激しい責め苦に、“ここから逃げ出してはいけない”という思いが日に日に薄れてしまい、自分で決めた誓いすら、破りそうになってしまう。
何もかも投げ出して、この恐ろしい男から逃げ出したいと…。

(もう、オレには、縋れるものはその誓いしかないのに…。オレが自分を保っていられるのは、その誓いがあるからなのに…)

バハロですら、知らない誓い。
その誓いを守るために、シャルルは死という逃げ道を選ぶことはせず、バハロの性奴隷になっている。
自身可愛さの為に、親兄弟の仇に尻を振ると淫乱と民に噂されようとも。国を裏切った売女と言われようとも。どんなに憎まれ恨まれようとも。

その誓いがあるから、どんなことでも耐えることができ、今を生きていられるのだ。


誓い。
それは、騎士としての誓いと、今は亡き者たちとの誓い。

(オレ…は…)

「ほら、シャルル。
いつものように、犬のようにひざまづけ…。
おまえのあそこを見てもらうんだ。ワシに毎夜、かわいがられているあそこを…」

バハロは愛撫していた手を止めると、
「シャルル、お客様にみてもらうんだ。お前の淫乱な場所を…」
と低い声で、命じる。

「…はい、旦那さま」

シャルルは小さく返事を返すと、バハロの命令通り、バハロの前でひざまづき、四つん這いになった。
シャルルのつるん、と丸みの帯びた尻が客人の前に晒される。

シャルルは、バハロや客人の前では、なんでもない顔をしてみせながらも、その身体は羞恥に震えていた。
これから、もっと酷いことをされるというのに…。
シャルルはこの悪夢が早く過ぎるように祈ることしかできない。
客人の視線を見たくなくて、シャルルは視線をベッドにおとした。 


「バハロ様、もっと尻をあげさせたほうがいいかと…。ああ、それから…、これを」
「…っ」

ヒルデルトが手にしていたものを見て、シャルルの身体はぴしり、と固まる。
ヒルデルトが持っていたものは、銀色のコックリングと、ピンクの液体が入った小瓶だった。
このコックリングは、シャルルを射精させないようにするもので、ピンクの液体は媚薬だった。


それも、どんな不感症である人間も1滴濡れば何度もいってしまうという、強力なものである。どんな身持ちの固い女でもこの媚薬を少しでも使えば、たちまち男のものを欲しがる淫乱な“雌”になってしまうという、品物らしい。

この媚薬はルッテ・クラウンでは出回っていないものだったが、前回の遊宴で、バハロが招いた他国からきた客が、シャルルに…と持ってきたものだった。その効き目は効果絶大で、普段は表情をなくしているシャルルが、理性などなくして男のペニスを銜え込み、淫らに喘いでしまっていた。
浅ましく強請り、男のペニスをもっともっと…と身体をくねらせて演技ではなく、本気で男を欲しがっていた。

 その薬を使われれば、憎い男に抱かれていても、それを忘れるほどの強い毒のような恍惚感が身体を駆け巡る。
もっともっと…と抱かれることしか考えられない、淫乱な娼婦になる。
いつも乱れながらも、心までは…と、甘えた振りしてバハロに陥落したふりをし、自分を保っていた。でも、その薬を使われてしまえば、そんな理性などはなくなり、憎んでいる男ですら、喜んで受け入れて、抱かれることしか考えられなくなってしまう。


「前回、シャルルはこの薬で大変淫らになっておりましたので…。今回も…」
「そんな…」

前に使われたことを思い出し、シャルルの顔が、さっと青ざめる。
前回、バハロたちは、1滴でも強力な媚薬をシャルルのアナルに何滴も使い、薬でギンギンに立ち上がったペニスが射精できないよう、今手に持っているコックリングでせき止めた。

いきたい…いきたい…と無我夢中で自身のペニスを弄るも、リングでペニスを止められていくことはできない。

いきたくても、いけない。
もどかしくてもどかしくて、仕方のない。
狂おしいほどの、毒のような快楽。
それを、もう1度味わわなくてはいけないのか…。あの醜態をまた憎い男の前で晒さなくてはいけないのか。

