序章

 私には2つ歳上の幼馴染がいる。ごく普通の一般家庭で育った私とは違い、彼は大企業の社長の息子――所謂御曹司の幼馴染。幼い頃、たまたまとある洞窟近くて遊んでいた私と洞窟に篭りにきた石が大好きな親子と出会ったことから始まった。
 あと数年したら10歳になり、ポケモントレーナーとして旅に出るからそれまでに親子で過ごそうということで、各地方の洞窟に行ってるらしい。

 初めて会った彼に、私は幼いながらも「かっこいい」と思った。そう、これが私の初恋を拗らせた”ことの発端”なのだ。この拗らせた初恋のせいで20歳を過ぎたのにも関わらず、彼氏いない歴が年齢と同じとなってしまった。彼はいつか良いところのお嬢様と結婚するんだ……そう思うと胸が苦しい。でも、私が隣に立つなんて天地がひっくり返ってもありえないこと。だって、彼は私のことを妹みたいに思っているから。だからこの想いを彼に伝えることは絶対にない。今の関係を壊してしまって、離れるのは絶対に嫌だ。我がままなのは重々承知だ。所詮、私はずるい女。彼のことを超える良い人なんて絶対に見つからないと思う。もし彼ではない誰かと付き合ったとしても彼と比べてしまう……そんな気がして立ち止まってしまっている。

 彼を通して知り合ったルネシティのジムリーダーであるミクリにはとてもお世話になっている。トップコーディネーターである彼はとても美しく、色々教えてもらっている。そして、頼れるお兄ちゃん。お姉ちゃんって部分もあるけどね。
 ダイゴの友人である彼とはいつの間にか仲良くなっており、そして彼の姪であるルチアちゃんとはお友達だ。私よりも10個ほど年上ではあるが、トップコーディネーターということもあり美に厳しい。いやー……、本当いつ見てもミクリは綺麗だよね。美容に関する知識は全部ミクリに教えてもらった。おかげさまで綺麗さを保っていられる。そもそも平凡な顔を持つ私は美を磨かなければいけないのだ。好きな人にはいつでも綺麗な状態で会いたいじゃない?ダイゴはそれを察しているのか……わからないけど、「綺麗になったね」とか些細なことに気がついてくれ言葉をくれる。それが私の初恋をずるずるさせる原因でもあるんだって。


 ダイゴが旅に出てジム巡りをするという手紙が届いたとき、透き通るような綺麗さを持つ水色の鉱石が手紙と一緒に入っていた。大切にしているうちの1つでダイゴが旅をしている間、私に持っていて欲しいと書いてあった。彼がホウエン地方のチャンピオンになった際に、返そうと思って伝えたんだけど「まだ君が持っていて」ということで今も私の家で飾ってある。
 あと彼がチャンピオンになって暫くしてからなんだけど……。いつもは髪を下ろしているのにその日だけはアップにしていて、ピアスをつけていることがバレた。その数日後に旅前のダイゴから貰ったものと似た水色の鉱石のピアスがプレゼントされた。ミクリもその場にいたんだけど、とても微笑ましそうな表情をしていた気がする……。

 

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