「あっあの…ありがとうござ…あ」
息を整えながら顔をあげれば、人の好さそうな笑みを浮かべたレティシアの兄。
「ロメオさん」
なんだろう。さっきと少し空気が違う気がする。
人当たりのいい笑顔なのに、どこか寒気がする。
本能的に後ろに下がろうとすると、何かにぶつかった。
パッと振り向けば大柄の男性。見上げた表情は無表情で
感情が読み取れないのに恐怖を感じた。
「つれてけ」
「え、ロメオさん…?」
笑顔を崩さないロメオの言葉に面食らいながら
どういうことかと狼狽えていると、後ろから伸びてきた男の腕に絡めとられる。
「んんんっ!?」
口元にあてられた布のせいで呼吸が制限される。
一瞬嗅いだその甘い香りにヤバいと思った瞬間、意識が落ちた。
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彷徨いアリス