来る次の戦のための軍議の最中。



「いつになったら起きてくれるのでしょうね彼女は」
「当分起きんぞこいつは」



「はぁ」とため息をつきながらやれやれと眉間を押さえている呂蒙のことなど気にせず、ため息の理由の張本人呉子は寝息を立てながら机に突っ伏して寝ていた。

陸遜は「まぁまぁ」と苦笑いをしているが、確かにこうも気持ちよさそうに眠られていると軍議を進めようにも気になって仕方がないのだ。

何度か頬をつついてみたりしてみたものの、身じろぎすらしない呉子。



「……本当に起きないですね」
「昨晩遅くまで仕事をしていたようだからな」
「仕事?何のですか」
「調子にのって姫様と鍛錬していて竹簡の整理をすっかり忘れていたらしい」
「それで今こんな風に…。たくさん鍛錬をして遅くまで仕事をすれば、さすがの呉子殿でもお疲れになるでしょうね」
「まったく、呉子は限度を知らんからな」



限界の末、軍議の会場である呂蒙の自室で糸が切れたように眠り始めた呉子。

まるで愛でるかのようにその寝顔を見つめる陸遜だったが、一向に起きる気配のない呉子にはゆっくり休んでもらうことにし、中断していた二人だけの軍議を再開するのだった。



「やはり西南の拠点は先に落としておくべきでしょうね」
「しかし本陣から西南に向かうとなると守りが手薄になるのではないか?」
「そこは私たち軍師の腕の見せ所です。西南の拠点には甘寧殿に、」
「んー……、」
「おや。やっとお目覚めですか呉子ど、」
「いー、い い ざ ゆ け!あぁーあぁっぱ……ってあ、あれ?」
「「………。」」



「……呉子、ようやく起きたと思えばなんだその寝言は」
「ね、ねごと?え、ていうかなんでそんな呆れた顔してるんですか!?私何かしたんですか!?
「呉子殿」
「は、はい!あれ、陸遜さんも心なしか顔こわ、」



自分を呼んだ陸遜の表情がいつもの好青年の爽やかな笑顔ではなく何やら目が笑っていないように見えて呉子の頬にヒヤリとした汗が流れた。



「あなたにそんなにやる気があるとは思いませんでした。よろしければぜひ今日の分の竹簡の整理をお願いしたいのですが」
竹簡の整理!?いや、今日はもうしたくな、」
では自室にいざ行って寝て来てはどうですか?お疲れのようですし
「いやだからなんでそんな顔怖いんですか私何したんですか!?ねぇ!」
怖いだなんて、私は今笑ってますよ呉子殿
どこかだよ目が笑ってないよ!呂蒙さん助けてください私何しちゃったんですか!?」
「……はぁ、」



戻って寝てこい


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