妖艶と情熱のあいだ

ナマエちゃんとクソ剣士は、いつもすれ違っている気がする。
俺は、いつもそんな事を思ったり、思わなかったり。

「あいつは……また。」
「偉そうにナンパかよ、マリモの奴……」
「信じらんないね…毎日毎日違う女と…」
「(まあ、気持ちは分からんでもないが…俺ら、こう見えても海賊だからなあ)」
「なあーにを考えているんだか!てか、私も女なんですけど?ね?サンジくん、私は女よね?」
「ああ、すっごくきれいな女性さ」
「サンジくん…あなたはとてもいい人だよね、最高。」

ナマエちゃんはそういうと、俺の頭を撫でる。
ナマエちゃんは、とてもきれいな人だ。
ワノ国の住民みたいな黒髪がとても艶やかで、肌はきめ細かくて白くてすべすべ。
胸も大きいし身体も細身。でも、身長だけがちょっと小さい。だが、それでも女性なら誰もがうらやむだろうスタイルの良さと顔の良さ。性格だけは、俺らの船に乗っているせいか少しばかり気が強い。

「私も外人に生まれて、身長が高かったらよかったのかな…」
「ナマエちゃんはそのままで十分美しいよ?俺がこの席を離れたら、周りにいる男が集まってくるどころじゃすまねえだろうな、きっと」
「んーそれはうれしいけど…求めてる相手がアレじゃあね…」

そう言いながら、ちらりとゾロの方を見やる。
どうやらナンパに成功したらしく、ゾロは珍しく笑顔だった。

ふたりでゾロを見ていると、ゾロが視線に気づき軽く親指を立てた。サンジとナマエは、親指を逆さにして返した。

「ヤリすぎて死んでしまえ」
「ははっ、ナマエちゃんが言ったらいつかはそうなりそうだな」
「笑い事じゃないよお……本気でそう思ってんの…」
「はははっ」
「……」

笑うサンジくんを見て、私は思う。
もしも、好きになったのがサンジくんならよかったのかもしれない。

サンジくんは、私をどう思っているのだろう。
小さい頃、お母さんが亡くなったってチョッパーから聞いたけど、心はもう大丈夫なのだろうか。

「サンジくん」
「ん?なんだい?」
「サンジくんは私のこと、どう思う?」
「ん〜、美人で気が強くて、でも泣き虫……かな?」
「なんじゃそりゃ…そうじゃなくてさ……」
「へ?」
「恋愛対象として、どう思う?」
「え……?」

突然の質問の内容に、サンジくんは戸惑っているようだった。私は苦笑いをしながら言った。

「ごめんごめん!ふふっ、ちょっと気になっただけ!気にしないで」
「………、好きだよ。」
「うん、私も好きだよ?ありがとう」
「いや…そうじゃなくてさ……」
「え?」
「本当に…ナミさんとかロビンちゃんとかも仲間だけど、好きだよ?とっても。でもナマエちゃんはさ……」
「……」
「本気でそういう風に好きって思えるのは、その…ナマエちゃんだけだ」
「……へ? マジで?」
「うん、マジで。」
「サンジくんは…本当にいい人だね……私、サンジくんを好きになればよかったよ…」
「今からでも遅くはないだろ?」
「そうかな……」

二人のあいだに少しの沈黙が流れた。
そのまま視線がかち合ったあと、少しづつ顔が近づいていく。そして、――触れるだけのキスを交わした。

「今夜は、マリモも帰ってこねえみたいだし……俺の部屋にでも行こうか」
「うん…」

サンジはナマエの手を引き、島のはずれにあったbarを出る。

すると外には、ゾロと先ほどゾロが声を掛けたであろう女性が熱いキスを交わしながら立っていた。

「んあ…おうグル眉、ナマエ。もう帰んのか?」
「なに?知り合い?」

ゾロに絡みついたままの女性がゾロの耳元で、そう囁く。

「あ?……同じ船の奴と、妹みてーなかんじの、アレ。」

「(誰がお前の妹なものか!なんだ、その中途半端なアレって紹介の仕方は!やっぱりヤリすぎて死ね!)…」

「ああ、俺らは船に戻る。行こうナマエちゃん…今夜は一緒に過ごそう?」
「うん…。」

そうして、サンジとナマエが肩を並べて船を着けている海岸の方へと歩いて行った。その二人の後ろ姿をゾロがじっと見ていた。

「仲がいいのね、なんだか妹さんしょんぼりしてたわよ?」
「あ?………あぁ………」
「ねえ、私たちも早くいきましょ?気持ちいい事しましょうよ」
「んあ?あぁ………行くか。」

ゾロたちが向かったのは、barの裏手にある小さなホテルだった。ホテルの部屋のドアを開けるなり、キスをしながら部屋の中に入る。
そしてキスをしたまま、二人は乱暴に服を脱ぎ始める。ゾロは慣れた手つきで女性の身体を触っていく。

「ん…あ、」
「はぁ…ああ……」

「っ……、(俺はなにやってんだ…ナマエに思いを伝えられない上に、ナマエの目の前で女口説いて、このざまだ…いつもあとで後悔するってのに。それに、さっきのナマエとコック……なんかいつもと違う雰囲気だったよな…くっそ…)……んぁ、」