「いやだ…」
逃げ出そうと四つん這いの状態から、立ち上がって逃げようとするも
「どこへいく…?シャルル」
その足はバハロに簡単に取られてしまう。

「い…、嫌です…、その薬は…いやだ…」

ふるふる、と首を振り嫌がるシャルルを、ヒルデルトとバハロ、そして集まった客人はその悲痛な表情に愉快そうに口元を綻ばせる。
まるで、獲物をいたぶって喜ぶ獣《けもの》のような笑み。
怖がって震えるシャルルを助けようとするものはこの部屋で誰一人、いない。
何十人も部屋に集まっているのに…誰も助けようと声をかけるそぶりもない。

それどころか、その怖がっている姿に興奮し、はぁはぁ…と何人かは堪えきれず荒い息をついた。
この部屋には、シャルルの噂をききつけ、その身体を抱こうとする、飢えた獣《けだもの》しかいない。
同じ生殖器がついている、男であるはずなのに、男達のものは反応し衣服の上からでもわかるくらい勃起していた。なかには待ちきれずに、ズボンに手を入れて、自慰をするものまでいる。
客人達は、じりじりとバハロとシャルルがいるベッドの方へ近づいていった。


「ふふふ…。どうやら、この薬で散々いってしまったことが、相当堪えたようですね。普段、涼しい顔をしたシャルルが、あんなに快楽に身もだえて…ねだり…。」

ヒルデルトは、ピンクの小瓶の蓋を開けながら、

「ああ、そういえば久しぶりにみたシャルルの流した涙は、綺麗な真珠になっていましたな」

そのときのシャルルの乱れようを思いだし、にぃ…と口端をあげた。

同様に、言葉は発することはなかったが、バハロは「ふふ…」と同調するかのように、醜い顔に笑みを浮かべて見せた。


「あ…ああ…」
シャルルの顔は絶望に染まり、言葉にならない声をあげる。その身体はかわいそうなほど、恐怖に身体を丸め震えていた。


「いや…、それは…それは…」
「これ、シャルルよ…、それじゃあちゃんと客人に見えぬではないか…」

バハロは俯せで倒れているシャルルを、引き寄せて、尻だけあげさせた。くっと、そのまま尻タブがバハロによって開かれて、大勢の客の前にシャルルの秘部が暴かれる。


「ああ、…美しい…綺麗だ。美しい花弁だ…」
「これが、人魚の…。毎夜男をくわえ込んでいるとは到底信じられない…綺麗な桃色で…、清純な処女のようではないか…」
「本当に男をくわえ込んでいるのか?あれが…」


シャルルの秘孔を見つめ、客人達は思い思いに感想を述べていく。
耳を塞ぐことができるのなら、塞ぎたい。
しかし、今は羞恥心を煽る言葉よりも、シャルルを追いつめるものがあった。


「だ、旦那様…おねがい…、お願いです。あの薬は…、あの薬だけは…あの薬だけはいやなのです…あれは…」

どんなに乱れたふりをすることだってできる。
犬のようにひざまづいて浅ましく尻をふれというならば、その通りに振ってみせる。

どんなに苛まれたって、心はいつだって自分のものであった。しかし、あの薬を使われてしまえば、心すらも帰られてしまう。
欲しい欲しいと強請り男に縋る、理性も何もない、獣になってしまう。

それだけは、ダメだ。
自分が必死で守ってきた“誓いのため”という理由もなくなり、男に抱かれ喜ぶだけの、民が噂するような本物の娼婦になってしまう。

「あれだけは…あれだけは、もう…」
「そんなに嫌か…シャルル。あの薬が…」
「いや…いやです…!あれはイヤだ…」

自分が自分でなくなってしまう、おそろしい薬。


「あの薬だけは…」
「そうか…いやか…」

バハロはシャルルの肌に口づけて、醜悪な不気味な笑みを浮かべ

「では、今夜も身もだえて貰うとするか…」

シャルルの願いもむなしく、傍らにいたヒルデルトが持っている小瓶の中の液体を指ですくい、シャルルの窄まりに己の指を躊躇なく挿れた。

「ひ…ああああ…」
びくり、とシャルルの小さな尻が衝撃に揺れる。
ぐちゅ、ぐちゅ、と客に見せつけながらバハロは、指をかき回していく。
バハロが中を荒らせば、男を散々受け入れてきた内壁はすぐに柔らかく溶けていき、どんどん奥へと指の進入を許した。ぐぷぷ…と奥へ奥へと進んでいく指に、シャルルは為すすべもなく、喘ぐことしかできない。


