

「テレビの時以外言わないでくれます?」
「それ以上、不快な言葉を言わないでくれますか?」
と非常に毒舌なのである。くすん。


ゆうくんは、俺より華奢だけど実際俺より年上で、結構野心家である。
俺とユニットを組む時だって、キャラづくりをしても、人気になりたい…と、そういう算段があったから、だそうだ。
同期でライバルともいえる俺と、その…キャラづくりでもイチャイチャしてもいいと思ったのは、偏に女子の人気獲得のため。
芸能界のビックになりたいから…らしい。

夢は月9に出て、大物俳優の小田切さんと共演することらしい。
あ、ちなみに小田切さんってのは40過ぎたおじさまである。
ゆうくんはそんなに口にはしないものの、小田切さんをかなり尊敬しているらしくって、小田切さんが出ている雑誌の切り抜きなんかもしている。
あんな親父どこがいいんだか…。

俺も一度だけ小田切さんと共演したことがある。確かに演技は上手いし、俺には出せない男の色気ってものがあったけど…。
でも、それだけ。

俺のほうが身長高いし!
優しいし女にもてるし!

なにより、ゆうくんloveだから!
誰よりもゆうくんが好きだから。

あんな親父には負けません!
ゆうくんは、俺のもの、です!
俺の、ハニー、です!


「ね、ねこにゃん!ゆうくんの相棒兼・ダーリンは俺しかいないよね」
『ソウダネ、タイチくん!ユウ君ハ、タイチ君ノ相棒!御似合イ!』
「なに馬鹿やっているです…?あんた…」
「あ、ねこにゃんだよ、ゆうくん。ほら、ねこにゃん、ゆうくんにご挨拶」
『コンニチハ。ユウクン』

俺は声色を変えて、今日出演した番組で貰ったパペット人形・ねこにゃんを動かす。
ねこにゃんは三毛猫の、某番組のマスコットである。俺が非常にねこにゃんを気に入ったため、スタッフさんがくれたのだ。
番組ではユウくんがねこにゃん動かしてて可愛かったなぁ。
『タイチクンは僕のこと、すきかにゃ?』
なんて恥ずかしそうにやってて…!
もう、演技でも胸がぎゅんぎゅんしちゃって、放送中なのに、チューしたくなって大変でありました。
まぁ、そんなことを放送中にしたら、絶交&ユニット解散間違いなしだったので、やりませんでしたけど…!(一度したら数か月口きいてくれませんでした)


「馬鹿ですか?」
「馬鹿だってよ、ねこにゃん。酷くない?」
『愛ユエニ、ダヨ!ガンバッテ、タイチ君!』
「うんうん、わかっているよ、ねこにゃん!本当は、もっと俺に構ってよ!っていっているのなんてわかっているよ!ゆうくんは恥ずかしがりやだからね!
こんなこといっても俺だけってちゃんと俺はわかってますから。
今日も、朝からゆうくんに会うのが待ち遠しくて、メール20通送っちゃった!」

朝から俺の頭は絶好調で、今日もゆうくんに対する愛の言葉を綴ってしまった。
まぁ、朝だから迷惑かな…とおもって20通しか送れなかったんだが。


『アーア、ソンナニ送っタノ?怒られなかった?』
「ふふふ。いつものことだよ、ねこにゃん」
『ソンナニ送って嫌われナイ?』
「嫌われないか…と考えて動いていたら、恋は始まらないよ、ねこにゃん!
恋はいつでも、全力投球だよ!
緩めの球を投げてちゃダメダメ。男は黙ってストレートだよ!」
『ソウダネ…タイチ君、カッコイイ…』
「あほですか…、いや、あほですね」

そんな、改めて言い直さなくても。
わざわざ言い直すゆうくんも可愛いけど。

「でも、でも、きいてねこにゃん。今日はメールの返信があったんだよ」
『ウワァ、良かったネ!なんてきたノ?』
「うん。(死ね!(^^)!)って…。
ほらほら、この顔文字!可愛くない?可愛いよねぇ〜。愛がこもっているよねぇ〜」

右手をねこにゃん、左手にスマホを持ち、ねこにゃんに見せるようにスマホをちらつかせる。
いつもはスルーか、馬鹿ですか?の文だけだったのに、今日は顔文字入り。これは、親密度がアップした証では…!

「…お気楽ですね、あんた…。いっそ、すごいと思いますよ。感心します」
「え?なになに、ほれた?ほれた?ほれちゃった?」
「どこをどうしたら、そう聞こえるんですか?」
「ん〜?俺には、全部愛の言葉に聞こえちゃうんだけどな?ねぇ…」

今までのデレデレした顔を引き締めて、ゆうくんに近づく。切り替えはお手の物です。
なんてったって、俳優ですから。
顔だけじゃないんですよ?
俺は、実力派俳優なんです。
どんな役だってできる、万能俳優なんです。

本を持っていたゆうくんの手を無理やり取って、ゆうくんを俺のほうへ向かせる。
ゆうくんは、突然手をとった俺に、少し驚いたように目を見開いた。

「ゆう…キスしても、いい…?」
低く囁くような言葉。
それから、演技勉強した結果、自分でも一番のキメ顔。
俺のファンの女の子なら思わずキャーっていって失神してしまいそうなくらいの顔と声でゆうくんに尋ねる。

「本気で、キスしたい…」
「……」
「…ダメ…?ゆう…」
ゆうくんの頬に左手を添えて、ちょっと頼りなく、お伺いたてる。

ゆうくんは…、なにも言わない。
あれ…、これ、いける?
いけちゃったりする?

ついに、口にチューできる?
キッスできちゃったりするー?しちゃうんですかね、たいちさん!

うおおお、キス。
念願のキッス、ゲット!
よっしゃー!

あと、少しでゆう君の柔らかな唇に俺の唇が重なる…あと少しで俺の悲願が…!

と、喜んでいたのに、俺の唇はゆうくんの手に阻まれた。ああああ、キス。キスがぁぁ

「そんな顔して、女の子口説くんですね…。勉強になりました」
「…へ?あ、あのゆう君…きっすは…」
「枕にでもしてくださいね?俺は女の子がいいんで…」

ニッコリ、とゆうくんは菩薩のような笑顔で微笑みながらいう。
やっぱりだめかぁ。
いや、引っぱたかれなかっただけマシか!
前は顔をよせるだけですぐ引っぱたかれたもんな。
今は手も出されてないし…。あ、手っていえば、ゆうくんの手にキスしちゃったんだ。
唇にはできなかったかもだけど、これはこれで、ラッキーでは?
あああ、でも!でも唇が良かった。
いまの雰囲気だったら、絶対いけたと思ったのに!
ああああ。

「ゆうくん〜」
「なんです」
ゆうくんがなんですか?と言い終わる前に、唇をふさぐ。

といっても、直接唇を奪う勇気もなかった俺は、ねこにゃん人形で奪っちゃったわけですが。

「えへへ…奪っちゃった…v」

少し可愛く言ってみれば、ゆうくんは
「馬鹿ですね」
俺に、お決まりの台詞を返した。



その日、俺が夜のメールを送ったところ、ゆう君からは、(死ね( ゚Д゚))ときていた。
新しい顔文字をわざわざ送ってくれるなんて、やっぱり、好感度はアップしてきているようだ。


百万回の愛してるを君に