「ここが薔薇の展示スペース…」

ついに目的だった展示室までやってきてあたりを見渡す。
蔵馬は近くの薔薇に手をやり、葉や茎を見たり観察を始めていた。

その横顔は真剣で、カップルできていた男女両方がため息をつくくらい
薔薇に劣らないほど美しいと思わされる。悔しいけど、男にしておくのが惜しいほど女顔の美形だ。

一方の自分は化粧気もない、ボーイッシュ気味な恰好で……そういえば初対面の時も
幽助に男の子に間違われたな。ーーまぁ声も低いし、子供の頃からよく間違われてきたから今更ではあるけど。

「どう?私からすれば綺麗っていう感想しか浮かばないけど」

薔薇は武器にしたことないしとつけくわえる。
蔵馬は確かに綺麗だと笑った。しかし、綺麗なだけではダメらしい。

「戦うためには……やっぱり人間界の植物では弱いな」

「あー、やっぱり魔界からきた蔵馬からすればそうなるんだね」

静かにうなずいて、少しだけ遠くを見つめながら呟いた。

「もう戻ることは出来ないだろうけど……ただ少しだけ魔界から植物の種を持ってきてはいる」

目を丸くする私に、蔵馬はいたずらっぽく微笑んでどこにあるかは秘密とウィンクした。



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彷徨いアリス