何もしたくない。とても心地がいい。動きたくない。
でもどうして?動かないでいいの?そんな疑問も少しだけよぎる。
思い出さなきゃ、とっても大事なこと。
でもそれってなんだっけ?伸ばしかけた手をゆっくりとおろした。
大事なはずなのに……どうして何も思い出せないんだろう。
もしかして、思いださなくてもいいのかも。
遠くに男の声を聞きながらゆっくりと意識を水底に沈めていく。
それが一番楽で、心地よかったから。
「おい…薬をやりすぎじゃないのか?
僕の言葉も聞いているか分からない。
しばらく洗脳状態……もしくは少し記憶を飛ばすだけでよかったのに」
「へへっ、坊ちゃん。それが一番むずかしいんでさぁ。
それにこのガキ、薬だけじゃねぇ…洗脳も効きすぎちまう」
完全に理性で制御しているタイプだと頭を指さしながら黒服の男は笑った。
「こういうタイプは普段抑えすぎている反面、抑えがなくなると
一気に堕ちちまう。まぁある意味純粋とも言うがな」
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彷徨いアリス