数日後……運命の決戦……もとい、運命の日が訪れた。
そう、蔵馬との植物園鑑賞である。
なぜ約束したと数日前の自分を責めてみるも
でも、好奇心に勝てなかったんだとすぐ諦めた。
「蔵馬……ごめん、待たせた?」
植物園で集合だったので来てみれば、私よりも早く着いている彼。
長い足に白いパンツ。清潔感のある長袖のジャケットを着て
Vネックの胸元からは、女顔とは似合わず胸板がチラリとのぞきドギマギさせる。
「いいよ。俺もちょうど今きたとこだから」
本当かウソか分からないけど、そういうことにしておこう。
入場のチケットはもうすでに用意しているらしく
ありがとうと受け取る。――慌てて財布を出して自分の分を払おうとしたが
こういう時は男にカッコつけさせてと笑ったので
でも……とモゴモゴした後、俺が今日は誘ったからとまた念をおされ
真っ赤な顔で分かったとうなずいて受け取るしかなかった。
次なにかあった時は蔵馬の分も払おうと心に誓う。
もう一生こんなことないかも知れないことは置いといて。
「今日は薔薇がテーマの展示ブースがあるみたい」
パンフレットを手に二人でそこは行くしかないと笑った。
植物園の外は蒸し暑かったけど、中は意外と涼しかった。
恐らく私達の上まで木々が生い茂って、日陰になっているおかげだろう。
あと、都会の喧噪から離れて静かな植物の中に立っていると
マイナスイオンというか……なんだか凄く心地がよかった。
私よりもずっと長く生きている木にそっと触れる。
少しだけ乾いた表皮の手触りと、草のにおい。
木の葉1枚1枚が風に揺られる音。
「みんな…生きてる」
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彷徨いアリス