「あん!あっいい…いいわ!」

ゾロは、行為の最中もナマエのことが頭から離れない。目の前の彼女に集中しているというより、ナマエのことを考えると体がどんどん熱くなってくるようだった。

「あん!あっそう…んぁ!いい!あっ」
「っ…ぁ、(ナマエ……ナマエ。ナマエ)」
「あっ、激しい…!あぁ、そこ、あっ……んぁ!」

ゾロは目の前の女の顔が、段々とナマエに見えてくるような気がした。その瞬間、情けなくも腰の動きも激しくなっていく。

「イクっ、イっちゃう!あっあぁぁあん!」
「ッ……(ナマエッ)」

ソロは薄いゴムの中に自分の欲望を吐き出した。
こんな早いのは初めてだった。たった数分で終わるとは、と情けなくなる。

ナマエのことを考えただけで……だが、いま抱いた女はそう思っていない。自分自身が良かったのだと思い、喜びながらゾロに触れてくる。

「お兄さん、とってもよかったわ…こんなすごいの初めて。あなたもだったみたいね」
「……」
「二回目やっちゃう?なんなら生でもいいわよ?あなたとなら」
「今日は……もう帰る。」
「は?」

ゾロは短くそう言うと、自分の服をさっさと着替え、入り口に立ててあった三本の刀を腰に携え、とっととその場から立ち去った。


一方、その頃のナマエとサンジは船に到着し、サンジの部屋へと入る。船内は皆、眠っているのかシンと、静まり返っていた。

サンジは部屋に入るなり、ドアを閉めると後ろからナマエを優しく抱きしめた。

「ナマエちゃん……、俺がいるから……」
「え……」
「本当はずっと二人を見てて、苛立ってた。俺がいるのにって…マリモなんかより、俺の方がずっとずっとナマエちゃんのことを思ってるって」
「気づかなくてごめんね……これじゃあ私、ゾロと同じだね」
「同じじゃないだろ、ナマエちゃんは他の男に抱かれたりしなかったろ?」

ナマエは照れたように笑いながらサンジの方へと振り向き、首に手をまわそうとしたが、身長差がありすぎて届かなかったため、ぎこちなく腰に手をまわした。

「サンジくんって、大きいよね…」
「身長のこと?それとも……」
「やだ!なんかその言い方、ゾロだよ?」
「アイツ、んなこと言うのか……意外だ。」
「え、言わないの?みんなの前では」
「もういい、あんな奴の話は。ごめんね…ナマエちゃん……おいで。」

サンジはそう言ってナマエを抱き上げると、優しいキスを交わしながら、抱きかかえたままベッドに倒れこむ。

ナマエを押し倒す形になり、またキスを降らせる。そのままナマエの首筋にキスを落として、ゆっくりとその下の膨らみへと手を滑らせた。

「ん…はぁ………サ…ンジ……くぅん。」
「ナマエちゃん………」

サンジは優しい声で、優しい唇でナマエの唇に触れ、ナマエの名前を何度も呼ぶ。

そのとき、ナマエは不意に思ってしまった。
自分はバカだなと。こんなに自分のことを思ってくれる人が近くにいたのに、いま、目の前にいるのに……

ゾロのことが、頭から離れない――。
そして、どうして忘れられないのだとろう、どうすれば、サンジだけを見つめられるのだろうと思い悩む。

「ナマエちゃん…俺だけに集中して?俺が全部忘れさせるから」
「…サンジ……くん…」
「…緊張してるのかい?」
「これを言うと…幻滅されるかな…と思って」
「え?」
「私……初めて、で。」
「!!!!?ちょ、ちょっと待って」
「へ?」
「お、おおおオレなんかで、いいのかよ」
「いいよ…、サンジくんがいい……」
「……」
「優しくしてくれるもん……私、サンジくんがいい…。私を思ってくれているサンジくんが…。」
「ナマエちゃん……」

サンジは、初めてだというナマエの身体を優しく包み込む。
温かい、そう思った瞬間、ナマエは下腹部に温かい指の感触が触たことに気が付く。

「!!あっ、ん…っ」
「……大丈夫?優しくなでるから安心して?」
「あっ、ゃぁ…なんか……!へ、んん」
「うん。大丈夫だ…人に触られるのも初めてなんだな……可愛いよ、ナマエちゃん」
「あっんぁ……そこっはっ、だぁめっっ」

ナマエの一番感じるところを見つけたあてたサンジは、そこを優しく攻め立てる。

ナマエは今までに感じたことのない感覚に襲われた。サンジに触れられているところがジンジンしてきて、ナマエの中からどんどん愛液があふれ出てくる。

「ん…サ……ン…ジ、くぅん、…」
「ダメ…。まだイっちゃだめだ……ゆっくり挿入るよ……」
「う…ん……っ」

(なにこれ…入るわけない!待って…痛い、)

目をぎゅっと瞑ると、サンジはそっとナマエから離れ頭を撫でると、額と額を付けると優しい声で言う。

「ナマエちゃん。目を開けて…ごめんな?……」
「……っ」
「無理しなくていい…夜は長いんだ、ゆっくり行こう」
「サンジくん……」

本当に優しいと思った。こんなにも自分のことを思ってくれて。

それでもナマエは、ゾロにされたらと思ってしまう自分が憎かった。そう思うと、もっと体が熱くなる自分自身が憎くてしかたなかった。

ナマエがそんなことを思っているとき。
サンジの部屋のドアが勢いよく蹴り飛ばされる。

突然の出来事に、サンジとナマエは呆気に取られて、ナマエは咄嗟に「フランキーに怒られる」とぼそりと言った。

ナマエとサンジが目を丸くしてドアの方を見ていると、そこには「ゼエ、ゼエ」と肩で息を切らせるゾロが立っていた。

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