呆気なく牢に閉じ込められたかと思えば、別れたばかりの麦わらの一味数人と、ローによって精神を入れ替えられた海軍の二人も一緒に捕まっていた。

「お前、ローの船員か?」

スモーカーから探るように見詰められてたじろぐ。女性の姿でもその迫力は失われていない。彼が言いたいのは、私が白いつなぎを着ていないからだろう。私たちハートの海賊団は、ロー以外はみんなつなぎ姿だ。ベポだけは色が違うけれど、そもそもの見た目で目立ってしまうし、大きさでいうならジャン・バールもそうだ。私も普段はみんなと同じ白いつなぎを着て、白いキャスケットを目深に被ってあまり顔を晒さないようにしている。だから、個別に懸賞金は掛けられてはいない。しかし、今はローの着ているようなロングコートで、背中には大きくうち(ハート)のジョリーロジャーが刺繍されている。何より帽子を被っていないので顔もよく分かってしまう。敢えてキャスケット帽は船に置いてきたのだけれど、裏目に出てしまったかもしれない。

「……何か問題でも?」
「見ねえ顔だと思っただけだ」

新入りにしちゃあ船長と距離が近い。それにこの状況に怯える素振りもなく、堂々としているとスモーカーは言う。残念ながらローと行動すると何かと捕らえりたり困難が待ち受けているのはいつものことなので、牢屋に閉じ込められたくらいでは動じなくなってしまった。まあ今回についてはこうなることも想定済みだったのもあるけれども。

「白猟屋、ウチの船員クルーを口説く気か?」
「馬鹿野郎、取り調べだ」

それきり、スモーカーからの追求は無かったので胸をなで下ろした。



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