だからこそ、こんな危険な気持ちにフタをして真面目に今度こそ人間らしく生きていこうと
苦しい顔で霊界探偵にさせてしまったことを何度も後悔するかのように頭を下げさせた彼の姿に誓ったんだ。
好奇心のせいで、周りまで巻き込んじゃダメ。あと、自分の命も危険にさらしちゃだめ。当たり前だけどね。
はじめて私がやったことはただ自分が気持ちいいだけの夢想だったんだと思い知った時は
それはそれは泣いたさ。思い描いていた英雄活劇(ヒーローショー)は一気に冷めて
さえない現実のイケてない私に引き戻されて、ああ……結局失うものしかなかった。
だからもう一度霊界探偵にならないかと誘いがきたときは、また好奇心の火がくすぶるのを感じ
今度こそは失敗してはならない。ちりぢりになったヒーローの二の舞にはしてはいけないと
固く誓い、唇をそっと噛みしめて引き受けたんだ。
………
……
待ち合わせの場所にくると、先にきていた女性に挨拶した。
女性は私の存在に最初は気付いていなかったらしいが、しばらく顔を見た後に
ようやく気付いて驚きの声をあげた。
「驚いた!?紅葉ちゃんかい!?――大きくなったねぇ!!」
横に、とジェスチャーをつけながら茶化した私にいや可愛くなったよとフォローしてくれる女性。
それが本気で言ってると分かったので、少し照れくさくて頭をかいた。
「えへへ。アレからもう10年近くですからね……ぼたんさん」
「ぼたんさんってやけに他人行儀じゃないかい……昔みたいにさ」
そっか、他人行儀……そうだよな。昔は子どもだったしこんな呼び方じゃなかったもんね。
「いえ、もう子どもじゃないですし。これでいいんですよ」
それでもやっぱり全てあの頃のままは何となく気が引ける。
私もウェンディと同じように少しずつ大人になっていくんだから。いつまでも特別な子どものままじゃね。
「あの……コエンマ様から会わせたい人がいると聞いたのですが……」
今度こそ失敗してはいけないと心の中で強く言い聞かせながら、二人の到着を私達は待った。
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彷徨いアリス