「…あああ…いやぁ…」
「ふふふ…すぐあつくなるな…シャルルの厭らしい部分は…。すぐワシのを呑み込む…。その小さな下の口で」

薬のせいなのか、それとも慣れ親しんだ身体のせいなのか。
そこは女のように濡れないはずなのに、スムーズにバハロの太い指を呑み込んでいく。

「処女のときような、きつく閉じた華を無理矢理こじ開けて散らすことはできぬが…、ワシを受け入れ溶けていく…愛らしい身体になったものよ」
「ああ…、や…」

ガクガク、と震えは徐々に大きく鳴り始め、肌は汗ばんでいく。
高揚感がじわりじわりとシャルルの脳を支配する。
つぅ…っとシャルルの口端から、快感に堪えきれず、唾液がこぼれていく。「こんなの…こんな…」
「…ん?」
「こんなの…オレじゃな…オレ…」

言葉とは裏腹に、バハロの指を喜び、とろけていく自分がいる。
じわりじわりと、快感とともに自身が失われていくのがわかった。
眼からは光が失せて、とろん、としてしまう。
自身の身体なのに、心も身体も奪われる。
自制心までも、薬のせいで消え去ってしまう。
それでも最後の抵抗とばかりに、シャルルは譫言を繰り返した。


「ふふ…こんなに乱れるのは自分じゃないと…?そんなにイヤか?シャルルよ…」
「オレ…オレじゃない…オレは…」
がくがく、とバハロの指の律動に、身体が動く。
バハロの指に合わせ、尻を振りながら、言葉とは裏腹にペニスからは愛欲が止まることなく流れ落ち、シーツを濡らしていく。

バハロの指がシャルルの前立腺をかすめると、シャルルは一際、大きく体をびくつかせた。

「ああ…いや…うっ…う…うぅ…」

出したくもないあられもない声に、ぎゅっと血が出るくらい、きつく唇を噛みしめる。
しかし、そんな抵抗もバハロの前では無意味で。
バハロは緩急をつけながら、中を解していく。

「ふふ…、シャルルはここが好きだったな…」

ぎちゅぎちゅ、と先ほどシャルルが反応したところを狙って、バハロはそこばかりを刺激していった。
びくびく、と快感に身体をクネらせ頬を紅潮させ、熱い息をコボす。
そんなシャルルを客人達は一瞬も見逃すものか、と食い入るようにバハロとシャルルの行為を見つめていた。

「あ…いああ…う…ああ、いああ…そこぉ…」
「ここが、いいんだろう…シャルルよ…」
「んああ…あ…」

そんなに、触られてはもうイッてしまう…。
シャルルのペニスは既に密をコボしながら天を向いており、今にも射精してしまいそうだった。


「どうだ…?シャルル、いいんだろう?」
「んぁ…ああ…」
「ほら…、いい…だ…。きもちいい、だろ…」
「や…だ……ああ…」

首をいやいや…とだだっこのように振る。
気持ちのいい場所ばかり責め立てる指に、すっかり受けいることを調教された身体は快感を追っていく。目の前がチカチカ、と点滅していく。

「ああ…イク…オレ…オレ…」
「ふふ…この指が気持ちよくてイくのか?まだ指で解しているだけなのに…。本当におまえは淫乱なのだな…」

笑いながら咎めるバハロの声。
その声すら、だんだんと遠く聞こえてくる。

憎い男、それすら、薄れていき…


「んぁあ…いい…あああ…」

ぽろり、と眦から涙をこぼした瞬間、言うまいと思っていた言葉が口をついていた。
一度言葉にしてしまえば、せき止めていた蓋がはずれたように後から後からいつもの自分だったら言わない、卑猥な言葉が口から出る。

