指輪、という物を交換してから、二人の関係は再構築されたわけで。 もとより彼は気を許した相手にはいろいろと気兼ねがない、というかいろいろと気が抜けてる。 彼は魔法薬以外に関しては、ずぼらなのだ。 ふと気付いた頃には、私の部屋に彼の荷物が増えて(まぁ、自分もそうだが) 部屋を訪ねる際に彼はノックをしなくなっていた(私は癖でしてしまう) 増えた私物もノックも別に何も問題はないから、こちらとしてはまた近付けたかなぐらいの感じだから何も言わない。 ただし、今回ばかりは少々、その弊害が出てしまったと言える。 ガチャリと開いた扉の音に振り返れば、少し間抜けな彼の顔があった。 「あぁ……おはよう、セブル」 ス、と最後まで名前を呼ぶ前に、勢いよく扉が閉められてしまった。 はて、と首を傾げれば、ひやりと空気を感じた背中に、納得。 自分はまだ着替え中、しかも寝間着を脱いで着替えに袖も通していない状態だった。 あらら、と他人事のように考えながら袖を通し釦を留めた。 脱ぎ捨てた寝間着を片付けて、ローブを羽織ると部屋を出て隣室の扉をノック──しようとしてやめる。 前触れもなく開けた部屋の中で、向けられた背中がびくりと震えた。 「おはよう」 あぁ、ともうむ、ともつかない返事を返して振り返ったものの、彼の目はわかりやすいくらいに泳いでいて思わず小さく吹き出す。 「あからさま、と言うか初めて見るモノでもないでしよう?」 何を指すでもなく、真実そうであるからそう言ってやれば。 あからさまに狼狽した彼は、夜の自身をよく理解してないらしい……まぁ、深くはつっこまない。 「そういう問題ではあるまい……」 弱々しい彼の言葉に、クスクスと喉を振るわせる。 「きゃー、なんて悲鳴を私が上げると思うのかい?」 「……まずないだろうが」 「第一、君に見られる事はどうってことないよ」 何か気に触ることでもあったのか、微かに眉根を寄せた。 「私とて、男だぞ?」 「ははは、知ってるよ」 「──なら」 言い募る彼の唇を、人差し指で止める。 細められた漆黒に笑みを向け、さてさてこの言葉に彼はどんな顔をするやら。 「だって、旦那様に見られて困ることがあるの、セブルス?」 END (リクエスト作/大概、助手のが上手)