終章
初恋は実ることがない。そう思って生きていた。だから、せめて好きな人が幸せになるのを見届けようと思っていた。そのはずだったのに……。
「ボクと、生涯を共にして欲しい」
星が綺麗な夜、私は彼にプロポーズをされた。家の前で、ふたり寄り添って星空を見ていたときのことだった。びっくりしてしまい言葉が出ず、そして自分の鼓動がとてもうるさかったことを今でもはっきりと覚えている。
ふと視線を感じてダイゴのほうへ顔を向けると、照れくさそうな表情をしている彼と目があった。言葉が出てこなくて、どうしようかと慌てていたが彼を見て胸にストンと落ちた。そろそろと彼の首に腕を回し、首に顔を埋めてぎゅうっと抱きつく。するとダイゴがそっと腕を私の体に回し抱きしめてくれた。
「私もダイゴと一緒にいたい」
よくやく出た声はか細かったが、彼に届いたみたいで少しだけ抱きしめる力が強くなった。
「よかった……左手を出して?」
抱きついていた彼から少し離れ、言われたとおりに左手を出すとその手にそっとダイゴの手が添えられた。これから来ることが想定できるからこそドキドキしてしまう。緊張に耐えられなくて彼の顔を見れなくなってしまい、ダイゴの手が添えられている私の手を見ることしかできない。「そんなに緊張しないでよ。ボクだって緊張しているんだからね?」って声が降ってくるけど無理なんです。頭をこれでもかと横に振って無理を伝えると、クスクスと笑い声が聞こえてきた。
「そんなことしても可愛いだけなのに」
「そのまま手から視線を外さないでね」
「婚約指輪、気に入ってくれるといいな」
そう言いながら彼の右手にある指輪を私の指にゆっくりと通していく。そうしてダイゴに填めてもらった指輪は月明かりで綺麗に輝いていた。
「……!!」
「あまりにも珍しい鉱石だったからね。ナマエにプレゼントしたくて」
「いいの……?本当に私でいいの?」
やっぱり一般人の私で本当にいいのだろうか?って不安になってしまう。付き合うときに覚悟したじゃないか。今更何尻込みしているんだ。
「寧ろ君じゃないと嫌だ。ボクと一緒に幸せな家庭築こう?」
「もちろん!」
***
ずっと彼のこと好きだった。私が勘違いしたことでダイゴが私のことを好きってことがわかった。それだけでも私は幸せだった。そのあとお付き合いすることになって、そしてプロポーズをされた。私は夢を見ているのだろうか?なんて思ってしまうことも1回のみならず、何回もあった。でもそのたびに彼がそばにいて現実なんだって受け止めてきた。
「そろそろ現実受け止めたらどうだい?」
「わかっているんだけどさ……。片想いの期間が長すぎたせいか脳が不具合を起こしているのー!」
「遠回しにボクに嫌味を言っていない??」
「そうね、もっと早くにダイゴが気づいてくれたら……なんて思ったこともあるよ。でも、そうだったら今はなかったと思っているから」
「……そうだね!」
ダイゴの妻となる実感もわかず、入籍の日がどんどん近づいていく。入籍したからといって彼との関係が変わるわけじゃない、そんなことはわかっているんだけども。でも、ダイゴがそばにいるんだもの……大丈夫。
未来の私、幸せにしていますか?過去の私、諦めずに想い続ければ良い結果が待っているよ。この人を好きになってよかった、心の底から……。