「…き、きもちい…です…なか…、触って…ああ…さわって、もらって…きもちい…です…オレ…ああ…」
「だろう?これがいいのだろう?シャルルよ…」

「そ…です。なか…、だ、旦那様の指がきもちよくって…オレ…オレ、指だけで…」
「オレ、じゃないだろう?シャルルよ。おまえはワシの妻なのだ。
もう剣をふるい、国を第一に思っていた王子ではない。
ワシのものを強請り、その尻にワシの子種を欲しがる、浅ましい雌なのだ…
国の民をも裏切り、気持ちいいことだけを追う、ただの雌なのだ。
そう、国を乗っ取り、親兄弟を殺した憎いワシにすら抱かれ喜ぶ…淫乱な…」


憎い…。憎いのに…。身体は熱くなり、今以上の快楽を追い求める。
抱かれ慣れたシャルルの身体は、そこをどうすれば一番気持ちが良いのか知っている。

バハロの熱を、男の熱くたぎったもので、自分のアナルをえぐってほしくてたまらない。
自分をもっと淫らに責め立てて、あられもない嬌声をあげるくらいにいたぶってほしい。
イヤでいやでたまらないのに…

(オレ…は…、もう…)
ふと、脳裏によぎった、夕焼けの時、愛しい人と拳を合わせた、騎士の誓い。
いとおしくてたまらない…、甘い視線で見つめていた思い人。
脳裏に描く思い人は、真剣な顔をしながら、薄い唇を開く。


 一緒にこの国を守る騎士になろう…。

あんたは、守られるお姫様じゃいやなんだろう?

だから、さ…。
二人で騎士になろう。
この国を守る立派な騎士に。

俺はいつか、立派な騎士になる。
この国を守っていけるような。
この国すべての人が認めてくれるような、そんな騎士になる。
あんたが愛するこの国をちゃんと守っていけるような、立派な騎士に。
誰よりも強い騎士になる。
誰にも負けない、強い騎士に。

だから、そのときは…。
俺をあんたが必要とするそのときは…、
そのときは、ずっと…側にいさせてほしいーー。
あんたの、側に…。
あんたの隣に俺をいさせてほしい。
あんたがずっと笑っていられるように、ずっと支えになるから。
あんたが認めてくれるほどの男になるから。

俺は、あんたの盾になるから。

俺が、あんたをずっと守るから…。
あんたは俺の側にいて…ー。



(ぎるばーど…)
脳裏に描いていた思い人は、にこやかにほほえむと突如と沸いた大波の中に消えた。

(そうだ…もう、ギルバードは…いない。
ギルバードも…ザビアも…オレを思ってくれた人は皆…オレを守る為に…オレの前から姿を消した…)

もう何も考えたくなくて、シャルルは瞳を閉じた。瞳さえ閉じれば、今ある現実から少しでも逃げられると思ったから。
闇の中であれば、浅ましい自分を見なくてすむから。


「…うぅ…、なか…気持ちよくて…オレ…私…いきます…なかだけで…いっちゃう…私…淫乱じゃないのに…あぁ…」

頭の奥で白い光が弾ける。
絶頂を前に、身体をふるわせた、その瞬間。

「おっと…」
シャルルの絶頂を前に、バハロは弄んでいた指を止めて、いきかけたシャルルのペニスをぎゅっと握りしめた。


「ああっ…」

射精しかけた身体をせき止められて、シャルルは身悶えシーツに突っ伏す。射精できると思っていたのに、寸でのところで煽られたまま、射精することを制御される。

はぁはぁ…と、艶めかしい吐息をこぼし、物欲しげにバハロを見つめるシャルルに、バハロは唇を歪ませて、満足感に浸った。

「シャルルよ…。まだいくでない…。先は長いぞ…。こんな早くにいってはもったいないだろう?」

 バハロはシャルルの身体を抱き起こし、己の膝の間に座らせる。
バハロのグロテスクな色をした、子供の腕ほどのふとさのあるペニスは、シャルルの痴態に熱く勃たぎっており、その先端からは先走りが流れていた。
バハロは、座らせたシャルルの尻に、ゆるゆると己のペニスをこすりつける。
アナルにはいれることはせず、じれったいほどゆっくりとした仕草で、アナルの周りや太股を白濁で濡らしていく。

