呼吸がとまって、まるで風もとまったような静けさで。
真っ赤な顔で、でもあまりにも衝撃すぎて蔵馬から目線をそらせずにいると
彼が先に立ち上がり、子供をあやすように私の頭を少し撫でた。

「俺は汚れてるからさ。紅葉はいつまでも純粋でいてね」

ハッと見上げた彼の表情が少し悲しそうな、何か遠くを見るような瞳だったので
コクコクと小さくうなづいて、もらった薔薇を痛まない程度に両手で握りしめた。

「あっありがとう」

「っふふ。――どういたしまして。
俺のムチはまた今度見せてあげるさ。
だから今日はよければ紅葉の武器を見せてくれないか?」

ハッ。そうだった!!当初の予定それだったわと
熱を振り払うように、頭をふった後に慌てて公園内を見渡す。

「私は蔵馬みたいに、薔薇とか特にこだわりとかなくてさ。
なんだろう……あっこれとか!!」

足下にあった名前も分からない雑草の束を少し抜いて
そこに霊力を流し込んで、針や釘のように一本ずつ硬化してみせる。

「なるほど。そうやって霊力で硬化することにより
弱い草を武器として扱っているんだ」

「そう。そしてこれを吹けば」

呼気にも霊気をまとわせ吹けば、勢いよく近くの木に硬化した雑草が
まるで矢のようにビュンと飛び、突き刺さる。

「もちろん、霊力のコントロールや草の質にもよるけど
これくらいの武器化はたいてい出来るよ」

えへっとはにかめば、彼も感心してうなずいた。

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彷徨いアリス