「うんえいいいん?は?」
「あぁ。今度のテニス部合同学園祭の運営委員を泰橋にぜひ任せたいと言ってた奴がいたんだ」
「えーと、ちなみにそれは誰からの推薦…、」
「手塚だよ」
「(あんの鉄仮面コノヤロー!)」
平凡娘学園祭
中学校生活最後(っても一度経験してんだけども)の夏休み前々日。担任に呼ばれたから何事かと思えば「夏休み明けに行われるテニス部主催の関東中学校合同学園祭の運営委員をしてほしい」ということ。
それを聞いて頭の中に思い浮かんだのはテニプリではない世界で友達がやっていた『学園祭の王子様略して学プリ』というゲーム。
やっているところを隣で見てたけど、テニス部と全く関係のない主人公が運営委員になって部員たちと少しずつ恋愛していく…、まぁ乙女ゲームだ。
「え、でも運営委員の立候補いたんじゃないんの?私そー聞いてたんですけど」
「何人かいたんだが、せっかくの夏休みを準備で潰したくないってよ」
「私の夏休みは潰れていいのか!」
「俺に言うな。言うなら手塚に言え。お前を推薦したの手塚なんだからな」
「っく…!」
せっかくマネージャーは合同学園祭の準備免除だったのにこれじゃぁ毎日準備に駆り出されることになんじゃん!
それを許さないとかマジあの鉄仮面鬼畜眼鏡すぎるでしょ!
(仕方ない。直接文句言いに行くか…)
というわけで、
「なんで私が運営委員やんなきゃいけないの!?純粋に一生徒として合同学園祭楽しむ気満々だったのに!」
「マネージャーのくせに準備サボろうとしている暇な生徒の夏休みを有効に活用してやろうとしただけだが」
「人聞き悪いこと言うんじゃねーよスミレちゃんがマネージャーは今回休みって言ってたの!」
放課後。部活が始まる前に鬼畜鉄仮面眼鏡に「私やんないから!」と文句を言ってやった。しかし眉間に皺を数倍寄せながら「せっかく仕事用意してやったんだぞ」と返される。(頼んでねぇ!)
(大体全国大会前に合同学園祭なんかしてんじゃねーよお前ら全員テニスをしろ!)
「大体私が運営委員したら他にやりたい子どーすんの!仕事奪っちゃうじゃん!」
「いないから泰橋に頼んでるんだろう何言ってるんだ」
「そーいうこと言いたいんじゃなくて!」という言葉を飲み込んで代わりに口を尖らせる。
私が楽しみにしてたのは学プリの主人公ちゃんのこと。名前なんだっけ…、広瀬静ちゃん?だったかな。とにかく主人公ちゃんが運営委員やってくれるならぜひお近づきになろうと楽しみにしてたのに。
それなのに私が運営委員になったら主人公ちゃん出ないじゃん!私超邪魔じゃん!恋シュミ成り立たないじゃん!
(まぁそんなこと言ったって手塚君にしてみたら意味わかんないだろーけど!)
「はぁ。お前に今断わられると明日の合同運営委員会に間に合わない。だから駄々をこねるな」
「こねてねーよ!そーいうこと勝手に決めないでもっと早くに言ってよね!」
「あぁ俺が悪かった。では頼んだからな」
「っておい何勝手に話終わらせてんだ私やるなんて一言も言ってな、」
「うるさい」
ビシッ
「タァッ!」
「お前もテニス部の一員なら全国大会の前のイベントくらい黙って参加しろ」
「そ、それデコピンする前に言ってくれると嬉しい…」
デコをさすりながら「まさか手塚君の口からそんな言葉が出てくるとは」と呟くと、手塚君はギロッと睨んできて「もう一発いっとくか」と指を構える。(ぎゃぁ怖い!)
というわけで、人生二度目の最後の夏休みは青学テニス部マネージャーとしてじゃなく、青学テニス部担当運営委員として潰されることになった。
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