「そっそれはダメ!!あー、お金ないなら……まぁアルバイトとかは厳しいか」

飛影をみて流石にアルバイトには向かないだろうとため息をつく。

「分かった。私有地はのぞいて…山とか海で食材をとってくるのはどう?
それが厳しい時とかはレトルトや缶詰を置いておくからそれでしのいで」

記憶しようと、必死で聞いている姿はほんとに少年ぽくて母性本能をくすぐられたが
缶詰は分かるがレトルトはなんだと問われたので面食らった。

「そっ…そっか。魔界には恐らくレトルトないのかもね」

ツリーハウスに常備されているレトルト食品や食べ方などを一通りレクチャーしていく。
するとえらくその手軽さに気に入ったようだった。

「火はこっちにある携帯コンロでつくから。
水とかは保存水つかっていいよ。あ…なるべく期限が早いやつからね」

後はこれくらいかな……。

それじゃあ部屋に戻るねと帰ろうとすると、おいと止められた。

「れとると…も毎日用意するのか!?」

焦ったような彼に、薄く笑う。
なるほど……心配してくれているのかな。

「今までみたいに3食置きに毎日くることはもうないよ。
その代わり、時々レトルトや缶詰の補充にくるから。
それをいつでも好きな時に食べて。
その方がこっちも負担へるし……」

金はと聞かれたが、安いレトルトだから気にしないでと付け足した。

「あ…でも、もしさ……少しでも借りがあると思ってくれてるなら
いつか、なにかで助けてよ。――それで十分」

彼は最後まで納得できないような顔をしていたが
反抗する材料やメリットもないのか、黙っていた。
そんな彼を後に、ツリーハウスを降りて部屋にもどった。

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彷徨いアリス