射精を止められたシャルルは、ぼんやりとただ、バハロを見つめるだけ。


「そうだ…これを忘れていたな…」
バハロは、ヒルデルトから受け取っていたコックリングをシャルルのペニスにつけると、そのまま乱暴にシャルルのペニスをしごきあげる。

ぴくぴくと、身体は何度も痙攣《けいれん》し与えられる刺激に己は高ぶるのだが、ペニスは銀色のリングが填められて、いくことを制御されている。

もどかしい。

気持ちいいのに、いけない。
いきたいのに、いくことができない。
狂おしいほどの快感がせきとめられて、眦から涙が溢れ、シャルルの頬を濡らす。

シャルルの涙が真珠に変わる前に、バハロがそれをなめあげて、べちょべちょと、顔を汚していった。
バハロが舐めとることができなかった涙が、そのまま地に落ちてシーツを濡らす。
しばらくすると、それは数粒の真珠となっていった。


「あ…いああ…ああ…」
「イイ顔になったな…シャルルよ…」
バハロは、満足気に背後からシャルルの髪を撫でる。
先刻まで、涼しい顔をした感情のないお人形のような顔で、バハロに従っていたシャルルはもういない。

その姿は、情欲に悶え、無意識に男を誘う艶めかしい“自身の欲の為に国を捨てた王子”だった。
こんな姿を見られれば、何も知らぬものは当然噂は本当だったのか…と思うだろう。
そして、その噂はどんどんと広がっていく。
そうして広まった噂をききつけ、シャルルを一度抱こうと人が群がる。

まるで、終わることのない、輪廻のようだ。
バハロの妻とされ、一生バハロの元から離れられない自分は、抜け出せない迷路を延々とさまよっているようだ。


「バハロ様、そろそろ客人達にも少しは人魚の身体を味あわせてやってくれませんか?先ほどからいまかいまかと、待っているお客様が大半ですから…」

ヒルデルトがバハロに告げれば、それまで見守っていた客人が、わっと沸く

「ふむ…それもそうだな…。」

バハロは、そうつぶやくと、シャルルの足首を掴み、そのまま左右に広げる。
シャルルは、バハロを背に、客人の前でM字に近い状態で足を広げた状態になった。


「…シャルルよ…、見られて恥ずかしいのか?もう何度も見られているのに…おまえはいつまでたっても、生娘のような反応をする…」

バハロはシャルルのうなじを舐めあげながら、からかうような言葉をバハロは口にする。
薬を使われていなければ、普段のシャルルだったら、そんな言葉も、視姦するようになめるような視線も涼しい顔でやり過ごすことができるのに…、薬を使われてしまった身体では、いつものように冷静沈着ではいられず、シャルルは真っ赤になって、いやいや…と首をふった。

「さて、皆様、お待ちかねのお時間です。どうぞ、海の神に愛された子を、あなた様の手でその身体を火照らせ、熱い楔を浅ましい孔にいれてください…!」
「ほ、本当にいいのか…なにをしても…」
「この日の為に一週間も射精することもなく溜めていたんだ…好き勝手させてもらうぞ…」

客人達は次々に言葉を口にし、シャルルに近づいていく。

客人の一人が、先走って、シャルルのペニスを口に含む。

それが合図のように、一人、また一人とシャルルに触手を伸ばしていく。
まるで、密に群がる虫のよう。
少しでも密にありつこうと、虫達は我先にとその身体を苛んでいく。

「そうがっつきなさるな…」
客人の興奮した様子に、傍らにいたヒルデルトが自身の顎髭を撫でながら声をかける。


「まだまだ、夜は長いのですから…、シャルルも簡単にはいけませんし…
せいぜい、この夜を楽しもうじゃないですか…。
ねぇ…元王子様?」

ヒルデルトの眼が怪しく光った。
客人から与えられる無数の快感にシャルルは再び、嬌声をあげる。

シャルルの王子時代を一番よく知るヒルデルトは、堕落してしまった“王子”に、にやりと口端をあげた。


「ああ…いい…ああ…。おねが…もう…」
甘い声が、部屋に響く。

 夜は、まだ始まったばかり…。

百万回の愛してるを君に