蔵馬の言葉に、そうだなと唸るように思いつく限りの原因をコエンマはひねり出した。
「人間界側から特定の人間を連れてきてほしいと言った要望はこれまでも多かったのじゃ。
それに、ワシの父が貴族制度などを作ってからと言うもの権力を振りかざし
強引に人間界側の若い娘を攫って娶ろうとする者も少なからず存在した」
黙ってコエンマの言葉を蔵馬は聞きながらうなずく。
「でっでも、それはコエンマ様がきびしく取り締まったおかげで
もうほとんどなくなったんじゃ!?――それに前から霊界側から紅葉ちゃんに
目を付けていたならきっとコエンマ様も気づくはずだよ!!」
ぼたんが泣きそうな顔でコエンマに詰め寄る。
「そうじゃ。現在、人間界側に干渉できるのはワシと
ワシの父であり、霊界の長の閻魔大王だけじゃ」
しかしどこの世界にも知恵が回るやつは存在する。
だからこそ、これだけ警戒していたのにハメられてしまったとコエンマは嘆いた。
黙って聞いていた蔵馬が、静かに手を挙げて声を発した。
「霊界側にはグリーンカード……永住権と呼ばれる物は存在していますか?」
「永住権?霊界側にいる分には「逆です」……まさか」
「霊界側から人間界へと移住……そして、永住できる権利などは存在しますか?」
蔵馬の言いたいことを呑み込めたコエンマは真っ青な顔でまさかと一言呟いた。
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彷徨いアリス