当時の私は幼さもあってかとても怖くて、気味が悪かった。
そいつらは何かをしなくても薄ら笑いでまとわりつくこともあればするどい牙や爪でおそいかかることもあった。
私を殺したがる大勢のギラつく瞳、まとわりつくような悪魔のささやきが耳に残っている。

ここまで昔のことを思い出していてふと気がついた。
もうすぐ会わせたいと言われた人との面会場所が近づいていたことに。
緊張をとくように息をはいた。しかし思い出す過去の物語から唇の端が上がるのが分かり
まるではしたないと誰かにたしなめられるような居心地の悪さを感じて
思わずかみ殺すように険しい顔になおし、強く手をにぎった。
いつからか頭の中で警報がずっとなってる気がする。どこから転がり落ちたんだろう。

「コエンマにーに……本当に久しぶりだなぁ」

最後に出会った当時の姿と、忘れられない言葉を思い出して
少し懐かしさから笑みがこぼれた。

彼は最年少で霊界探偵のようなことを私にさせたことを
いつまでも……ほんとに最後の日本を発つ日まで後悔してたっけ。
大きな背中が揺れたと思えば、不意にすがった背中も消えてしまったけど
コエンマにーには最後まで私のことをずっと心配してくれた。

私があっちに発つ日まで、私のことを親の次に案じてくれた大切な存在。
そして、そんな彼が苦い顔で頭を下げてきたのだ。もう一度霊界探偵の補佐をしてくれないかと。
そんなにーにの頼みを私が断れるわけないじゃない。

そう答えた唇のウソのしびれるような甘さがまだ残って、私の頬を緩ませるからホントに滑稽こっけい
ウソをつくなら最後まで上手くつけなきゃダメだなと得意の困り顔で自分に突っ込んだ。

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彷徨いアリス