それから、散々、乳首を愛撫され陰茎をイジられ啼かされたものの、菜月が利弥と身体を重ねることはなかった。
というのも、堅く閉ざされた菜月の秘孔に、起立した利弥のものを挿入することが困難だったのである。
菜月も己のものよりもはるかに獰猛な利弥の陰茎に、おびえてしまって身体は強張り、とても身体を繋げるにはいたらなかったのだった。

 身体が繋げられないことで、また『恋人関係をやめようか』といわれるんじゃないか…と身構えていた菜月に、利弥は『焦らずじっくりやっていけば、いつか抱き合えるようになるから』といって、おためしの恋人関係を中断することはなかった。

(俺が乳首触るのを嫌がっていたら、やめるかって聞いてきたのに。
抱き合えないとなれば、お試しもおわるかと思ったのにな…。
やめるかやめないかの境目ってどこなんだろう?)

ゆっくりとだったが、菜月は利弥の宣言通り、夜は利弥にレッスンと称して、セックス一歩手前の行為を毎夜、行われていた。
菜月が行為を嫌がれば、利弥は『じゃあ、やめるか?』と菜月を試すように聞いてくるので、お試しでも恋人の付き合いでいたい菜月に拒否権はなく。菜月の身体は利弥によって、開拓されていった。


 どこで買ったかわからないピンクの玩具も使われたこともあったし、受け入れやすくするため…と、秘孔に怪しげなジェルも塗られたことがあった。
当初は男同士の行為の行為に慣れていなかった菜月の身体も、利弥から施されたレッスンのお陰で、愛撫されればすぐに反応するまでになった。
いまや、菜月よりも利弥の方が菜月がどこか感じるのか知っているかもしれない。

今では秘孔も利弥によって溶かされ、利弥の指くらいならば苦痛を伴うこともなく、受け入れることもできる。
 利弥の行為は、執拗といっていいほどで、初心だった菜月の身体は利弥によって、少しずつ男に抱かれる身体へと変化していった。





「…今日はやれるのかな…。俺」
 溜息交じりに呟いた声が、浴室に大きく響いた。

 恋人宣言してからの利弥は、それまで残業が嘘のように早めに帰宅してくれるようになった。
利弥曰く、クリスマスまでが仕事のピークで、年明けしばらくは暇で時間がとれるらしい。
今日も利弥は早めに帰宅おり、食事が終わったあと、ソファでのんびりとしていた菜月に対し、ふらふらと近づいてきて、隣に座るないなや、菜月の服に手を潜り込ませて、菜月の身体に不埒な悪戯をしかけた。


『利弥さん…っ』
『凄いな、もう、ここ尖ってる…』

利弥はエロ親父よろしくそんなことをいいながら、芯を持ち始めた乳首を、指の腹で潰す。
散々利弥に弄られた胸の果実は、ぷっくらと膨れており、衣服がこすれただけで身体が疼いてしまうほどの性感帯となってしまっている。胸だけでこんな風になってしまうなんて…と、菜月自身、自分の変化に困惑を隠せない。


『…利弥さん…その…まだ身体洗ってないし…』
『どうせ、やった後入るだろ?』
『でも…、汚いし…』
『気にしない』
『俺は気にするの!』



延々と悪戯する利弥の手を逃れ、逃げるように浴室へと駆け込んだ。
それが、数分前のことである。



  
百万回の愛してるを君に