コエンマにーには知らないでしょ?
私がこんなに醜い劣等感にまみれた良い子のふりをした偽善者だってこと。
怖い?ウソをつけ、あなた時々スリルすら感じてたじゃない。
その鋭い牙や爪に明日、いや今日中でも殺されるかも知れないのにさ。
私の甘い香りに誘われた悪、私じゃないとダメな溢れる殺意に痺れては
夜ごとピーターパンごっこに夢想したくせに。
大人達が本気で心配してくれてるのに、こんな気分になるなんて薄情な子。
当時少しだけ心の中で舌を出すようなイケナイ気分といい子の方の自分が今でも罪悪感を感じてる。
まぁ大人になるのはウェンディだけだと思ってたとこは可愛げのある子供と言えるかもしれないけどね。
皮肉屋の自分が毒づきだすのを、表面上の良い子の自分がやや呆れながら心の中で見守って
今までの出来事や自分が感じてきた感情を整理するように息を整える。
少なくとも今になって思うのはアレが私のことを一時でも特別な子にしてくれたってこと。
好奇心、猫をも殺すという言葉を聞いた。魂がいくつもある猫を殺すほどなんて
まだ皮肉にもちっぽけな人間でいる私なら本当に命がいくつあっても足りないなと
今さら自嘲気味な笑みすらもれそう。それでも当時小さな胸は怖さにも勝るほどの好奇心
――まだ知らない世界のほの暗い闇の側面に高鳴りが押さえられなかった。
そんな危ない橋を渡れば渡るほど幼心に自分が特別になっていく感覚に磨きはかかり
けれど乙女らしくちゃっかり頼もしい大人の背中にも守られて、ますます自分がヒーローになれた気がした。
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彷徨いアリス