「紅葉さんが助けてくれたので僕は無事です。
ただ彼女はその時に頭部を強く殴られてしまい
そのせいで記憶の一部を喪失しています。
傷は心霊医術により後も残らずに完治しましたが
まだ心のケアが充分ではありません。
命を救われただけじゃなく、大切なお嬢さんを傷物にしてしまった。
僕も男です。――その責任はとらせて頂きます」
ロメオの言葉にざわめきがあがる。
「そっ…それではお二人は恋愛関係ではないということでしょうか!?」
「そうですよ!!ロメオ様が責任を感じる必要はありません!!
この娘は人間界の者でしょう!!でしたら人間界に任せれば……」
報道陣の言葉に青年は一瞬だけ表情を硬くしたが
すぐに悩まし気に眉をよせ、片手をあげて報道陣を静止した。
「僕は……確かに最初は責任感しかありませんでした。
けれど彼女と接するうちに、お恥ずかしながら僕は彼女に恋をしました」
少女に向き直ると、青年はその小さな手を大切そうに両手で包み込む。
「何年、何十年かかってもいい。彼女が僕を好きになってくれなくてもかまわない。
ただ……命を守ってくれた彼女を今度は僕が守りたいのです」
最大の見出しとばかりに一番まぶしくフラッシュが瞬いた。
会場からも歓声があがる。悔しそうに歯ぎしりするコエンマと
困惑するぼたんをのぞいて。
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彷徨いアリス