「確かにきっかけは強引だった。でも、僕は君以外の妻を作らないし
僕の妻になってくれるのなら不自由はさせない。
服も、宝石も……君が望むのなら君のために尽くす奴隷だって与えよう。
それが僕のせめてもの贖罪さ。――こう見えて少しはすまないと思っているんだ」
「かえ……して」
少女の拒絶もむなしく、部屋に入ってきた黒服の男に青年は薬をと命じた。
すぐに少女の腕に薬物が打ち込まれる。投与された薬の影響でまたグタッと
気絶したように少女は倒れこんだ。青年はそれを抱きとめながら
少しだけ苦しそうに、眉をよせてポツリと願いごとをするように呟いた。
僕と堕ちてくれと。
………
……
その頃少女は、意識の海で溺れていた。
落ちていく。ゆっくりと海の底を。
そんな感覚だった。ふわふわと水中にいるような
独特な重力の中で私は、上にあがろうと必死にもがくでもなく
ただただそのままゆっくりと落ちていくのに身を任せていた。
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彷徨いアリス