「流石に公園に薔薇はないよね」
「ジャンッ」
蔵馬がお茶目に笑ってどこからか真っ赤な一輪の薔薇を取り出した。
驚いて目を丸くし、色んな角度からどんなカラクリかと見てみたが全然分からずため息をつく。
「……蔵馬ってマジシャンもいけるよ」
「まぁ、元盗賊だからね。これくらいは出来るさ」
すごいなぁと目を輝かせて感心していれば、彼は少し照れた顔で
ふにゃっとした異性だけでなく同性すら見とれそうな極上の笑みで
本当に反応が可愛いなぁと囁いたので面食らった。
言葉の意味を理解した頃には顔中がゆでだこのように赤くなり
それを悟られないように背を背けるようにし恥ずかしさからカタカタ震える。
「ほっ…褒めてくれるのはうれしいけどっ……なっなんか恥ずかしいな」
蔵馬の顔は見えなかったけど、声だけ聞けばどこか彼も少し気恥ずかしそうだった。
「俺も急に悪かったよ。だから、こっち向いて」
怒っているのかと勘違いされたのかと思い、慌ててそうじゃないよと言うために振り返れば
かなり至近距離に蔵馬の美しい顔がどアップだったのでビクッとした。
いつも見上げるはずの顔が私とほとんど同じ目線にあるということは……
案の定、彼はまるで王子がお姫様に求婚するように片膝をついたままで
手に持っていた薔薇を、私の小さな手を片手でとった後に握らせた。
「お詫びにあげる」
あ、これはからかわれてるのかと思えば彼の表情はいたって真剣。
私の手をゆっくりと薔薇を握らせるように、自身の手ごと包み込むと
君は誰が見ても可愛いんだから自信をもってと笑った。
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彷徨いアリス